業務の効率化を図る4つの方法!具体例とお役立ちITツール8選も紹介
2025.05.26

「業務の効率化を図る」とは、単に作業時間を短縮することではありません。業務の無駄をなくし、生産性を高め、働きやすい環境をつくることが目的です。
業務の効率化を図る具体的な方法を探している方も多いでしょう。本記事では、業務効率化に効果的な方法を具体例とともに解説します。
効率化に役立つITツールも、具体的なサービス名を含めて8種類紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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業務の効率化を図るとは?意味と目的をわかりやすく解説
業務の効率化とは?
業務の効率化とは、限られた時間やリソースの中で無駄を減らし、成果を最大化することです。例えば、同じ作業を短時間で終えられるようにしたり、担当者がいなくても業務が進む仕組みを整えたりします。
ただし、単にスピードを上げるだけではなく、質や再現性を高める点を重視する点がポイントです。業務フローを見直し、無駄や属人化を解消すれば、組織全体の生産性や働きやすさの向上にも繋がります。
業務効率化が必要とされている理由
近年、多くの企業が業務効率化に取り組んでいます。その背景には、下記の社会的な要因が挙げられます。
- 人手不足
- 働き方改革
- デジタル化の加速 など
人員が限られる中小企業では、非効率な業務が生産性向上や売上拡大のボトルネックになりがちです。また、業務効率化は社員の負担軽減やミスの防止、サービス品質の向上にも直結します。
最新のデジタル技術やITシステムを駆使して業務効率化を推進する取り組みを「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と呼びます。DXは単なるシステム導入にとどまらず、企業の競争力強化や新しいビジネスモデル創出にも繋がる取り組みです。
DXは時間もコストも必要な取り組みのため、ハードルの高さを感じている方も多いでしょう。中小企業向けのDX支援サービスについて、下記の記事で最新情報をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
業務の効率化を図るために必要な3つの準備
本格的に業務効率化を図る前に、進めておきたい準備があります。事前準備を抜かりなく実施すれば、スムーズに業務効率化を進められるでしょう。
下記3つの事前準備を詳しく解説します。
- 現状の業務フローを「見える化」する
- 課題を整理し、優先順位をつける
- 社員の声を取り入れる
① 現状の業務フローを「見える化」する
本格的な業務効率化に取り組む前に、現状の業務フローを正しく把握することが重要です。業務の流れを図式化し、「誰が」「いつ」「何を」「どのような手順で」実行しているかを明確にしましょう。成果に関わらない無駄な作業や重複業務が把握できれば、効率化すべき業務が見えてきます。
業務フローの可視化には、フローチャートやプロセスマップの活用がおすすめです。Excelを活用した自作も可能ですが、難しく感じる場合は業務フローの可視化を手助けするツールも多数リリースされています。具体的なITツールは後ほど紹介します。
② 課題を整理し、優先順位をつける
次に、洗い出した課題をリストアップします。その上で、緊急度や売上への影響度に応じて、効率化に取り組む優先順位をつけます。
全ての課題を一度に解決するのは現実的ではないため、改善効果が高く、早く着手できるものから取り組みましょう。効果が分かりやすい課題から取り組めば、社内の業務効率化に対するモチベーションも向上します。
③ 社員の声を取り入れる
業務フローの可視化や課題整理の段階から、社員の声を積極的に取り入れましょう。下記のような作業は業務効率化を阻害しやすく、課題抽出には現場目線が欠かせません。
- 多くの社員が「効率が悪い」「もっと良いやり方があるのに」と感じている
- マニュアル外の対応が恒常的に発生している
- 属人化しており、特定の社員がいないと作業が進まない
- 作業目的を理解しないまま、昔からのやり方を踏襲している
改善の過程に社員を巻き込むことで、社内の協力体制も生まれやすくなります。現場の納得感がないと業務改善は進まないため、直接のヒアリングによる改善ニーズの発掘は積極的に実施しましょう。
【具体例あり】業務効率化の方法4選
業務効率化を進める方法は数多くあるため、改善効果の高い手法から着手するのがおすすめです。実際に業務の効率化を図ることができた企業・自治体の事例も併せて学べば、より具体的に成功イメージが湧きやすくなるでしょう。
下記4つの方法と事例を解説します。
- 業務マニュアルの整備|生活協同組合コープさっぽろ
- ペーパーレス化・デジタル化の推進|つくば市
- 定型業務の自動化|三井住友銀行
- 業務のアウトソーシング|セブン銀行
① 業務マニュアルの整備|生活協同組合コープさっぽろ
業務マニュアルの整備は、属人化防止や教育コスト軽減に効果的です。
「最強の業務マニュアル」として有名な無印良品の「ムジグラム」では、ただ単に業務フローを列挙するにとどまらず、当該業務の目的を全社員に理解させるところまで落とし込んで作成されています。また、現場の声を反映して日々改善し、その更新率は年間12%にもおよびます。
ムジグラムを参考に業務マニュアル作成に取り組み、成功したのが生活協同組合コープさっぽろです。同組合では、業務マニュアルの作成・改善に2度取り組んだものの、どちらも社員に定着しない失敗がありました。
その後、ムジグラムを参考にトップダウンで詳細なマニュアルを作成したところ、新人教育の効率化や作業品質の均一化に成功しています。より分かりやすいマニュアルとするためにショート動画も導入し、日々改善されています。
② ペーパーレス化・デジタル化の推進|つくば市
出典:つくば市
紙の書類に依存した業務は、非効率の温床です。近年はデジタル化の流れが促進しており、環境配慮への機運も高まっているため、多くの企業や自治体が紙資料からの脱却を試みています。
つくば市では、大量の紙資料を用いた会議運営が恒常化していました。1人分が数百ページにのぼる会議資料を出席者70名分印刷することもあり、修正対応にもコストが発生していました。
そこで同市が導入したのが、ペーパーレス化を促進できる会議システムです。会議資料をタブレット端末で表示できるようにし、ペーパーレス化目標(年間25万枚削減)に対する実現の道筋が立つようになりました。
同市のようなデジタル化の取り組みは、DXの典型例です。DX推進成功のコツや得られるメリットについて、下記の記事で詳しく解説しています。
③ 定型業務の自動化|三井住友銀行
出典:三井住友銀行
定型的な事務作業の効率化には、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入が効果的です。RPAは、人間が行っていた単純な繰り返し作業を、ソフトウェアロボットが自動で処理する技術です。近年は幅広い業種・業務で導入が進んでおり、中小企業でも活用されています。
三井住友銀行では、2017年からRPAを導入しました。口座開設後のデータ入力やチェック業務など、毎日同じ手順で行う定型業務の自動化に成功しています。
さらに、社員自身がRPAを使って自身の業務を効率化できるように支援しました。RPA関連の取り組みの結果、グループ全体で600万時間弱の業務時間削減に成功しています(2022年度末時点)。
④ 業務のアウトソーシング|セブン銀行
出典:セブン銀行
ノンコア業務を専門業者にアウトソーシングすれば、業務負担の軽減が図れます。ノンコア業務とは、下記のような企業の利益に直結しない業務を指します。
- バックオフィス業務(経理、総務など)
- 顧客対応
- 設備管理 など
セブン銀行では、日々発生していた大量の定型業務を中国のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に委託しました。従来は60人の従業員で1日800件以上紙ベースの口座開設に対応していましたが、現在は本業務のデータ入力をアウトソーシングしています。
結果、効率化とコスト削減に成功し、浮いた社内リソースをコア業務にシフトさせられるようになりました。
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業務の効率化を図るために役立つITツール8選
業務の効率化を図るには、最適なITツールを選定する必要があります。自社の課題に適したITツールを選べば、最短かつ低コストで業務効率化に成功できるでしょう。
下記8つのITツールを、具体的なツール紹介とともに解説します。
- AIチャットツール|ChatGPT、Gemini
- 情報整理ツール|Notion、Evernote
- タスク管理ツール|Trello、Backlog
- 統合オフィスツール|Google Workspace、Microsoft 365
- 業務アプリ作成ツール|kintone、Power Apps
- クラウド会計ソフト|freee、マネーフォワード
- RPAツール|Power Automate
- 社内チャットツール|Slack、Chatwork
① AIチャットツール|ChatGPT、Gemini
AIチャットツールは、下記のような幅広い業務で活用できます。
- 質問への自動応答
- 文章作成
- 調査業務の代行 など
代表的なAIチャットツールは、Open AIが開発したChatGPTや、GoogleによるGemini(旧Bard)が挙げられます。
AIチャットツールは顧客対応にも活用されており、チャットボットで問い合わせ対応の自動化・省力化が可能です。AIチャットツールはコードの知識がなくても操作できるため、ITが苦手な人でも直感的に使えます。
② 情報整理ツール|Notion、Evernote
情報整理ツールはクラウド上に企業が抱える情報を一元集約できるシステムです。例えば、下記のような使い方が有効です。
- 各社員が個人的に保有・管理していた業務関連の知識を全員に共有
- 議事録を回覧やメール送信の手間を省いて即座に公開
- マニュアルを公開してリモートワークの社員とも共有 など
情報整理ツールは情報の属人化を防ぎ、「あの人に聞かないと詳細が分からない」「特定の従業員がいないと仕事が回らない」といった状況を打開できます。代表的な情報整理ツールはNotionやEvernoteが挙げられます。
③ タスク管理ツール|Trello、Backlog
タスク管理ツールはチームでのタスク進行状況を「見える化」し、スムーズな業務進行を支援します。
例えば、Trelloは看板方式で直感的に操作でき、シンプルな操作性が魅力です。Backlogはガントチャートや修正履歴管理など多くの機能を備えており、開発業務にも対応できます。
タスク管理ツールは製品ごとに管理方法が異なるため、自社の業務フローに合ったツールを選ぶことが大切です。無料トライアルを利用して、実際の運用に適しているかを確認してみましょう。
④ 統合オフィスツール|Google Workspace、Microsoft 365
統合オフィスツールとは、日常業務に必要な機能を一元集約して使えるクラウド型ITツールです。例えば、下記のような業務が集約できます。
- メール
- 文書作成
- 表計算
- スケジュール
- オンライン会議 など
代表的なサービスは、Google WorkspaceやMicrosoft 365が挙げられます。
必要な機能を1つのサービスに集約すれば、作業効率の向上やデータ連携の容易化が可能になります。リアルタイムでの共同編集やマルチデバイス対応など、柔軟な機能を備えたサービスはテレワーク時代に欠かせません。
⑤ 業務アプリ作成ツール|kintone、Power Apps
業務アプリ作成ツールとは、特定業務に特化したアプリをプログラミング不要で作成できるITツールです。目的に合わせて複数の機能を組み合わせられ、業務フロー変更にも柔軟に対応できます。
kintoneは業務に合わせたカスタマイズがしやすく、下記のような場合に効果を発揮します。
- 業務フロー内にばらばらのシステムが混在している
- 紙ベースの業務フローになっている
Power AppsはMicrosoft製で、下記のようなシステム作成で活用されています。
- 予約システム
- 在庫管理システム
- 社内承認システム など
既存のOffice製品と連携しやすい点がメリットです。
⑥ クラウド会計ソフト|freee、マネーフォワード
クラウド会計ソフトは下記業務の自動化に優れており、経理作業の効率化に欠かせません。
- 帳簿管理
- 経費精算
- 請求書発行 など
銀行口座やクレジットカードと連携すれば、入力の手間が省け、リアルタイムで収支管理が可能になります。税理士との連携もスムーズになるでしょう。
代表的なサービスには、freeeやマネーフォワードがあります。経理業務に精通した従業員がいない企業でも活用されています。
⑦ RPAツール|Power Automate
RPAツールは、日々発生する定型業務(繰り返し作業)を自動化します。例えば、下記のような業務が自動化できます。
- 各種申請の承認業務
- メール添付ファイルの保存
- 定型メールの送信 など
Power AutomateはOffice製品やクラウドサービスとの連携が簡単で、プログラミングの知識がなくても扱える点が特徴です。RPAツールによってルーティンワークを減らせば、人手不足にも対応できるでしょう。
⑧ 社内チャットツール|Slack、Chatwork
社内外のやり取りをスピーディーに行えるチャットツールは、業務の流れを円滑にし、コミュニケーションの質を向上させます。メールより素早く、情報が必要な人とだけやりとりできます。
Slackは外部サービスとの連携が豊富で、通知のカスタマイズやAIによる業務サポートの活用が可能です。Chatworkは中小企業で多く活用されており、シンプルな使い勝手でメール世代が多い職場でも安心して導入できます。
まとめ:業務効率化を図って、生産性を向上させよう!
業務の効率化を図ることは、企業の生産性向上や働き方改革の実現に直結する重要な取り組みです。まずは現状把握から始め、自社の改善ニーズに合った手法やITツールを導入すれば、継続的な改善が可能になるでしょう。
- 最適なITツールの選定が難しい
- 業務効率化に取り組みたいが、ITに不安がある
- 過去にITツールを導入しようとして失敗してしまった
このようにお困りの方は、中小企業の現場に合わせたIT導入支援を多数手がけ、補助金活用にも精通しているリベロエンジニアへご相談ください。業務分析からツール導入および開発、運用サポートまで、一貫して支援いたします。
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【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。