物流DXの成功事例6選!成功させるコツや導入ステップも解説
2025.04.22

物流DXの成功事例を知れば、自社でのDX推進のイメージが沸き、導入判断もしやすくなります。物流DXには「倉庫作業ロボットの導入」や「AIによる配送ルート最適化」などがあり、業務効率化や人手不足解消に貢献します。
具体的な物流DXの成功事例や、導入の進め方が分からない方も多いでしょう。本記事では、国内外の成功事例を6つ紹介するとともに、物流DXを成功させるポイントを解説します。
物流DXの導入手順もステップバイステップで分かりやすく解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
物流DXとは?
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、物流業界においてデジタル技術を活用し、組織改善や新ビジネスを創出する取り組みを指します。具体的には、下記の先進技術を導入し、業務効率化やコスト削減、顧客満足度の向上を目指します。
- AI
- IoT
- ロボット
- ビッグデータ解析
- スマートグラス など
物流DXは単なる技術導入にとどまらず、企業文化変革や働き方改革を伴うため、全社的な取り組みが求められます。なお、物流DXの読み方は「ぶつりゅうでぃーえっくす」です
【国内・海外あり】物流DXの成功事例6選!
物流DXは、国内外で多くの企業が取り組んでいます。他社の成功事例を知れば、自社への導入のヒントを得られるでしょう。
成功事例として、下記6社の取り組みを紹介します。
- Amazon|棚が人の元に移動するピッキング革命を実現
- 日本郵政|AIによる配送ルート最適化で人員不足に対応
- ヒサノ|自動配車システムを開発、受注処理作業を効率化
- 長野県伊那市|ドローン配送で買い物困難者の生活を支援
- DHL|スマートグラスを活用して倉庫内作業の生産性が15%改善
- 得力グループ|スマート物流センター建設で全工程を効率化、事業拡大も
Amazon|棚が人の元に移動するピッキング革命を実現
世界最大のECプラットフォームであるAmazonは、ピッキング作業の効率化を実現するためにアマゾンロボティクス(Amazon Robotics)を導入しました。本システムは、従来の「人が商品保管場所まで歩く」ピッキング方式とは異なり、商品棚が自動で作業者の元に移動する仕組みです。
アマゾンロボティクスの導入によって、作業員は徒歩移動する必要がなくなり、ピッキング作業時間を大幅に短縮できました。作業者の負担軽減によって労働環境の向上にも繫がりました。なお、国内最大級のAmazon倉庫である「相模原フルフィルメントセンター」では、約3,000台のアマゾンロボティクス用ロボットが導入されています。
また、Amazonの倉庫では下記の業務がDXによって自動化されており、ヒューマンエラーが起こりにくいよう管理されています。
- 入荷時の商品登録
- ピッキング商品の特定
- 注文情報の管理
- 梱包材の選定 など
日本郵政|AIによる配送ルート最適化で人員不足に対応
出典:日本郵政
日本郵政は、近年の人手不足問題に対処するため、AIを活用した配送ルートの最適化に取り組んでいます。
具体的には、AIが過去の配送データを分析し、交通状況や天候などを考慮した最適なルートを自動的に算出します。AIが導き出したルート通りに配送することで、配送時間短縮や燃料コスト削減が実現しました。配送ミスの減少によって顧客満足度の向上にも貢献しています。
コロナ禍を経てEC需要が拡大し、物流業務も増大しています。本システムによって初心者ドライバーでも滞りなく業務遂行できるようになり、人手不足問題解決の一助になっている例です。
ヒサノ|自動配車システムを開発、受注処理作業を効率化
出典:ヒサノ
ヒサノは大型精密機器や医療機器の輸送を手がける運送会社です。同社では、受注処理の効率化を目指し、自動配車システムを独自開発しました。
本システムでは、案件ごとに作業内容・必要人数・時間帯などを入力するだけで、最適な配車を自動で行えます。従来は手作業で配車業務を行っていたため、大幅な時間短縮を実現しました。
自動配車システムによって作成された配車情報はクラウドに保存され、各担当者は端末を通じていつでも確認できます。従来は紙の台帳をめくる必要があったため、情報共有も大きく効率化できました。
DXに取り組み始めた当初、社内に全くIT知見がなかった同社ですが、自治体や地元金融機関、ITベンダーと適切に連携することで本システムの開発に成功しました。国から「DX認定事業者」に認定され、デジタル人材の採用や新事業投資にも取り組んでいます。
長野県伊那市|ドローン配送で買い物困難者の生活を支援
出典:長野県伊那市
長野県伊那市では、ドローンを活用した配送サービスが導入され、買い物が困難な高齢者や障害者の生活を支援しています。
伊那市では、地域住民がケーブルテレビ経由や電話で商品を注文すると、当日中に自宅や最寄り公民館へドローンが商品を届けます。ネット通販よりも速く届くため、買い物に出かけることの難しい住民が、手軽に生活物資を入手できるようになりました。
ドローンが運べない大型荷物や悪天候時は陸路で配送しており、柔軟な運用も特徴です。
本プロジェクトは、地元スーパーの販路拡大を支援し、地域活性化にも繫がっています。災害時には、孤立集落への支援手段としての活用が期待されています。
DHL|スマートグラスを活用して倉庫内作業の生産性が15%改善
出典:DHL
DHLはドイツ本社の国際物流企業で、国際宅配便や貨物輸送などを手がけています。
同社では、倉庫内作業の効率化を目的としてスマートグラスを導入しました。作業員がスマートグラスを装着すると、ディスプレイ上に作業指示が表示されます。
リアルタイムで指示を受け取り、両手が空いた状態で作業を進められるため、ピッキングや在庫管理の精度向上が期待できます。スマートグラスの導入により、DHLは倉庫内作業の生産性を15%改善することに成功しました。
スマートグラスの導入は日本国内の倉庫でも進められています。スマートグラス用のアプリ開発やデバイス納品サービスを手がけるリベロエンジニアは、大手住宅設備メーカーへの試験導入に参画しました。
本試験運用では、倉庫での点検作業や在庫管理業務での効率化が認められ、本格導入に成功しています。
物流DXに貢献するスマートグラスについて、より詳しく機能や効果を知りたい方は、下記の記事もご確認ください。
得力グループ|スマート物流センター建設で全工程を効率化、事業拡大も
出典:得力グループ
中国に本社を置き、アジア最大の文房具・オフィス用品メーカーである得力グループは、最新のテクノロジーを搭載した「スマート物流センター」を建設しました。
本センターでは、入荷から出荷までの全行程を自動化し、人件費削減やヒューマンエラー減少に成功しています。自動発注システムの導入で、無駄な在庫を削減し、大幅なコスト削減にも繫がりました。
同社では、スマート物流センターの建設を通じて、事業拡大にも積極的に取り組んでいます。出荷能力と保管スペースの拡充により、中国全土に広がるサービスエリアからの多様なニーズにも、余裕を持って対応できる体制が整いました。
物流DXを成功させる4つのポイント
物流DXは時間もコストもかかる取り組みなため、必ず成功させたいと考える方も多いでしょう。物流DXを成功させるコツを知っていれば、最短ルートで投資コストを回収できます。
物流DXを成功させる下記4つのポイントを解説します。
- 自社の課題を明確にする
- DX導入の目標を設定する
- 適切なITツール・システムを選定する
- スモールスタートで導入し、段階的に拡大する
①自社の課題を明確にする
物流DXを成功させるための第一歩は、自社の課題を明確にすることです。
まずは現状の業務内容を見直し、非効率な業務フローや人手不足が課題となっている部署を洗い出します。アナログな業務フローによって従業員の不満が溜まっているケースも少なくないため、現場のヒアリングも丁寧に行いましょう。
課題を明確にすれば、必要なDX施策を具体的にイメージできるようになります。社内の関係者と課題を共有でき、DX推進のための合意形成もスムーズに進むでしょう。
②DX導入の目標を設定する
課題抽出が終了したら、具体的かつ測定可能な目標を設定しましょう。例えば、下記のような定量的な数値目標(KPI)を掲げることで、進捗を評価しやすくなります。
- 配送時間を20%短縮する
- 在庫管理の精度を90%以上に向上させる
また、目標達成に向けた期限を設定することで、プロジェクトの進行状況も管理しやすくなります。
③適切なITツール・システムを選定する
自社の課題に合ったツールや技術を選定すれば、DXが効率よく進められます。例えば、倉庫管理システム(WMS)や配送管理システム(TMS)など、特定の業務に特化したツールを導入すれば、業務効率化がスムーズに進むでしょう。
DXにはさまざまな最先端技術が用いられます。下記の表に示した通り、物流企業の課題に応じた最先端技術を利用すれば、よりライバル企業に差を付けられるでしょう。
最先端技術 | 得られる効果 |
AI | 需要予測、配送ルート最適化 |
ロボット | 倉庫内作業代替(特に重量物) |
スマートグラス | ピッキング作業効率化 |
クラウド | 社外ドライバーとの情報共有 |
DXに活用される最先端技術の詳細は、下記の記事でも詳しく解説しています。
④スモールスタートで導入し、段階的に拡大する
物流DXを推進する際は、スモールスタートを心掛けましょう。初めから大規模なシステムを導入するのではなく、まずは一部の業務や部署で試験的に運用します。実際の効果や導入後の課題を把握できるため、リスクを最小限に抑えられます。
例えば、一部の倉庫作業や配送ルートの最適化から始め、得られたデータや成功体験を基に段階的に拡大します。少しずつ推進することで社内からの反発が生じにくくなり、「コストをかけてシステム導入したのに社内浸透しない」といった失敗を防げるでしょう。
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物流DXの導入6ステップ
物流DXを成功させるためには、正しい導入ステップを踏むことが重要です。成功しやすい導入ステップを踏襲すれば、コストも最小限に抑えられるでしょう。
下記6つの導入ステップを解説します。
- 課題抽出および社内合意形成を行う
- 導入計画を策定する
- DX支援企業と連携する
- 補助金の利用を検討する
- 一部の部署・業務で導入する
- 全社導入を進めつつ、継続的に改善する
①課題抽出および社内合意形成を行う
物流DXを成功させるための第一歩は、現状の業務プロセスにおける課題を明確にすることです。自社の物流業務を詳細に分析し、非効率な部分を洗い出しましょう。初期の課題抽出は、DX導入の方向性を決める重要な作業です。
課題抽出を進めつつ、社内での合意形成を図ることも重要です。特に、経営層と現場従業員とのコミュニケーションを密に行い、双方の意見を取り入れます。
課題抽出段階から社内のキーパーソンを巻き込めば、DX推進の機運を高められるでしょう。
②導入計画を策定する
次に、具体的な導入計画を策定します。計画には下記の要素を盛り込みます。
- 導入する技術やシステムの選定
- 必要なリソースの確保
- 導入スケジュールの設定
導入技術の選定にあたっては、業界のトレンドや他社の成功事例を参考にし、自社の課題に最も適したものを見極めます。自社単独での導入計画策定が困難な場合は、課題抽出や計画策定段階からDX支援企業と連携するのもおすすめです。
③DX支援企業と連携する
DX推進を成功させるためには、専門的な知識や技術を持つDX支援企業との連携が不可欠です。DX支援企業は、最新技術やDX推進のトレンドに精通しており、自社に最適なアドバイスや解決策を提供してくれます。
DX支援企業選定の際には、物流業界の知見があり、支援実績が豊富なITベンダーを選ぶと良いでしょう。リベロエンジニアでは、豊富な受託開発やITコンサルティングの経験を活かし、優秀なエンジニアが少数精鋭で企業のDX推進を支援しています。
少数精鋭のエンジニアで開発チームを組むため、スピード感かつ柔軟なシステム開発が可能です。DX推進にお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
④補助金の利用を検討する
物流DXの導入は、初期投資が大きな負担となりがちです。初期費用の捻出に課題がある場合、補助金・助成金の活用を検討するのがおすすめです。利用可能な補助金の例は、下記の通りです。
リベロエンジニア社内には、補助金取得支援の専門家が在籍しており、最適な補助金の提案や申請のサポートを受けられます。DX関連で取得できる補助金については、下記の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
⑤一部の部署・業務で導入する
物流DX成功のためには、一部の部署や業務でスモールスタートし、成功体験を積むことが大切です。DX導入の効果を実感しやすく、問題点や改善点を早期に把握できるでしょう。
最初の導入には、DX推進に理解・興味がある部署や、大規模な装置やシステム導入が伴わない業務を選ぶのがおすすめです。
スモールスタートのDX導入は、従業員の抵抗感を軽減する効果もあります。成功事例を社内で共有すれば、他の部署の理解や協力を得やすくなり、全社的なDX推進の下地を築けるでしょう。
⑥全社導入を進めつつ、継続的に改善する
一部部署でのDX導入に成功したら、全社的な展開を進めます。従業員向けの研修・トレーニングを丁寧に実施しつつ、段階的に本格運用へ移行すると良いでしょう。
DXは一度導入すれば終わりではなく、継続的な改善が不可欠です。業務フローや事業環境の変化、最新技術の進化に応じて、システムのアップデートを行いましょう。
DX推進の最も避けたい失敗は、「システム導入したは良いものの使い物にならない」と従業員に評価されてしまうことです。最新技術が実際の作業者に受け入れられているか、業務改善に寄与しているかを、定期的に確認しましょう。
物流企業の業務はDXで効率化!
事業環境が大きく変化し、人手不足にも悩まされる物流企業にとって、DX推進は不可欠です。従来の手作業やアナログな業務フローをデジタル化すれば、コスト削減や人手不足解消、顧客満足度向上に繋がるでしょう。
リベロエンジニアでは、パッケージ型のシステム納品は行っておりません。丁寧なヒアリングを通じて、貴社の実情や業務フローに合ったシステム開発を提案いたします。
倉庫内作業の効率化に効果的な、スマートグラスの納品・アプリ開発にも対応可能で、補助金関連もご相談いただけます。自社でのDX推進に不安がある方は、DX支援の実績が豊富なリベロエンジニアにぜひご相談ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。