自動倉庫用パレットの選び方を7仕様から解説!メーカー4社も紹介
2025.06.09
ADX化の必要性やメリット先行事例〜(完成版).png)
自動倉庫は、物流業や製造業の倉庫運用を効率化できる手段として注目されています。導入すれば、人手不足に対応し、従来よりも省スペースで荷物を保管・搬送できます。
しかし、自動倉庫の導入にあたって、最適なパレット選びに悩んでいる方も多いでしょう。素材や強度、特殊環境対応など、自社の製品に合ったパレットの選定が自動倉庫運用の成功に繋がります。
本記事では、自動倉庫用パレットの選び方を7つの仕様から徹底的に解説します。パレットを保管するパレットラックに必要なスペックや、日本国内の代表的なメーカーも4社紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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立体自動倉庫とは?
倉庫内の保管・搬送・出庫を各種システムで自動化している倉庫を「自動倉庫」と呼びます。省人化や省スペース化を実現できることから、労働力不足や作業ミス対策として注目されています。
自動倉庫で使用される主なシステムには、下記があります。
- 立体自動倉庫システム
- ピッキングシステム
- 自動搬送ロボット
- 倉庫管理システム(WMS) など
自動倉庫のなかでも、縦方向の空間を活用してより効率的に荷物を保管するタイプが「立体自動倉庫」です。立体自動倉庫はより高密度な保管が可能で、スペースの有効活用に優れています。
価格相場はシステムの規模や種類、導入目的によって異なり、数百万円から数億円と幅があります。
立体自動倉庫システムをはじめとした倉庫DXの最新テクノロジーについて、下記の記事で詳しく解説しています。倉庫作業の効率化を進めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
パレット型立体自動倉庫の特徴
立体自動倉庫には下記の2種類があります。
- パレット式
- ケース式
パレット式は下記の保管に適しており、製造業の現場や大規模物流センターなどで採用されています。
- 重量物
- 中型から大型の製品
- 原材料 など
パレットは単なる荷台ではなく、立体自動倉庫における搬送の精度や保管効率を左右する重要な要素です。
一方、ケース式は段ボールやコンテナなどのケース単位で保管する方式で、下記の製品や倉庫に適しています。
- 小型から中型の製品(衣料品、医薬品、食品、雑貨など)
- 出荷頻度の高い商品
- 少量多品種を扱う倉庫 など
どちらの方式を選ぶかは、自社の保管製品や運用ニーズに応じて検討します。
パレット型以外の自動倉庫の種類は、下記の記事で詳しく解説しています。
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自動倉庫に適しているパレットとは?7つの選び方
自動倉庫に適したパレットを選ぶ際は、サイズ・素材・形状などの仕様が適しているかが重要です。パレットの仕様が自動倉庫と合わない場合、搬送エラーや機械の故障に繋がる恐れがあります。
なお、パレットの価格相場はプラスチックパレットで1枚あたり3,000円~15,000円程度です。高速搬送対応型やアルミ・スチール製の特注パレットになると、さらに高価格になります。
適切なパレットを選定すれば、搬送ミスの削減やピッキング作業の効率化、荷崩れ防止など、運用面で多くのメリットが得られます。下記7つの仕様から、自動倉庫に適しているパレットを解説します。
- サイズ
- 素材
- 強度
- 積載荷重
- 片面使用、両面使用
- 二方差し、四方差し
- 色
①サイズ
自動倉庫のパレットで多く採用されているのは、JIS規格に準拠した下記のサイズです。
- 1,100×1,100mm
- 1,200×1,000mm
上記サイズはパレットラックや搬送装置との相性が良く、自動倉庫の精度や安定稼働に直結します。
製品の特性によっても、適したサイズは異なります。下記の表はその一例です。
製品 | 適したパレットサイズ |
飲料 | 1,100×900mm(ビールケース6箱分) |
コンクリートブロック | 1,160×1160mm |
ドラム缶 | 1,220×1220mm(ドラム缶4本分) |
②素材
自動倉庫で使用されるパレットの素材は、用途や設置環境、求められる耐久性によって最適なものを選びます。
主流はプラスチック製パレットで、軽量かつ滑りにくく、自動搬送との相性が良好です。ポリプロピレン(PP)は最も軽量で扱いやすく、低温環境ではポリエチレン(PE)製が使われることもあります。
プラスチック製は金属製と比較すると耐荷重性に劣るため、重量物を載せる場合には、高強度のパレットが必要です。再生プラスチックを用いた環境配慮型の製品も増えており、SDGsの観点からも注目されています。
一方、スチールのような金属製は耐荷重性や耐熱性に優れ、過酷な環境でも使用可能です。しかし、重量があるため設備との調整が必要です。
木製パレットはコストが低く導入しやすい一方で、摩耗や割れのリスクがあり、自動倉庫では推奨されません。
③強度
重量物を載せる場合、荷重に応じてパレットには「たわみ」が発生します。自動倉庫を安全に運用するには、たわみを10mm以内に抑えられる強度が必要です。
また、自動倉庫では高速かつ高頻度での搬出入が行われるため、同じ製品を保管する場合でも、一般倉庫よりも高い強度レベルのパレットが求められます。ラックの高所に積み上げて保管することも多く、たわみや変形が発生すると機械の誤作動やシステムエラーの原因にもなりかねません。
④積載荷重
自動倉庫用パレットを選ぶ際は、最大静荷重と最大動荷重の両方を考慮します。
- 最大静荷重:パレットが静止している状態で支えられる荷重
- 最大動荷重:搬送中や作業中でも支えられる荷重
強度の高いプラスチック製パレットなら、静荷重4,000kgおよび動荷重1,000kgに対応できる製品もあります。
ただし、ドラム缶のように荷重が一点に集中する場合や、袋物のように形が変わりやすい荷物では、同じ重量でもより高い強度のパレットが求められます。ストレッチフィルムやバンド巻きで荷崩れを防止すれば、パレットへの負荷を軽減できます。
⑤片面使用、両面使用
片面使用パレットは、両面使用に比べて軽量で安価なものが多くあります。自動倉庫でも搬送やラック収納がしやすく、作業効率の向上に繋がります。
一方、強度や安定性の面では両面使用パレットが優位です。段積みした際にも下の荷物への負担が少なく、倒壊リスクを低減できます。
⑥二方差し、四方差し
二方差しと四方差しは、フォークリフトによる搬送に関連する仕様です。
二方差しは構造がシンプルで価格も抑えられる一方、フォークを差し込める方向が限られます。四方差しよりも頑丈で、強度が求められる自動倉庫に適しています。
一方、四方差しはどの方向からでも差し込めるため、搬送効率に優れる点が特徴です。ロボットによるマテハンを導入している現場では、四方差しパレットの方が適している場合もあります。
どちらにもメリット・デメリットがあるため、自社のパレット運用や自動倉庫の仕様に応じて最適なものを選びましょう。
⑦色
パレットの色分けは、下記の点で効果を発揮します。
- 誤出荷の防止
- ゾーニング
- 荷物の識別
製品の種類ごとにパレットの色を分けて保管すれば、視認性が向上し、現場作業の効率化に繋がるでしょう。安全性向上やより高度な衛生管理にも繋がります。
パレットメーカーによっては、自社名や管理番号の印刷、QRコードの貼り付けに対応しています。バーコードやQRコードを用いた自動認識システムと併用すれば、さらに正確な在庫管理が可能になるでしょう。
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自動倉庫のパレットラックの選び方5選
パレットラックとは、自動倉庫内でパレットおよび荷物を保管する棚を指します。自動倉庫では、スタッカークレーンやシャトルなどの搬送設備と連携している点が特徴です。
自社の状況に合わせて、最適なパレットラックを選ぶ下記5つの方法を解説します。
- シングルディープとダブルディープ
- さまざまな環境への対応
- ロシャトル型自動倉庫
- 高速型
- 耐震性能
①シングルディープとダブルディープ
自動倉庫の「シングルディープ」と「ダブルディープ」とは、棚の配置構成を表す用語で、荷物の保管効率や出荷作業のしやすさに直結します。
シングルディープは、スタッカークレーン1台で左右1列ずつ、合計2列の棚にアクセスする最も一般的な保管方式です。1列構成のため荷物の出し入れが容易ですが、棚の配置が少ない分、保管効率はダブルディープより劣ります。
一方、ダブルディープは1台のスタッカークレーンで左右2列ずつ、合計4列の棚にアクセスする構成です。保管効率を大きく向上させることができ、冷凍自動倉庫や大量保管が求められる現場に適しています。
②さまざまな環境への対応
自動倉庫を導入する際は、保管する荷物や設置環境に応じて、特殊仕様への対応が求められるケースがあります。特殊環境対応では、ラックの素材や構造を適切に選ぶことが重要です。
下記は、代表的な特殊環境と対応例です。
環境区分 | 用途・保管荷物例 | 対応仕様例 |
冷凍・冷蔵 | ・冷凍食品 ・医薬品 | ・ステンレス製ラック ・防結露仕様 |
高温環境 | ・素材のエージング ・食品の発酵工程 | ・耐熱構造 ・特殊塗装 |
危険物対応 | ・化学品 ・可燃性物質 | ・防爆仕様 ・耐薬品性コーティング |
耐油・粉塵環境 | ・工作機械まわり ・油や粉塵の多い現場 | ・密閉構造 ・耐油仕様 |
クリーンルーム対応 | ・食品 ・医薬品 ・精密機器製造 | ・クラス6~7のISO対応 ・防塵構造 |
海外規格対応 | ・海外輸出向け ・自社のグローバル拠点 | ・UL(米国)規格準拠 ・EN(欧州)規格準拠 |
③シャトル型自動倉庫
近年注目を集めているのが、ロボットによってパレットを操作するシャトル型自動倉庫です。棚の各階層に配置されたシャトル(搬送ロボット)が、上下・前後に移動しながらパレットを自動で格納・取り出しするシステムです。
シャトル型自動倉庫には下記の特徴があり、作業の省人化と自動化を同時に実現します。
- シャトルが入出庫作業を自動で実行
- 「先入れ先出し」や「先入れ後出し」に柔軟に対応可能
- 高頻度な入出庫や多品種少量の保管に最適
シャトル型自動倉庫では、ロボットが正確にパレットを認識・制御できることが前提となります。そのため、使用するパレットには規格に合った形状や、シャトルが安定搬送できる強度が求められます。
④高速型
出荷頻度の高い現場におすすめなのが、高収納能力と高処理能力を備えた高速型自動倉庫です。高速型自動倉庫は高回転・高精度の入出庫能力を持ち、作業効率の大幅な向上に貢献します。
ただし、パレットには高速搬送に耐えられる強度や滑り止め対策が求められます。ラック側にも、繰り返される高速搬送の衝撃に耐えられる強度が必要です。
⑤耐震性能
自動倉庫には耐震対策が必須です。導入前に、自動倉庫メーカーの地震対策を必ず確認しましょう。具体的には、下記の対策が必要になります。
- ラックのアンカー固定や補強
- 免震装置の設置による揺れの吸収
- 固定金具の取り付けによるパレット落下防止
- ストレッチフィルムや結束バンドによる荷崩れ対策
- 感震計や緊急地震速報によるシステムの自動停止 など
自動倉庫のラックについて、より詳しい解説が必要な方は、下記の記事をご覧ください。
★現在制作中
立体自動倉庫とパレットのメーカー4選
立体自動倉庫とパレットを導入する際には、導入先メーカーを比較検討しましょう。自社のニーズに合うメーカーから導入すれば、より効率的で無駄のない倉庫運用が実現できるでしょう。
下記4社のおすすめメーカーを紹介します。
- ダイフク|自動倉庫システムのトップランナー
- IHI物流産業システム|豊富な物流ノウハウで自動化を支援
- サンコー|プラスチック物流資材製造の国内最大手
- 日本プラパレット|国産初のプラスチックパレットを発売した専門メーカー
①ダイフク|自動倉庫システムのトップランナー
出典:ダイフク
世界有数のマテハンシステムメーカーであるダイフクは、国内における自動倉庫システムの導入実績でNo.1を誇ります。
自動車や半導体の生産ライン、空港向けの搬送設備などにも対応しており、大規模な製造工場からEC物流センターに至るまで、幅広い業種・業態で導入されています。
自動倉庫では、パレット型・ケース型・ロボット搬送型といった多様な形式を展開しており、特殊環境への対応や提案力に優れる点も強みです。
同社ではシステムを構成する機器やソフトウェアは、全て自社開発しています。コンサルティングから設計、製造、導入後の保守までを一気通貫でサポート可能です。
②IHI物流産業システム|豊富な物流ノウハウで自動化を支援
出典:IHI物流産業システム
IHIグループに所属するIHI物流産業システムは、自動倉庫を含めた物流機器や産業機械の設計・製造・メンテナンスを手掛けています。下記のような、物流倉庫の自動化を促す製品・システムの開発・製造に強みがあります。
- 自動倉庫システム
- 無人搬送台車
- 仕分け・ピッキングロボット
- 倉庫管理システム など
物流関連のノウハウを豊富に持ち合わせており、大型の化粧品製造工場から食品物流センターまで、幅広い業種・業態に対応可能です。
③サンコー|プラスチック物流資材製造の国内最大手
出典:サンコー
プラスチック物流資材メーカー大手のサンコー(三甲株式会社)は、プラスチックパレットやコンテナなどを開発・製造・販売しています。プラスチック物流機器のシェア率は60%を占め、アイテム数は17,000個超で業界No.1を誇ります。
プラスチックの加工技術に優れ、設計から成形、二次加工まで社内で対応可能です。特許件数は業界トップで、顧客のさまざまな使用環境や用途に合わせた製品開発に力を入れています。
④日本プラパレット|国産初のプラスチックパレットを発売した専門メーカー
出典:日本プラパレット
日本プラパレットは、プラスチックパレットに特化して開発 ・ 製造 ・ 販売を手掛ける専門メーカーです。同社のプラスチックパレットは下記のようにさまざまな業界で活用されています。
- ビ-ル・飲料メ-カ-などの食品業
- 医薬・家電・精密機械などの製造業
- 運輸、倉庫、流通サ-ビス業 など
同社は1971年に国産初のプラスチックパレットを発売しました。プラスチックパレット総生産数量の約30%を手掛けており、環境に配慮した資源循環型プラスチックパレットの提供も同社の強みです。
重量物用、冷凍・冷蔵環境用、静電気防止用など、多様なニーズに対応しています。
まとめ|自動倉庫に最適なパレットを選んで、倉庫DXを促進しよう!
自動倉庫の導入を成功させるには、パレットの選定が非常に重要です。サイズ、素材、構造、強度など、全ての要素が業務効率と安全性の担保に直結します。
リベロエンジニアでは、製造業や物流業の中小企業を中心に、倉庫の自動化支援や最適なITシステム導入のコンサルティングを行っています。倉庫関連システムの構築から従来設備との連携、補助金活用まで一貫してサポート可能です。ピッキングの効率化に有効な、スマートグラスの提供も実施しています。
いまこそ倉庫DXに取り組み、これからの時代に対応した競合優位性を確立したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。