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スマートグラスで農業の人手不足・後継者問題を解決!活用事例も紹介

2025.04.11

カテゴリー:スマートグラスとは
スマートグラスで農業の人手不足・後継者問題を解決!活用事例も紹介

スマートグラスの農業への活用は、人手不足や後継者問題、技術伝承などの課題を解決できる可能性があります。スマートグラスの遠隔支援機能を活用して専門性の高い人材から指示を受けたり、AR機能で作業手順を表示したりすれば、未経験者の就農・新規参入も促進できるでしょう。

しかし、スマートグラスのどのような機能が農業の課題を解決するのかを理解していないと、効果的な導入には繫がりません。農業でのスマートグラス活用の成功事例が少なく、具体的な利用イメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、スマートグラスが解決できる農業の課題と機能解説や、活用に成功した事例を紹介します。農業に適したスマートグラスの特徴や、おすすめ機種も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

スマートグラスが解決できる農業の課題と機能7つ

スマートグラスが解決できる農業の課題と機能

スマートグラスは、人手不足や後継者問題、技術伝承など、農業におけるさまざまな課題を解決します。解決できる農業の課題と具体的な機能を知れば、スマートグラスの導入イメージが湧きやすくなるでしょう。

下記7つの農業の課題とスマートグラスの機能を、詳しく解説します。

  • 人手不足解消|AR機能
  • 技術伝承|AI活用
  • 後継者育成|遠隔支援機能
  • 作業効率化|自動測定機能
  • 体調管理|健康管理機能
  • 新規参入の促進|ハンズフリーでマニュアル参照
  • 外国人実習生とのコミュニケーション|同時通訳機能

①人手不足解消|AR機能

農林水産省の予測によれば、今後20年間で基幹的農業従事者は現在の4分の1、約30万人にまで減少するとされています。

スマートグラスのAR機能とは、現実世界に重ねて仮想のデジタル情報を表示できる機能です。農業にAR機能つきのスマートグラスを導入すれば、作業効率化を促して人手不足解消に繫がるでしょう。

例えば、AR機能で畑上に平行直線を引き、畝立て作業を効率化できます。従来、畝立てをする際は、2人がかりで紐を引っ張り足跡で目印をつける必要がありました。スマートグラスのAR機能で仮想の平行線を表示すれば、ひとりでも簡単に作業を行えます。

スマートグラスはメガネのように身体に装着でき、ハンズフリーで利用できます。スマートグラスの活用によって、時間と体力の節約に貢献するでしょう。

スマートグラスのAR機能の詳細は下記の記事で詳しく解説しています。

②技術伝承|AI活用

スマートグラスとAIの連携は、近年大きく技術進歩しています。

農業では間引きや収穫のタイミングなど、熟練者の勘に頼ってきた部分が多く、経験の浅い新規就農者への技術伝承が大きな課題です。スマートグラスでのAI活用によって、熟練者の作業を「見える化」し、未経験者でも効率良く作業を行えるように支援する機能が開発されています。

ブドウの栽培では、房1つあたりの粒の数を調整する「摘粒」という作業があります。摘粒は品質向上や病害対策のために重要な工程ですが、限られた時間内で実施するには熟練の勘が必要です。

摘粒作業をサポートするAI機能を搭載したスマートグラスを通してブドウの房を見ると、現在の粒数がディスプレイ上に表示されます。この粒数はAIが自動カウントしたものであり、本機能によるサポートで経験の浅い人でも適切な摘粒ができるようになります。

③後継者育成|遠隔支援機能

スマートグラスには、装着者が見ている情報を転送して、遠隔にいる熟練者から指示・助言をもらう遠隔支援機能が搭載されています。

遠隔支援機能を活用すれば、熟練者が少ない農業現場でも、適切な指示・指導を受けられるでしょう。高齢の熟練者が畑に出向けない場合でも、自宅や事務所から複数の作業現場に指示を出せるようになります。

収穫時期に一時的に雇ったアルバイトに対しても、スマートグラスを通じて具体的な作業手順を示せます。記号や矢印を使った視覚的な指示もできるため、外国人実習生にも理解しやすいでしょう。

④作業効率化|自動測定機能

スマートグラスの自動測定機能は、計測作業を大幅に効率化できるとして注目されています。

農作物のサイズを測定したい場合、指で範囲を示すだけで物差しを使わず瞬時に計測できます。データをクラウドに保存すれば、生育状況の管理・分析が簡単になり、より効率的な農場経営が可能になるでしょう。

畑の面積や距離を測定することもできます。例えば、畑の面積や形状を把握し、トラクターの最適な運行ルートをスマートグラス上に表示します。作業時間削減はもちろん、無駄な移動を減らして燃料費の削減にも貢献するでしょう。

⑤体調管理|健康管理機能

ウェアラブル端末(※)であるスマートグラスは、作業者の健康状態をリアルタイムでモニタリングする機能を搭載可能です。

真夏の屋外作業では、熱中症が命に関わる重大なリスクとなります。スマートグラスを通じて心拍数や血圧を常にチェックし、身体に異常が起こる前に休憩を取るよう知らせることができます。特に高齢の作業者の場合、体調のモニタリングは命を守ることに繫がるでしょう。

(※)身体に装着するデジタルデバイスのこと。

⑥新規参入の促進|ハンズフリーでマニュアル参照

スマートグラスは、資料の参照や通話など、多くの機能がハンズフリーで利用できます。手を使わずに動画や画像でマニュアルを参照できるため、作業手順を確認するために手を止める必要がありません。

農業の現場では、作業手順が複雑であることが多く、初心者にとっては技術習得が大きなハードルとなります。スマートグラスには手順を1つずつ表示する機能もあるため、視覚的に確認しながら作業を進められます。

技術取得の難易度が大幅に下がり、未経験者の就農促進や新規参入に貢献するでしょう。

⑦外国人実習生とのコミュニケーション|同時通訳機能

スマートグラスの同時通訳機能を活用すれば、日本語が不自由な外国人実習生とのコミュニケーションを円滑化できるでしょう。

スマートグラスの同時通訳機能を使えば、相手の発話を瞬時に翻訳し、ディスプレイに表示できます。スマートグラス用のアプリを活用すれば業界用語の翻訳もでき、より専門的な会話にも対応できます。

リベロエンジニアが建築業向けに開発したスマートグラスアプリでは、従来翻訳が難しいとされていた業界用語への対応が実現しました。業界用語に対応すれば、より正確な通訳が可能となります。

他のスマートグラスの機能や、企業の活用方法は下記の記事でも詳しく解説しています。

スマートグラスを農業に導入した活用事例3つ

スマートグラスの導入が進み、農業現場での活用事例が増えてきています。具体的な成功事例を知れば、スマートグラスの実用性をより深く理解できるでしょう。

下記3つの事例を紹介します。

  • 【新潟県・おけさ柿】スマートグラスによる遠隔支援で剪定時間を14%削減
  • 【山梨県・シャインマスカット】AIによる作業指示で熟練技術を伝承
  • 【NTT東日本】ローカル5G技術で農業未経験者がトマト栽培に成功

【新潟県・おけさ柿】スマートグラスによる遠隔支援で剪定時間を14%削減

新潟県で生産される「おけさ柿」は、上品な甘さと風味があり人気の高い品種です。

剪定作業に熟練技術が必要なため、生産者の高齢化によって人手不足が深刻な問題となっていました。これらの課題を解決するために活用されたのが、スマートグラスの遠隔支援機能です。

スマートグラスを装着した作業者は、遠隔地にいる技術指導者からリアルタイムで指示を受けられます。作業者はスマートグラスを通じた指示に従いながら、効率良く剪定作業を進められ、剪定作業時間の14%削減に成功しました。

本事例では、スマートグラスを活用して剪定作業のための動画マニュアルも制作しました。熟練者の動作を3Dカメラで撮影し、VR(仮想現実)ゴーグルで見られるようにしたもので、動画マニュアルの活用によって、未経験者でも素早く農業技術を習得できるようになりました。

【山梨県・シャインマスカット】AIによる作業指示で熟練技術を伝承

シャインマスカットの栽培には熟練した技術が必要で、特に剪定や収穫のタイミングを見極めることが重要です。生産者は長年の経験を活かし、花の長さを調整する「房づくり」や、余分な粒を間引く「摘粒」などの作業を行っています。

難易度が高い熟練技術の伝承は、新規就農者にとって大きなハードルとなっていました。そこで導入されたのが、スマートグラスを活用したAIによる技術支援です。

作業者はスマートグラスを通じて果房や花房の画像を撮影し、AIが解析します。解析結果から導き出された作業指示をスマートグラスのディスプレイにリアルタイムで表示することで、適切な作業指示を出すことに成功しました。

AIによる作業指示によって、スマートグラスを装着した新規就農者の作業時間を、熟練者と同等レベルに短縮できました。

【NTT東日本】ローカル5G技術で農業未経験者がトマト栽培に成功

NTT東日本が実施した、ローカル5G技術を活用して農業未経験者がトマト栽培に成功した事例を紹介します。ローカル5Gとは、大量の情報を瞬時に転送できる高速通信技術です。

スマートグラスを装着した未経験者は、専門家からの指示を受けながらトマトの栽培を行います。ローカル5Gの高速通信によって、遠隔地にいる専門家はリアルタイムで作業の進捗を確認でき、作業者に指示を出します。

スマートグラスによる遠隔指示によって、トマト栽培未経験者でありながら糖度5~6度のトマト栽培に成功しました。

本事例では、スマートグラスを活用した生育データの取得作業にも取り組みました。スマートグラス装着者が指で示すだけで生育状況が自動計測され、28%の作業時間短縮に成功。収集されたデータは自動的に保存され、技術指導に活用されています。

農業に最適なスマートグラスの選び方5選とおすすめ機種

農業に最適なスマートグラスの選び方

スマートグラスを導入する際には、農作業に適した機種を選定する必要があります。選定ポイントを知れば、失敗なく導入を進められるでしょう。

下記5つの選定のコツと、おすすめの機種を紹介します。

  • 屋外作業に耐えられる
  • 長時間の使用に適している
  • AR機能が搭載されている
  • 高精度ディスプレイ搭載で遠隔支援に適している
  • 独自アプリが開発できる

①屋外作業に耐えられる

vuzix社の「M400スマートグラス」

出典:Vuzix

屋外作業が基本となる農業では、雨や風、直射日光などの厳しい条件下でも使用できる耐久性が求められます。IP規格に基づいた防水・防塵性能を備えたモデルであれば、故障や誤作動を防いで安心して使用できるでしょう。

Vuzix社の「M400スマートグラス」は、十分な防塵・防水性能があることを証明する「IP67(国際規格)」を取得しています。ディスプレイの見やすさや通信性能にも優れており、農作業の効率化に貢献するでしょう。

スマートグラスのアプリ開発を手がけているリベロエンジニアでは、M400スマートグラスの販売代理店契約を取得しています。

②長時間の使用に適している

フィールドクロス株式会社の「InfoLinker3」

出典:フィールドクロス株式会社

肉体労働を伴う農作業では、快適な装着感で長時間使用できることが重要なポイントです。軽量でフィット感のあるスマートグラスであれば、作業者が疲れにくく、集中力を維持できるでしょう。

バッテリーの持続時間も考慮すべきポイントです。長時間の作業をスムーズに行うためには、充電なしで一日中使用できる必要があります。

フィールドクロス株式会社の「InfoLinker3」はバッテリーが4,900mAhと大容量かつ作業中の交換も可能です。バッテリーがネックバンドに搭載されていて本体は軽量化されているため、装着者の負担も軽減されています。

③AR機能が搭載されている

Lenovoの「ThinkReality A3」

出典:Lenovo

畝作りのガイド線表示、剪定する果実の指示など、AR機能は農業作業を大きく効率化します。複雑な作業手順を視覚的に示せるため、未経験者や新規参入者の技術取得も促進するでしょう。

Lenovoが開発した「ThinkReality A3」のThinkReality A3 Industrial Editionは、Androidアプリを活用してAR表示が可能です。ThinkReality A3に限らず、スマートグラスにおけるアプリの利用および開発は、自社の作業工程に合った機能を搭載できるため、作業効率化に大きく貢献します。

④高精度ディスプレイ搭載で遠隔支援に適している

EPSONの「MOVERIO」シリーズ

出典:EPSON

高解像度のディスプレイを搭載したスマートグラスは、専門家からの指示や作業手順をリアルタイムで確認できるため、農作業の効率を大幅に向上させます。スマートグラスを通じて画像や動画を閲覧する場合、ディスプレイの精度が低いと表示内容が不明瞭になってしまいます。

EPSONの「MOVERIO」シリーズはHD(1280×720ピクセル)もしくはFull HD(1920×1080ピクセル)の高解像度ディスプレイを搭載しており、動画や資料の閲覧にも耐えられます。

スマートグラスでの各種情報の見え方が気になる方も多いでしょう。下記の記事では、見え方の詳細や、目に負担の少ないスマートグラスの選び方、目が悪い人への対応を解説しています。

⑤独自アプリが開発できる

農業におけるスマートグラスの利用は、取り扱う作物や農場の規模によって必要な機能が異なります。そのため、自社の状況や課題に対応した独自アプリの開発が重要です。

独自アプリの開発によって自社に必要な機能を持たせられ、余計な機能をそぎ落とせます。オーバースペックになることを防ぎ、コストカットにも繫がるでしょう。

リベロエンジニアでは、スマートグラス専用のアプリ開発とデバイス納品の双方に対応しています。建築業や住宅メーカー向けの専用アプリ開発を手がけており、貴社の課題に合ったスマートグラス導入をサポートします。

スマートグラスを活用した農作業効率化に興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

農業へのスマートグラス導入は補助金を活用!

スマートグラスの導入には、初期投資費用の捻出が大きな課題となります。費用面で課題がある場合、補助金の活用を検討しましょう。

例えば、アプリ開発やシステム開発に関連する補助金には、「IT導入補助金」や「ものづくり補助金」があります。農業関連の補助金には、スマート農機の導入を対象とする「強い農業づくり総合支援交付金」があります。

補助を受けられるかは導入目的や事業規模によって異なるため、自社の状況に合う補助金の選定が重要です。

リベロエンジニア社内には補助金取得支援の専門家が在籍しており、最適な補助金の提案や申請のサポートを行っています。アプリ開発、スマートグラスの納品、補助金申請の全てに一貫して対応できる体制を構築しており、スムーズなスマートグラス導入が可能です。

各種補助金の詳細は、下記の記事で最新情報を解説しています。

スマートグラスで農業の課題を解決しよう!

スマートグラスは、農業の現場でのさまざまな課題を解決します。人手不足や後継者問題、技術伝承などの深刻な課題を解消し、農作業効率化や生産性向上を促進するでしょう。

リベロエンジニアは、優秀なエンジニアが少数精鋭で企業の課題に合ったソリューションを提供しています。各種システムの受託開発やエンジニア派遣事業で培ったコンサルティング技術を活かして、各農場の作業工程や課題に合ったスマートグラスの活用方法を提案します。

スマートグラスを活用した農業の経営効率化に興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平

元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。

高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。

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