製造業におすすめのDXツール8選!選定のコツや成功事例も紹介
2024.08.05
製造業がDXを推進すると、作業効率改善や品質向上など、多くの効果を得られます。DX化成功のコツは、自社に合ったDXツールの導入です。最新のIT技術を活用できれば、他社との差別化も進むでしょう。
本記事では、製造業におすすめのDXツールを「直接部門」と「間接部」門に分けて8つ紹介します。製造業のDX化が進みづらい理由や解決方法、DXツール導入の成功事例なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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製造業におけるDXツールとは?
製造業におけるDXツールとは、IoTセンサーや生産管理システムなど、社内業務のデジタル化を促す技術のことです。
生産部門や品質管理部門など、企業の売り上げに直接繋がる「直接部門」は、DXツールの導入によって製造工程の業務効率化や安全性向上が期待できます。品質管理精度の向上や技術継承を目的に導入を進めることも可能です。
AIのような最新技術を導入して、新サービスの開発や新規取引先開拓を目指す企業も増えています。
業務効率化やコスト削減の面では、総務部門のような企業の売り上げに直接結びつかない「間接部門」向けのDXツール導入も効果的です。
製造現場向けのシステムは、導入にかかる費用や工数が膨らみがちです。DXツールの導入が「初めてである」「十分な予算確保ができない」といった場合は、間接部門のDX化から取り組むのも良いでしょう。
製造業のDX化が進まない3つの理由
経済産業省が発表した「2024年版ものづくり白書」によると、「デジタル技術を活用している」と回答した企業は2019年の49.3%から2023年には83.7%と、飛躍的に上昇しています。具体的に活用されているデジタル技術はCAD/CAMや生産管理システム、クラウドなどです。
一方、複数(6以上の分野)のデジタル技術を活用できている企業は、全体で13.4%と急激に落ち込んでいます。以下「活用しているデジタル技術の分野」の調査結果からもわかる通り、AIやビッグデータのような最新技術の導入は進んでいないのが現状です。
現段階で自社のDX化が遅れていても、ライバル企業が導入していない最新技術を積極的に活用できれば、差を付けられる見込みは十分あります。それでは、製造業で最新技術導入が進みにくい以下3つの理由と対処法を解説します。
- 資金不足
- IT人材の不足
- 企業体質が古く、DX化への抵抗感がある
①資金不足
製造業のDX化が進まない理由の大きな要因の1つが資金不足です。
独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)は、2023年に発表した「DX白書2023」内で、従業員数が300名以下の企業の3割以上がDX化に取り組んでいないと報告しています。
参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「DX白書2023」
現状、日本のDX化は大企業が中心となって促進されています。特に最新デジタル技術の導入には多額のコストがかかるため、資金繰りが厳しい中小企業はDX化を進めにくいでしょう。
資金不足が課題の場合は、補助金・助成金の活用を検討しましょう。ものづくり補助金やIT導入補助金など、DX化推進時に利用できる制度があります。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
②IT人材の不足
IT人材の不足により、製造業のDX化が進んでいません。
スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2023年に発表した「世界デジタル競争力ランキング」において、日本は64ヶ国・地域中32位でした。本調査結果から、国際的にも日本のDX化が遅れを取っていることが分かります。特に「デジタルスキルの習得」の項目で低評価となっており、IT人材の不足が指摘されています。
参考:ジェトロ「世界デジタル競争力ランキング、スイス5位、日本は32位へ後退(世界、スイス)|ビジネス短信―ジェトロの海外ニュース-」
IT人材の確保は一朝一夕では行えません。会社全体のITリテラシーが低い場合、適切な社員教育やIT人材の採用が難しいためです。自社でIT人材を確保できない場合は、DXコンサルのような外部サービスの活用も視野に入れると良いでしょう。
DXコンサルの導入方法や依頼時の注意点などについては、以下の記事で詳しく解説しています。
③企業体質が古く、DX化への抵抗感がある
企業体質が古かったり社員の平均年齢が高かったりする場合、社内抵抗によってDX化が進まないことがあります。
対処法として、まずは経営陣がDXの重要性を理解しましょう。経営陣からトップダウンでDXを促すことで、ある程度の強制力を持ってプロジェクトを進められます。関連会社からIT人材を経営陣に迎えるのも有効です。
ただし、社員の理解がないまま強制的にDXを進めてはいけません。DXツールを実際に運用するのは現場の社員です。無理に導入しても使われず、費用だけかさむ可能性があります。根気強く丁寧に、末端の社員までDX化の必要性を伝えましょう。
社員の理解を得るには、損失を生みにくい間接業務からDX化するのも有効です。ITツールを取り入れて実際に業務が楽になれば、DX化のメリットを実感できます。段階を踏んでDX化に取り組み、社内理解を得られるよう工夫しましょう。
製造業のDX成功のポイントは攻守のバランスにあり!
製造業のDX化は、業務効率化やコスト削減といった「守り」の施策が中心になりがちです。
経済産業省が発表した「2024年版ものづくり白書」によると、デジタル技術の活用による効果で「攻め」の施策(新製品開発や取引先拡大など)を実施していると回答した企業は全体の4分の1以下となっています。
DX化を推進する際は「攻め」の視点を常に持ちましょう。多くの製造業企業が「守り」の施策を導入している中で「攻め」のDXを推進できれば、大きな差別化に繫がります。
他にも、製造業のDX化を成功させるためにはビジョン策定や社員教育など、多くのポイントがあります。成功のポイントや製造現場でのDX導入手順について、以下の記事で解説しています。
製造業がDXツールを導入する3つのメリット
製造業がDXを導入すると、多くのメリットが得られます。自社が得られるメリットを事前に理解しておけば、DXへのモチベーション維持やスムーズなプロジェクト推進に繫がるでしょう。
ここでは、代表的な以下3つのメリットについて解説します。
- 生産性の向上とコスト削減に繫がる
- データ活用によって意思決定が迅速になる
- 変化する市場に適応し競争力が強化される
①生産性の向上とコスト削減に繫がる
製造業がDXツールを導入すると、生産性の向上とコスト削減に繋がります。
具体的には、手作業のような非効率的な方法で行っていた業務を自動化すれば、以下の効果を得ることが可能です。
- ミスや人件費の削減
- 品質安定
- 人手不足解消 など
経済産業省による「2024年版ものづくり白書」内の「デジタル技術の活用による効果」への回答においても、「作業効率の改善」はトップに位置しています。特に人件費の部分では、教育や採用、マネジメントコストの削減も期待できます。
マンパワーが不要な工程が増えれば、より上位の作業や複雑な業務に集中することが可能です。また、人的リソース活用の最適化は、企業全体の競争力強化に繫がるでしょう。
②データ活用によって意思決定が迅速になる
製造業にDXツールを導入し、収集したデータを活用すれば企業の意思決定が迅速になります。
事業環境の変化が激しい現代において、意思決定の速さは競合優位性に直結します。組織が大きくなるほど意思決定のプロセスが複雑化し、判断が遅くなりがちなので、膨大なデータをとりまとめて可視化すれば、良い経営判断材料になるでしょう。
現場のマネジメントにおいてもデータ活用は有効です。
例えば、DXツールである「IoTセンサー」を活用すれば、現場の状況を即座に把握できます。人力で行っていたデータ収集の時間がなくなれば、迅速かつ適切なタイミングで作業指示が出せるようになるでしょう。
③変化する市場に適応し競争力が強化される
製造業にDXツールを導入すれば、変化する市場に適応し競争力が強化されます。
事業環境の変化が予測しにくい現代において競争力を強化するには、適応力を高める必要があります。市場のトレンドや顧客ニーズの変化に即座に対応できれば、ライバル企業に差を付けることが可能です。
また、時代に合ったサービスを開発したり遠隔地の優秀な社員を採用したりすれば、企業の適応力も徐々に向上します。
さらに、製造現場にDXツールである「IoTセンサー」を導入すると、少量多品種生産が可能です。少量多品種生産とは、大量生産とは反対に異なる製品を少しずつ生産することで、多様化する顧客のニーズに応える手法です。
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製造業のDXツール選定ポイント3つ
導入コストや作業工数を無駄にしないためにも、DXツール選びは慎重に行いましょう。続いて、DXツール選定時に重視すると良い、以下3つのポイントについて解説します。
- 直感的な操作が可能か
- 既存システムと連携できるか
- 投資対効果(ROI)が見合うか
①直感的な操作が可能か
DXツールは使いやすさが非常に大切です。DXツールの導入は、上層部や総務部が行うケースがほとんどですが、実際に使うのは現場の社員です。現場の社員にとって扱いづらいツールだと、導入しても使用されず普及が進まない事態になりかねません。
直感的に操作できるツールであれば、教育コストも下げられます。機能面やコストももちろん重視すべきですが、現場の社員にとって馴染みやすいかも慎重に判断しましょう。
②既存システムと連携できるか
製造業の場合、既存システムとの連携が取りやすいDXツールを選ぶ必要があります。既存システムとうまく連携が取れれば、スムーズに新しいツールを導入できます。
システム間の連携不足による混乱が生じにくいため、生産ラインの中断を最小限に留めることも可能です。また、新ツールに関する教育や移行処理工数が少なければ、導入コスト削減にも繫がるでしょう。
③投資対効果(ROI)が見合うか
DXツールの導入には初期費用やランニングコストがかかるため、投資費用を上回る効果を得られるものを選ぶ必要があります。導入によって得られる生産性向上や工数削減効果を事前に見積もり、投資が見合うか判断しましょう。
また、導入後の投資対効果の測定および評価も必ず行いましょう。ツールの使用方法やプランの見直しを繰り返せば、より自社に合う使い方ができるようになります。経営層や株主にDXツールが投資対効果に見合うと証明できれば、より大きな予算確保にも繫がるでしょう。
製造業のDXにおすすめのツール4選【直接部門編】
DX化を成功させるには、最新のDXツールの導入が不可欠です。各ツールの特性を理解して、自社に最適なIT技術を導入しましょう。
製造業におすすめのDXツールを、直接部門と間接部門に分けて計8つ紹介します。まずは、直接部門におすすめの以下4つのツールを取り上げます。
- IoTセンサー
- MES(製造実行システム)
- AI
- スマートグラス
IoTセンサー:モノとインターネットを繋げる技術
IoT(Internet of Tings)とは、モノとインターネットを繋げる技術のことです。製造業に限らず、家電や医療、運輸業などの幅広い分野で活用されています。
製造業においては、工場内の機器類に取り付けると、稼働状況の監視や異常の発見、効率的な生産計画策定などの実現が可能です。データ収集や監視に人員をさかなくて済むため、人手不足や後継者問題に悩まされている企業におすすめです。
また、従来のシステムでは感知できなかった製品の不具合を検出でき、厳密な品質管理が必要な企業でも活躍します。製造現場とは異なる拠点から、リモートで生産ラインを監視する目的でも導入されています。
なお、導入規模や使用するシステムによって大きく異なるものの、導入コストは数百万円〜数千万円程度です。
MES(製造実行システム):現場の運用を最適化
MES(Manufacturing Execution System)は生産管理システムの一つで、工場内の各製造工程と連携し、作業員へ指示を出す役割を担います。
データ収集や工程管理、品質管理など複数の機能が搭載されており、必要なものを組み合わせて使います。MESの導入で得られるメリットは以下の通りです。
- 熟練の技術を要する作業の標準化
- 少量多品種生産への対応 など
熟練技術が必要な作業を標準化できれば、社員の高齢化や後継者不足といった課題を解決できます。経験が浅い社員でも高品質な作業が可能になるため、人手不足や人員配置の問題にも悩まされなくなるでしょう。
また、少量多品種生産への対応が可能になれば、顧客の細かなニーズに応えられるようになるほか、変化が激しい時代の生き残り戦略にも繫がります。
MESは生産ラインの管理・監視機能に優れているため、製造プロセスが複雑な会社におすすめです。記録機能が搭載されており、危険物を取り扱うような法令遵守が厳しく求められる製品の製造にも適しています。
導入コストは搭載する機能や規模によって大きく異なり、中小企業においては数百万、大企業の場合は数千万以上です。
AI:人工知能
AI(Artificial Intelligence)とは、人間のような認知能力や学習機能を持つコンピューターのことで、製造業をはじめ多くの業種で活用されています。
製造業にAIを導入すると、過去のデータを取り込んだ高度な生産計画の作成や、熟練の職人が目視で行ってきた品質チェックの代替など、さまざまな工程で技術革新が進みます。
設備管理の面でもメンテナンスのタイミングを予測し、生産計画に影響しない点検・整備を実現可能です。AIは大量のデータを扱うのが得意なため、大規模な工場で大量生産を行う企業におすすめです。
また、品質管理においても、人間では見つけられない不具合を検出できます。高レベルな品質管理を求められる製品を製造する会社でも、AIは活躍するでしょう。
AIの導入コストは導入規模や精度によって大きく異なり、小規模なプロジェクトであれば数百万〜数千万、大規模なものでは億単位のコストがかかる場合もあります。
スマートグラス:メガネ型デバイス
スマートグラスとは、メガネ型のデバイスのことで、センサーやディスプレイなどの機能を搭載しています。新たな取り組みとして注目されており、両手が自由になるスマートグラスは、製造現場の導入に適しています。
スマートグラス導入のメリットの1つが、リモートで作業員を教育できることです。作業員の側について指導する必要がないため、業務の自由度が高まり、教育にかかる工数を削減できます。後継者や教育担当者の不足に悩む企業においても、スマートグラスは活躍するでしょう。
リベロエンジニアでもスマートグラスのアプリケーション開発を請け負っており、使いたい機能に合わせた柔軟な価格設定が可能です。
また販売代理店として、さまざまなメーカーと契約しているため、スマートグラス導入をご検討の方は、ぜひオールインでご相談ください。ご質問やお見積もりだけでも喜んでお答えいたします。
なお、リベロエンジニアが開発に携わったスマートグラスアプリの機能例は以下となります。
- 同時自動通訳機能
- 遠隔地連携機能
- 画像・音声・動画保存機能
- スマホアプリ連携機能
それぞれを詳しく解説します。
同時自動通訳機能
通訳機能を備えたスマートグラスを活用すると、外国人労働者への指示出しや教育、円滑なコミュニケーションを実現できます。通訳者を配置する必要がないため、人件費も削減できます。現場作業はもちろん、会議や懇談の場での活用もおすすめです。
業界特有の専門用語の通訳も可能なため、以下のようなメリットも得られます。
- 外国人労働者とのより円滑なコミュニケーションや教育
- スムーズな海外からの技術提供
- 国際的なプロジェクトの推進
- 海外顧客の満足度向上 など
遠隔地連携機能
スマートグラスを導入すると、遠隔地から現場社員に作業指示が出せるため、複数の製造拠点に1カ所の司令室から指示を出したい企業におすすめです。
音声や画像、動画を映し出すこともでき、マニュアルや資料の共有も簡単に行えます。
画像・音声・動画保存機能
スマートグラスを装着した技術者は、画像や音声、動画をワンタッチでサーバーやクラウドに保存できます。動画保存にはブックマーク機能が搭載されているため、整理や管理も簡単です。
スマートグラスを活用すると、各種データを簡単に保存できるため、現場の安全管理に役立ちます。例えば、事故やトラブルが発生した際に現場状況を即座に記録すれば、再発防止策を策定することが可能です。
また、設備の定期点検の際にも役立ちます。点検結果を撮影し共有することで、設備に劣化や破損がないか持続的に監視できるため、トラブルに繋がりかねない小さな異常も発見しやすくなるでしょう。
スマホアプリ連携機能
スマートグラスに対応したスマートフォンアプリも開発されており、それぞれを連携させると以下の機能が使えます。
- アプリからスマートグラスへのリモコン機能
- スマートグラスで撮影された動画へのブックマーク機能
- ヒヤリハット報告機能
- スマホ画像のスマートグラスへの転送機能
- ビデオ通話機能 など
スマホアプリとスマートグラスを連携すれば、パソコンの持ち込みが難しい製造現場でもスムーズに作業が進められます。例えば、監督者がスマホアプリを使い作業員がスマートグラスを装着すれば、画像共有機能やリモコン機能を使った指示出しが可能です。
製造業のDXにおすすめのツール4選【間接部門編】
バックオフィスなどの間接部門でも、DXツールの導入は効果を発揮します。直接部門へのDXツール導入は「コストが膨らみ過ぎる」「生産工程に影響が大きい」などの課題を抱えがちです。
直接部門へのDXツール導入を躊躇する場合は、まずは間接部門からDX化を推進すると良いでしょう。続いて、間接部門におすすめの以下4つのツールを紹介します。
- ERP
- CRM
- 人事管理ツール
- 文書管理ツール
ERP:企業のあらゆる情報を一元管理
ERPはEnterprise Resource Planningの略で、基幹システムやERPシステムと呼ばれています。直接部門で紹介したMESの上位に位置するシステムで、さまざまな部門のデータを一元管理できます。ERPがデータ管理できる部門は以下の通りです。
- 生産
- 人事
- 財務
- 物流
- 販売 など
ERPはさまざまな企業が提供しており、以下のように特徴が異なるため、自社に合うものを選ぶ必要があります。
- 製造業向け
- 海外拠点を持つ企業向け
- 大企業向け
導入コストは、中小企業向けで数百万円〜数千万円、大企業向けでは億単位になるでしょう。
また、ERPは部門の垣根を超えてデータを管理できるため、経営判断に役立ちます。人の手で収集するより、迅速にデータを集められる点も特徴です。
ERPは、データを元にした素早い経営判断を行っていきたい企業におすすめです。
CRM:顧客・営業関連情報を集約
CRMはCustomer Relationship Managementの略で、日本語では顧客管理システムと呼ばれます。顧客情報の正確な把握や社内コミュニケーションコストの削減に貢献します。また、売上分析や見込み客管理を行えば、マーケティングへの活用も可能です。
営業関連では、商談の進捗管理や担当者間での情報共有に役立ちます。見積もり作成のような事務処理サポート機能を持つCRMであれば、日々の業務でも活躍するでしょう。導入コストは、中小企業で数十万円〜数千万円、大企業では数千万円〜数億円程度です。
CRMは、顧客との関係性が長期間になる会社や、納品後のアフターフォローが必要な製品を取り扱っている場合におすすめです。また、顧客ごとにカスタマイズした製品を納品している場合も、CRMによる詳細な管理が必要になるでしょう。
人事管理ツール:勤怠管理や給与計算など
人事管理ツールを導入すれば、勤怠管理や給与計算などの作業を効率化できます。
勤怠管理機能が搭載された人事管理ツールを導入する場合は、製造業特有の勤務形態に対応できるものを選ぶ必要があります。製造業特有の勤務形態とは以下の通りです。
- 2交代制や3交代制など勤務形態がさまざま
- 期間工、派遣、パート、外国人労働者など多様な働き方のスタッフがいる
- パソコンが1人1台ではなく、操作に不慣れなスタッフも多い
多種多様な働き方に対応でき、かつスタッフが直感的に扱えるツールを導入すると良いでしょう。給与計算や人事評価管理と連携可能なシステムにすれば、事務処理の面でも工数削減できます。
人事管理ツールは、社員数が50人以上いる場合に導入するのがおすすめです。社員数が50人を超えると、手作業での人事管理に限界を感じミスも発生しやすくなるため、参考にしてみてください。
導入コストは使用する機能や社員数によって異なり、自社システムを開発する場合は、数百万円〜1,000万円以上になります。
文書管理ツール:設計図や作業手順書を集約
文書管理ツールを導入すれば、クラウドやサーバー上に書類を集約し、適切に管理や保存ができます。
製造業は設計図や作業手順書などの書類が多く、パソコンを持たないスタッフも多いため、ペーパーレス化が進みづらいでしょう。紙文化から脱却できていない場合は、文書管理ツールの導入がおすすめです。
文書管理ツール導入の際は、CADやERPなどの製造業特有のシステムと連携可能かを確認しましょう。
ただし、リリース前の製品仕様のような機密情報を管理したい場合は、強固なセキュリティ機能が搭載されているものを導入する必要があります。
また、文書管理ツールと併せてタブレットも導入すれば、パソコンがない現場でもデータを確認しやすくなります。
文書管理ツールの導入費用は、オンプレミス型かクラウド型かによって大きく異なります。企業独自のシステムを構築するオンプレミス型は、初期コストが高くなりがちで、導入費用は数百万円〜数千円程度です。
一方、クラウド型はツールを提供してくれる企業のシステムを利用するため、サブスクリプション費用として十万円〜数百万円かかります。
人事管理ツールや文書管理ツールの導入は総務部門が担当することが多いでしょう。総務業務のDX化や導入ステップについては、以下の記事で解説しています。
製造業にDXツールを導入する際の注意点
製造業でDXツールを長く効果的に使って行くためには、導入をゴールにせず、長期的な運用で成果を生むことを目標にしましょう。導入をゴールにしてしまうと、運用に伴うコストやトラブルへの意識が希薄になるため、継続して使いこなすことが困難になってしまいます。
また、デジタルツールにはトラブルがつきものです。社内に保守・運用をできる人材がいない場合、トラブルが起こる度に対応を外注しなければなりません。
外注費を抑えるためには、ツール導入の契約時にトラブル対応が金額に含まれているかを確認しましょう。トラブル対応を含めた年間契約を締結できれば、想定以上に外注費が膨らむ事態を防げます。
さらに、最低限の仕様を理解し、DXツール提供会社との橋渡しを行う担当者の設置は必須です。担当者を設置すれば、適切な価格での契約や、スムーズなトラブル対応が可能です。
成功事例3選!製造業にDXツールを導入して得られた効果とは?
DXツールを導入すると、どのような効果が得られるのかを把握しておけば、DX化の具体的なイメージが湧きやすいでしょう。以下3社の事例をもとに、DXツール導入の成功事例を紹介します。
- 沖電気工業株式会社
- 株式会社IBUKI
- 株式会社アイデン
【沖電気工業】2つの工場を仮想融合しコスト削減に成功
情報機器の製造メーカーである沖電気工業株式会社は、変化する顧客ニーズに対応するため、2つの工場の融合に取り組みました。
もともと工場ごとに異なる生産管理システムを使っていた同社では、共通仕様での生産ができない課題を抱えていました。工場間での共通仕様生産ができないと、社内での情報共有が困難になったり、部品の調達や在庫管理が煩雑になったりします。
このような課題を解決するために、生産管理システムの統合を進め、技術や情報の共通化を行いました。
他にも生産工程や施策プロセスの融合に取り組み、現在では2つの工場の連携に成功しています。コスト削減はもちろん、多品種小ロット生産や工場間技術交流のような競争力強化施策を実現しています。
【IBUKI】IoTを活用して熟練の技術を継承
金型の設計や製造を行っている株式会社IBUKIは、生産工程にIoT技術を導入しています。
熟練の技術が求められる金型成形において、若手社員への継承に課題を抱えていました。そこで、金型内に各種IoTセンサーを設置し、成形工程のデータ化に成功しました。IoTの導入によって、不具合の予測や原因解明、社員のスキルアップにも繫がっています。
同社では、IoT以外にもさまざまな工程でDX化を進めました。得られた知見やスキルを基に他社のDX化にも貢献しています。
【アイデン】独自ツール開発で新市場参入も可能に
株式会社アイデンは、制御盤の設計や製造を行っており「IWS(iDEN Wiring Solution)」を導入しています。IWSは、各工程の作業を可視化できるツールで、同社が独自開発したものです。
IWS導入前は、配線作業の属人化や人材育成の面で課題を抱えていました。IWSの導入により、配線図のデータ作成が容易になり、ペーパーレス化にも成功しています。作業指示が明確になったため、社員のスキルに応じた分業も実現しました。
同社ではIWSの導入によって生産効率を高め、新規の海外市場参入にも成功しています。
製造業向けのDXツールを導入して、生産性を高めよう!
変化する顧客ニーズに対応し競合優位性を高めていくには、製造業に適したDXツールの導入が必須です。コスト削減や生産性向上はもちろん、新サービスの開発にも繫がるでしょう。紹介したおすすめのツールを参考に、自社に合ったDXツールの導入を検討してみてください。
株式会社リベロエンジニアでは、優秀なエンジニアが製造業向けのシステム開発やDXコンサルを行っています。複雑なシステムの全容解明や、月300時間以上の工数削減に成功したコンサルティングなど、課題に合わせたサービスを提供しています。
また、次世代の製造業向けデジタルツールであるスマートグラスのアプリケーション開発にも注力してます。ご相談のみでも大歓迎ですので、ぜひお気軽にご連絡ください。
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