物流DXとは?企業が取り組むメリットや成功事例、補助金も解説!
2025.04.28

物流DXとは、物流分野の機械化・デジタル化を促進してビジネスモデルや企業風土を革新する取り組みを指します。物流需要増加や人手不足、燃料コスト増加に対応するためにも、物流DXへの取り組みは必須です。
しかし、物流DXの具体的な施策や、取り組むことで得られるメリットが分からない方も多いでしょう。本記事では、物流企業がDXに取り組むべき理由や解決できる課題を解説します。
併せて、初期投資の資金確保のような、つまずきやすい壁の乗り越え方や、物流DXに成功した企業の事例も紹介します。ぜひ貴社への技術導入の参考にしてください。
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物流DXとは?
物流DXとは、物流業界におけるデジタル技術の導入を通じて、業務プロセスやビジネスモデルを革新する取り組みを指します。
DX(ディーエックス)は「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、物流DXの読み方は「ぶつりゅうディーエックス」です。
物流DXによって、期待できる効果は下記の通りです。
- 生産性向上
- コスト削減
- 競争力獲得
- 顧客満足度向上
- 新しいビジネスモデルの創出
- 組織風土改革 など
そもそもDXとは?
そもそもDXとは、企業がデジタル技術を活用して生産性を向上させ、ビジネスモデルを革新することを指します。
単なるIT化・デジタル化とは異なり、ビジネスモデルや組織構造の変革までもを伴うことが特徴です。DXを推進すると、顧客体験の向上や業務の効率化、新たな収益源の創出が期待されます。
物流DXで物流分野の機械化・デジタル化を促進!
物流DXは、物流業界における機械化・デジタル化を進める施策です。具体的な施策は下記の通りです。
- 機械化:ドローン配送、自動配送ロボット、ピッキングロボット など
- デジタル化:手続きの電子化、配車管理のデジタル化 など
物流DXには、下記の先進技術が用いられます。
- IoT(モノのインターネット)
- AI(人工知能)
- ロボット
- スマートグラス など
上記の先進技術を活用すれば、従来の手作業やアナログな業務から脱却し、より迅速かつ正確な物流サービスを提供できるようになります。人手不足に対応し、働き方改革に繋げることも期待できます。
国土交通省が発表している「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」では、単なるデジタル化や機械化に留まるだけではなく、ビジネスモデルそのものを革新することが求められています。
物流DXに取り組むべき3つの理由
物流DXに取り組むべき理由を正確に把握していないと、DX化への社内機運を盛り上げることが難しいでしょう。下記3つの物流DXに取り組むべき理由を解説します。
- EC市場の発達による需要増加
- 物流人材および勤務時間の減少【2024年問題】
- 競合優位性の確保
①EC市場の発達による需要増加
近年、EC市場は急速に成長を遂げており、消費者の購買行動も大きく変化しています。スマートフォンやタブレットの普及で簡単に商品を購入できるようになり、小口荷物を中心とした配達需要が急増しています。
物流DXでデジタル技術を活用すると、在庫管理を用意にし、配送ルートを最適化できます。AIを活用した需要予測を導入すれば、競争力向上も期待できるでしょう。
②物流人材および勤務時間の減少【2024年問題】
2019年から順次施行された働き方改革関連法により、労働時間の上限が厳格化されました。「2024年問題」によって人手不足が深刻化しています。物流人材の有効求人倍率は年々増加しており、働き手の高齢化も進んでいます。
デジタル技術を活用すれば、少ない人材での業務遂行が可能になるでしょう。例えば、倉庫内で活躍するロボットを導入すれば、従業員の身体的負担を軽減したり、より少人数での作業が可能になったりします。
③競合優位性の確保
物流DXを推進することで、企業は競合他社に対して優位性を確保できます。レガシー業界である物流業界はDXが進んでいない企業が多く、DX化によってライバル企業に差を付けられるでしょう。
DXで活用されるAIは、ビッグデータの分析を得意としています。データ分析を通じて市場のトレンドや顧客のニーズを把握すれば、競合他社が追いつけないスピードでのサービス改善が可能になるでしょう。
なお、業界を問わず中小企業はDX推進が遅れているといわれています。中小企業がDX化を効率良く推進するコツや、成功事例を下記の記事で紹介しています。
物流企業がDXに取り組む4つのメリット
物流企業がDXに取り組むメリットを正確に把握していないと、社内合意の形成が困難になり、計画が頓挫してしまう可能性があります。下記4つのDXに取り組むメリットを解説します。
- 倉庫内業務が効率化できる
- 最適な配送ルートを算出できる
- 事務作業を自動化して人手不足を解消できる
- AIで需要を予測できる
①倉庫内業務が効率化できる
物流DXの導入により、倉庫内業務の効率化が実現します。主な導入できる技術と得られる効果は、下記の通りです。
導入できる技術 | 効果 |
倉庫管理システム | リアルタイムでの在庫状況の把握、過剰在庫削減 |
デジタルピッキングシステム | 作業時間の短縮、ミスの削減 |
倉庫内作業ロボット | 従業員の負担の軽減 |
スマートグラス | 作業効率化、作業標準化 |
特に、メガネ型のウェアラブルデバイスである「スマートグラス」は、DX推進に役立つ機能を数多く備えており、業務効率化に貢献しています。
例えばピッキング作業がしやすくなり、作業スピードのアップや配送ミスの削減などにつなげることが可能です。
スマートグラスで可能になることや活用事例については、下記記事で詳しく解説しています。
②最適な配送ルートを算出できる
AIを活用すれば、最適な配送ルートを算出できます。交通情報や走行距離を基にした最適な配送ルートをAIが提案することで、初心者でもすぐに効率の良い配送が可能になります。
1時間の配送時間削減に成功した事例もあり、燃料コストの削減にも期待できるでしょう。配送ミスや遅延が減少することで、顧客満足度の向上にも繫がります。
③事務作業を自動化して人手不足を解消できる
システム導入によって事務作業を自動化すれば、人手不足解消やミス削減に繫がります。例えば、受注処理や在庫管理、請求書の発行など、繰り返し行われる業務をシステム化することで、人件費削減も可能です。
また、多くの運輸業者が頭を悩ませる配車業務も、自動化が可能です。従来人間が考えていた作業をシステム化すれば、トラックのダブルブッキング防止や事務作業員の残業時間削減も期待できるでしょう。
④AIで需要を予測できる
従来の需要予測は、過去のデータや経験則に基づいていましたが、AIを導入すればより精度の高い予測が可能です。
AIは膨大なデータを瞬時に分析できるため、季節変動やトレンド、消費者の行動パターンなど全ての情報を考慮に入れられます。
正確な需要予測によって、在庫管理を最適化し、過剰在庫や欠品を防止できます。人員配置の最適化が可能になり、トラックの稼働率を向上させられるでしょう。
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物流DX推進の3つの壁と解決方法
物流DXを推進する際に、多くの企業がつまづきやすい壁があります。事前につまずきやすいポイントを知っておけば、コストや時間を無駄にせずDXを推進できるでしょう。
下記3つのつまずきやすい壁と、解決方法を解説します。
- 初期投資が高額になる
- 現場のITリテラシーが不足している
- 既存システムとの連携が難しい
①初期投資が高額になる【補助金】
物流DXを推進する際の大きな課題の1つが、初期投資の高さです。新しい技術やシステムを導入するには、設備投資やソフトウェアの購入、従業員の教育コストなどが発生します。
初期投資費用が捻出できない場合は、政府や地方自治体が運営する補助金制度を活用するのがおすすめです。補助金は原則返済の必要がないため、初期投資の負担を軽減できるでしょう。
具体的には、下記の補助金が活用できる可能性があります。
DXで活用できる補助金・助成金の一覧表を、下記の記事でまとめています。申請から受給の流れも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
②現場のITリテラシーが不足している
現場のITリテラシー不足は、物流DXを推進する上で大きな壁になります。
従業員が新しいシステムを使いこなせないと、導入した技術の効果を最大限に引き出せなくなるでしょう。経営陣のITリテラシーが不足している場合も、現場からのDX推進の要望が受け入れられず、技術導入が進みづらくなります。
多くの企業では、ITリテラシー不足を解決するために社内教育や外部研修が実施されています。
また、現場の意見を取り入れた使いやすいシステムを導入することも重要です。自社のワークフローや実情に合ったシステムを構築してくれるITベンダーと提携すると良いでしょう。
リベロエンジニアでは、定型のパッケージシステムを導入しておらず、企業ごとの業務フローに合ったシステムを提供しています。紋切り型のシステムではなく、自社の現場に最適化されたシステムを求めている方は、ぜひご相談ください。
③既存システムとの連携が難しい
既存システムとの連携の難しさも、物流DX推進の壁になります。多くの物流企業は長年にわたって運用してきたシステムを使用しており、新技術との互換性やデータ連携が課題となります。
例えば、倉庫管理システムや配送管理システムなど、複数のシステムが独立して運用されていると、情報の一元化が難しくなります。情報が一元化されていないと、データの整合性が損なわれたり、業務効率が低下したりするかもしれません。
最適なシステムを構築するためには、既存システムと柔軟に連携できるツールを選定する必要があります。具体的には、APIを活用したデータ連携や、クラウド導入などが挙げられます。自社での選定が困難な場合は、ぜひリベロエンジニアにご相談ください。
物流DXの成功事例3選!
物流DXに成功している事例を知れば、自社のDX推進のイメージがより具体的に描けるようになるでしょう。下記3つの成功事例を紹介します。
- 佐川急便|ルート最適化システムによって配送時間を1時間削減
- アスクル|手作業による6,000箱の投入をロボット化
- リベロエンジニア|スマートグラスで住宅設備メーカーの倉庫内作業を効率化
①佐川急便|ルート最適化システムによって配送時間を1時間削減
出典:佐川急便
宅配事業大手の佐川急便は、物流DXの取り組みとしてルート最適化システム「Loogia」を導入しました。Loogiaは、AIを活用して交通状況や天候、配送先の混雑具合などのデータを分析し、最適な配送ルートを算出します。
従来アナログで決めていた集配順序をシステム化したことで、効率の良いルートで配送できるようになりました。同社では配送時間の平均1時間削減に成功しています。
本取り組みによって、燃料コストの削減やCO2排出量の低減にも寄与しています。さらに、ドライバーの負担軽減にも繋がり、労働環境の改善にも繫がりました。
②アスクル|手作業による6,000箱の投入をロボット化
出典:アスクル
アスクルは事務用品を中心に、迅速な配送で差別化したEC事業を展開しています。近年出荷量が急増している同社では、重量のある出荷ケースの持ち上げのような、身体的負荷の高い作業が原因で離職者が発生していました。
そこで物流センターに作業用ロボットを導入したところ、6,000箱の出荷ケースの自動化に成功しました。人の手で行われていたときに比べ、大幅な時間短縮や作業員の負担軽減に繫がっています。
他にも、ピッキング用の棚搬送ロボットの導入によって、「商品棚が人の元まで動く」システムを構築しています。本ロボットの導入によって作業員の負担軽減はもちろん、収容在庫数の拡大や生産性向上にも繫がりました。
③リベロエンジニア|スマートグラスで住宅設備メーカーの倉庫内作業を効率化
出典:リベロエンジニア
リベロエンジニアは、大手住宅設備メーカーの倉庫内作業の効率化を目指し、スマートグラスの試験導入に参画しました。
倉庫内作業にスマートグラスを活用することで、作業員は下記の作業をハンズフリーで進められます。
- 点検作業
- 在庫管理
- マニュアル参照 など
紙資料やパソコン、タブレットを参照する必要がないため、生産性向上や作業ミス減少が期待できます。業務の属人化を防止し、新人でもスムーズに作業できるようになる点も、スマートグラス導入のメリットです。
本プロジェクトは試験運用が終了し、生産性向上に効果があるとして本格導入に至りました。スマートグラスの導入に興味のある方は、ぜひリベロエンジニアにご相談ください。
また、物流DXの成功事例をもっと知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。物流DXを成功させるコツや、導入手順も解説しています。
物流DXで業務改善&ライバル企業と差をつけよう!
物流DXは、単なる技術導入にとどまらず、企業全体のビジネスモデルや組織風土を革新する重要な取り組みです。
レガシー産業である物流業界は、効率性やコスト削減が求められているものの、デジタル化の波に乗り遅れている企業も少なくありません。業界に先駆けて物流DXを推進することで、業務効率化や顧客満足度向上、競合優位性の確保に繫がるでしょう。
リベロエンジニアは企業のDXを目的としたシステム構築を数多く手がけています。パッケージ型の定型システムではなく、顧客企業の実情や業務フローに即したシステム開発に強みがあります。
また、企業へのスマートグラスの普及にも注力しており、専用アプリ開発とデバイス納品、補助金申請サポートまでをワンストップで提供できるサービス体制を構築しています。
物流DXが課題であると感じている方は、ぜひリベロエンジニアまでご相談ください。
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【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。