スマートグラスの活用事例5選!導入手順や支援企業の選び方も解説
2025.04.09

スマートグラスを活用すれば、多くの企業が現場業務の効率化やDX化を進められます。特に製造業、物流業、建設業、小売業界において、スマートグラスは作業の標準化や人手不足の解消、遠隔支援の強化など、多くの課題を解決する手段として注目されています。
しかし、自社の業務に本当に役立つのか疑問な方や、どのように導入を進めれば良いのか分からない方も多いでしょう。
本記事では、スマートグラスの具体的な活用事例を紹介し、導入の進め方も詳しく解説します。スマートグラス導入支援企業の選定のコツも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
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スマートグラスの活用事例5選
スマートグラスは、さまざまな業界での業務効率化や課題解決に貢献しています。実際の活用事例を知ることで、スマートグラスを導入した企業の業務改善効果や、得られた成果を把握できるでしょう。
スマートグラス導入で企業ができることの詳細や具体的な機能は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
下記5つの活用事例を詳しく紹介します。
- 【建設業】遠隔地からの現場確認で業務効率化|りんかい日産建設株式会社
- 【製造業】新人整備士のトレーニングを効率化|トヨタ自動車
- 【物流業】ARグラスの導入で従業員のモチベーションアップも|DHL
- 【農業】後継者育成および技術伝承の課題を解決|柿のミズオ
- 【エンタメ】字幕機能で聴覚障害者も映画を楽しめる|大阪ステーションシティシネマ
①【建設業】遠隔地からの現場確認で業務効率化|りんかい日産建設株式会社
出典:りんかい日産建設株式会社
「りんかい日産建設株式会社」は、海上土木や陸上土木の分野でノウハウを確立し、国内外で空港建設や防波堤築造などの大規模工事を手がけています。
同社では、スマートグラスの活用によって遠隔地からの現場確認を実現し、業務効率化に成功しました。従来、現場状況を確認するには担当者が現地に赴く必要があり、移動時間や旅費コストが発生していました。スマートグラス導入によって遠隔地からの情報共有が可能になり、迅速な意思決定やコスト削減が可能になっています。
具体的には、スマートグラスを装着した作業員が、現場の映像を遠隔地のオフィスへ配信します。遠隔地のオフィスには専門性の高い社員が待機しており、現場の作業員から配信された映像を見ながら指示を出せます。
スマートグラスを利用した遠隔指示によって、複雑な作業を要するときやトラブル発生時にスムーズな対応が可能です。専門性の高い人材が現場に行かなくても良いため、移動時間の削減やコストの低減にも繫がりました。
さらに同社では、スマートグラスを通じて得られたデータを分析し、業務プロセスの改善にも取り組んでいます。結果、作業効率や安全性が向上し、全社的な業務効率化に繫がっています。
②【製造業】新人整備士のトレーニングを効率化|トヨタ自動車
出典:トヨタ自動車
「トヨタ自動車」では、新人整備士のトレーニングにスマートグラスを活用しています。従来は分厚いマニュアルを読み込みながら手順を理解する必要があり、新人整備士の独り立ちまでに時間がかかっていました。
スマートグラスを装着して作業を行うと、部品の取り付け方や作業ステップが工程に応じて視界に表示されます。新人整備士は両手を空けたまま指示や情報を受け取ることができ、より効率的に作業手順を学べるようになりました。
指導者がその場にいなくても必要な情報を受け取れるため、教育担当社員の配置にも悩まなくなります。トレーニング終了後も、整備士が作業を行う際には随時情報が表示されるため、ミス削減に繫がっています。
同社ではスマートグラスの導入によって顧客への修理車両引き渡し時間短縮にも成功し、社員の労働時間短縮にも成功しました。
③【物流業】ARグラスの導入で従業員のモチベーションアップも|DHL
出典:DHL
「DHL」はドイツに本社を置き、国際宅配便事業を中心に物流業界を牽引しています。
同社は物流業界における倉庫内でのピッキング作業の効率化を目指し、AR機能を搭載したスマートグラス(以下、ARグラス)を導入しました。
作業員がARグラスを装着すると、ディスプレイ部分に商品の位置や数量、作業指示が表示されます。従来、作業員は指示書を手に持ってピッキングしていましたが、ARグラスの導入によってハンズフリーで迅速に作業を進められるようになりました。
結果、作業の正確性向上やミス減少に繫がり、生産性が15%向上しています。また、最先端技術の導入は作業員のモチベーションアップにも貢献しました。
ARグラスとスマートグラスの違いは、下記の記事で詳しく解説しています。AR機能が必要か判断に迷う方は、参考にしてみてください。
④【農業】後継者育成および技術伝承の課題を解決|柿のミズオ
出典:柿のミズオ
「柿のミズオ」は、富有柿専門の柿農家として生産・販売を行っています。
同社に限らず、農業分野では後継者不足や技術伝承の課題が深刻化しています。熟練した技術を持つ農業従事者が高齢化するなか、若い世代への知識や技術の引き継ぎが急務となっています。柿のミズオはスマートグラスを活用し、技術伝承の課題に取り組みました。
具体的には、若手の作業者がスマートグラスを装着し、柿作りの名人で在る先代職人からリアルタイムで指示・指導を受けます。先代職人は足腰が弱りつつありましたが、スマートグラスの活用によって事務所から身体の負担なく後進指導を実施できました。
本取り組みによって若手農家は即座に作業のフィードバックを受けることができ、効率良く柿作りを学べます。スマートグラスには作業手順を視覚的に表示する機能があるため、複雑な作業も分かりやすく指導できました。
熟練の勘が必要な間引き作業を遠隔指導したり、ドローン操縦時にスマートグラスを活用したりと、農業分野でのDX推進に貢献しています。
また、農業分野の人手不足や後継者育成問題も、スマートグラスで解決できる可能性があります。スマートグラスが解決できる農業の課題や活用事例は、下記の記事で詳しく紹介しています。
⑤【エンタメ】字幕機能で聴覚障害者も映画を楽しめる|大阪ステーションシティシネマ
出典:大阪ステーションシネマ
松竹マルチプレックスシアターズが運営する「大阪ステーションシティシネマ」では、スマートグラスの字幕機能を活用して聴覚障害者向けの字幕サービスを提供しています。映画のセリフや音声情報をリアルタイムでスマートグラスのディスプレイに表示することで、聴覚に障害のある顧客も気軽に映画を楽しめるようになりました。
従来、映画に字幕をつける作業はコストがかかるため、全ての最新映画への字幕対応は困難でした。同映画館では、スマートグラスを活用した「字幕メガネ」の誕生によって、低コストで字幕サービスを提供できています。
字幕メガネができたことで初めて家族全員で映画を見ることができた顧客も多く、エンターテインメント業界におけるインクルーシブ(※)な取り組みとして評価されています。
(※)インクルーシブ:あらゆる人々を平等に受け入れ、尊重すること。
字幕機能をはじめ、スマートグラスの見え方が気になる方も多いでしょう。視力が悪い人が使用する際の対応方法も含め、下記の記事で詳しく解説しています。
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スマートグラスの導入の進め方6ステップ
スマートグラスを効果的に活用するには、効率の良い導入ステップを踏むことが重要です。導入の進め方を把握していれば、無駄な時間やコストをかけずスムーズに運用開始できるでしょう。
スマートグラスの導入ステップを下記6つのステップに分けて、具体的に解説します。
- 自社課題の分析
- スマートグラスの選定
- アプリ開発
- 導入試験
- トレーニング
- 運用ルールの策定
①自社課題の分析
スマートグラスを導入する前に、自社の業務課題を分析します。業務効率化や生産性向上を目指すならば、問題が発生しているプロセスや、作業性の悪い工程を洗い出しましょう。
従業員のスキルや経験のばらつきが業務に影響を与えている場合もあります。
導入機種の選定に影響するため、想定される使用環境も明確にしておきます。例えば水に濡れる現場や粉塵が舞う環境の場合、耐水・耐塵制のあるスマートグラスを選ぶ必要があります。
②スマートグラスの選定
自社の業務ニーズや目的が明確になったら、課題に対応できるスマートグラスを選びます。例えば、遠隔支援機能やAR(拡張現実)機能が必要な場合、それらに特化したモデルを選ぶと良いでしょう。
また、使用環境も考慮する必要があります。建設現場や製造工場など、過酷な環境での使用を想定する場合は、耐久性や防塵・防水性能が高い製品を選びます。操作のしやすさやディスプレイの見やすさも選定基準に含めましょう。
企業での使用におすすめのスマートグラスは、下記の記事で詳しく紹介しています。
③アプリ開発
スマートグラスは自社独自のアプリ開発が可能です。自社の課題や業務フローに対応したアプリを開発すれば、効率良く業務改善できるだけでなく、コストカットにも繫がります。
例えば、リベロエンジニアが開発した建設業向けのスマートグラスアプリでは、同時自動通訳機能や遠隔地連携機能、さらには画像・音声・動画保存機能など、多彩な機能が搭載されています。独自アプリの活用により、作業員は現場で撮影した写真を専用のクラウドに転送し、リアルタイムで情報を共有することが可能になりました。
アプリ開発においては、機能の選定やカスタマイズが柔軟に行えます。スマートグラス用アプリの開発に興味のある方は、ぜひご相談ください。
④導入試験
スマートグラスはいきなり全社導入するのではなく、小規模な部署やチームで導入試験を行うのがおすすめです。業務効率化や作業標準化が実現できるかを確認し、必要に応じてアプリの改良や機能の追加・変更を検討します。
リベロエンジニアでは、大手住宅設備メーカーの倉庫内作業の効率化を目的として、スマートグラスの試験導入に参画しました。導入試験から伴走することによって、顧客の実情に合わせたアプリ提供が可能になっています。
⑤トレーニング
スマートグラスを導入したら、従業員へのトレーニングを実施します。トレーニング内容は、基本的な操作方法や、アプリの使用方法、トラブル発生時の対応まで幅広くカバーします。業務フローへの組み込み方を明確にして、部署内に広く周知することも重要です。
スマートグラスの運用開始後も、定期的なフォローアップや、フィードバックを受ける機会を設ければ、継続的なスキル向上が図れるでしょう。
⑥運用ルールの策定
実際のスマートグラス運用に向けた社内ルールの策定も重要です。使用目的や業務フローに基づいて、スマートグラスの利用範囲を明確化しましょう。
データの取り扱いやプライバシーに関するルールも設定します。特に、映像や音声を記録する機能がある場合、個人情報や機密情報保護のためのルールが必要です。故障や紛失など、トラブルが発生した際の対応方法や、故障時の社内サポート体制も策定・構築しておきましょう。
スマートグラスの導入支援企業の選び方5つ
スマートグラスの導入を成功させるためには、信頼できる支援企業を選ぶことが重要です。支援企業の選び方を知っておけば、スムーズに導入パートナーを見つけられるでしょう。
下記5つのポイントを解説します。
- アプリ開発が可能
- 自社の業務・業界への知識がある
- 最新のスマートグラスを納品できる
- 補助金・助成金の申請サポートが可能
- サポート体制が充実している
①アプリ開発が可能
スマートグラスの導入時には、自社専用のアプリ開発ができる企業を選びましょう。業務に特化したアプリを開発すれば、スマートグラスの機能を最大限に活用し、業務効率を向上させられます。
リベロエンジニアはVuzix社のM400スマートグラスの販売代理店として、機器の納入とアプリ開発を一括で依頼できるサービスを提供しています。ワンストップサービスを利用することで、依頼コストはもちろん、支援企業間の情報共有にかかる手間も削減できるでしょう。
②自社の業務・業界への知識がある
スマートグラスの導入を成功させるためには、支援企業が自社の業務・業界に深い理解を持っていることが重要です。業界特有の課題やニーズを把握している企業であれば、より的確な提案が可能になり、導入後の効果を最大限に引き出せるでしょう。
③最新のスマートグラスを納品できる
スマートグラス導入時には、最新の機種を納品できる支援企業を選びましょう。スマートグラス市場は技術進化が著しく、最新モデルの取り扱いができる支援企業との連携が、業務の効率化やDX推進に大きく貢献します。
リベロエンジニアはVuzix社のM400スマートグラスの販売代理店として、さまざまな企業のスマートグラス導入を支援しています。今後発売されるスマートグラスにも順次対応していく予定であり、常に最新の技術を取り入れることが可能です。
④補助金・助成金の申請サポートが可能
スマートグラスの導入時には、費用の補填が可能な各種補助金・助成金の利用も検討しましょう。具体的には、「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」が活用できる可能性があります。
リベロエンジニアには、補助金取得支援の専門家が在籍しています。事業規模や導入目的に応じた最適な補助金の提案や、申請手続きのサポートが可能です。
アプリ開発やシステム開発時に利用できる補助金の内容や申請方法は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
⑤サポート体制が充実している
スマートグラスの導入が初めての方や、使用経験が全くない企業も多いでしょう。導入を成功させるためには、サポート体制が充実している支援企業を選ぶことが大切です。
サポート体制が充実している企業は、導入前の相談にも親身になって対応してくれます。最適なコンサルティングにより、自社の課題に合う施策を提案してもらえるでしょう。技術的なサポートだけでなく、ユーザー教育や運用マニュアルの提供、定期的なフォローアップまで対応できる企業であれば、安心して支援を依頼できます。
スマートグラスを活用してDXを推進!
スマートグラスは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する強力なツールとして注目されています。リアルタイムでの情報提供や作業支援が可能なため、業務の効率化や生産性向上に大きく貢献するでしょう。
リベロエンジニアでは、建築業や製造業、サービス業など多種多様な企業のシステム開発を手がけてきた経験を活かし、スマートグラスのアプリ開発に取り組んでいます。スマートグラスメーカーとの販売代理店契約を締結することで、機器納品もお任せいただけるワンストップサービスを実現しました。
スマートグラス導入を相談したい方や業務改善に繫がるか判断したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。