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検品ミスの原因と対策とは?対策ツールの導入やその事例を解説!

2025.06.18

カテゴリー:倉庫DX・物流DX

日本の社会や経済を支える物流は単なる「モノの輸送」にとどまらず、人々の暮らしと産業活動をつなぐライフラインとして必要不可欠なものです。そんな物流業界の中で軽視できないのが、「検品ミス」による業務効率の低下や顧客満足度の損失です。

本記事では物流業界が直面する課題を踏まえながら、検品ミスが起きる原因や現場で実践できる対策方法、ITツールを活用した効率化の事例について詳しく解説します。

なぜ検品ミスは起きるのか?

なぜ検品ミスは起きるのか?

検品ミスが起きやすい現場には共通した特徴があります。ここでは以下の3つの要因について解説していきましょう。

  • アナログ作業によるヒューマンエラー
  • 人手不足・経験不足による作業精度の低下
  • マニュアル運用の限界と属人化のリスク

アナログ作業によるヒューマンエラー

物流現場では現在でも、目視による確認や手書きによる記録といったアナログ作業が多く残されています。こうした作業は確認漏れや記入ミスなどのヒューマンエラーを招きやすく、検品ミスの要因となるでしょう。

特に検品作業が長時間続く場合や、騒音が大きい・部屋が薄暗いなどといった作業環境では作業者の集中力が持続しにくくなり、チェック工程の一部を飛ばしてしまうなどのミスが発生しやすくなります。

人手不足・経験不足による作業精度の低下

国土交通省が発表する「我が国の物流を取り巻く現状」によると、物流業界は約25兆円規模の一大産業であるにも関わらず、慢性的な人手不足と高齢化が深刻化しています。その結果起きているのが、経験の浅い作業者が検品作業を担当する機会が増えることによる検品の精度の不安定化です。

慢性的な人手不足により、ベテラン作業員のフォローが十分に行き届かなくなり、ミスが見逃されたまま次の工程へ進んでしまうリスクも高まっています。

マニュアル運用の限界と属人化のリスク

作業マニュアルが整備されていても運用が徹底されていなかったり、現場ごとに異なる“ローカルルール”が残っていたりすると、業務の属人化が進んでしまいます。属人化した業務は作業者が変わった際、品質が急激に低下してしまうので、検品の精度が特定の人に依存しやすくなるといった問題が発生します。

特に「マニュアルが古い」「わかりにくい」など、現場の実態に合っていないと作業が属人化しやすく、検品の精度が不安定になりがちです。

検品ミスが起きるとどうなる?

小さな見落としから発生する検品ミスは、大きなトラブルに発展します。ここでは検品ミスが起きると発生する3つのトラブルについて説明しましょう。

  • 顧客からの信用を失う
  • 追加作業によるコスト増加
  • コンプライアンス違反につながる可能性

顧客からの信用を失う

検品ミスが原因で誤出荷や欠品が発生すると、納品遅延や商品違いによって取引先やエンドユーザーの業務に支障をきたすことがあります。

例えば、小売店であれば販売機会の損失に、製造業であれば生産ラインの停止につながる可能性があり、こうしたトラブルは顧客満足度低下を招くでしょう。

顧客との信頼関係は、契約の継続や新規受注に直結するため、検品ミスによる品質問題は企業の経営基盤を揺るがす深刻なリスクとなり得ます。

追加作業によるコスト増加

検品ミスが発生するとお詫びの電話やメールの送付、返品対応、再出荷といった追加作業が必要となり、それに伴い工数や人件費が発生します。これらの対応が積み重なると、現場の業務負担が増加するだけでなく、企業全体の生産性にも悪影響を与えるものです。

検品ミスが継続して発生すると、再送にかかる輸送費や梱包資材のコスト負担が膨らみ、結果として企業の利益率を圧迫する要因となります。

コンプライアンス違反につながる可能性

医療品や食品などの取り扱いにおいては、検品ミスが単なる業務上のトラブルにとどまらず法令違反や製品リコールといった重大なリスクにつながる可能性があります。

これらの業種では誤出荷や品質不良が人命や健康に関わるケースもあり、検品作業の正確さがそのまま企業の社会的責任に直結するでしょう。

検品ミスが原因で事故や違反が発生すれば、企業の信用失墜だけでなく行政処分や多額の損害賠償に発展する深刻なケースもあります。

検品ミスを防ぐための基本対策

検品ミスを防ぐ基本対策

検品ミスが起きる原因やミスに起因するトラブルについて説明したので、ここでは検品ミスを防ぐための基本対策を3つ紹介します。

  • 作業マニュアルの整備と標準化
  • ダブルチェック体制の構築
  • レイアウトや保管ルールの見直し

作業マニュアルの整備と標準化

属人化を防ぐには作業マニュアルの整備と業務プロセスの標準化が必要で、検品の手順や判断基準を誰が見ても理解できる形で文書化することが大切です。文書化に悩む場合は、厚生労働省が公開している作業標準書のフォーマットを参考にしてみて下さい。

マニュアル整備だけでなく、作業者全員がマニュアルに基づいた正確な対応ができるように定期的な教育や実践的な研修をすることで属人性を排除し、一定レベルの品質を安定的に維持することが可能となります。

ダブルチェック体制の構築

ヒューマンエラーを完全に排除するのは非常に困難ですが、チェック体制を二重にすれば、検品ミスの発生率を大きく減らすことができます。例えば、出荷前の最終検品で最初の作業者とは別の作業者が再確認を行う「ダブルチェック」の体制を取り入れれば、誤出荷や誤配送を未然に防げるでしょう。

こうした多層的な確認プロセスは比較的導入しやすく、現場への負担を抑えながらヒューマンエラーの削減に高い効果を発揮します。

レイアウトや保管ルールの見直し

商品の取り間違いなどといった検品ミスは、作業者のヒューマンエラーだけでなく保管場所の混在や複雑な動線といった「倉庫内の環境要因」によっても発生します。こうしたリスクを低減するためには、ゾーニング(区画分け)を明確にして整然とした配置を徹底することが重要です。

ゾーニングを明確にしてレイアウトや補完ルールを見直した後、これを維持するためには「整理・整頓・清掃・清潔・躾」の5S活動を日常的に実践するのが大切です。

ITツールを活用した検品ミスの防止策

ITツールを活用した検品ミスの防止策

ここでは、以下に示す4つのITツールを活用した検品ミスの防止策について解説します。

  • バーコード・QRコードでの自動チェック体制
  • 倉庫管理システムでリアルタイム在庫管理
  • ハンディターミナル導入による誤検品の削減
  • スマートグラスで作業手順を可視化

バーコード・QRコードでの自動チェック体制

検品工程にバーコードやQRコードを取り入れることで、品番や数量の確認作業を機械的かつ正確に行えるようになります。

バーコードやQRコードの活用は作業者の目視確認に頼らずに済むため、確認スピードが向上するだけでなく、ヒューマンエラーの発生も大幅に抑制できるでしょう。

スキャナーと連動した検品システムを導入すれば、誤品の読み取りや数量ミスが即座に検知され、誤出荷を未然に防ぐ仕組みを構築できます。

倉庫管理システムでリアルタイム在庫管理

WMS(Warehouse Management System/倉庫管理システム)を導入することで、在庫情報をリアルタイムで正確に把握・更新できるようになります。システムがピッキングリストと自動的に照合を行うため、作業者の手動チェックに依存することなく、検品ミスを早期に発見できる仕組み作りが可能です。

これによりヒューマンエラーを大幅に低減し、在庫管理の精度と作業効率の両面で大きな改善が期待できます。

ハンディターミナル導入による誤検品の削減

ハンディターミナルとは、作業者がバーコードやQRコードを読み取りながらリアルタイムにデータを確認・登録できる携帯型の端末です。これにより、手作業による確認ミスや記録ミスを大幅に減らし、検品作業の正確性と効率を向上させられます。

ハンディターミナルをWMS(倉庫管理システム)と連携させれば、在庫情報の即時更新やピッキングリストとの自動照合が可能となり、物流現場の作業全体の効率化とミス削減に大きく貢献します。

スマートグラスで作業手順を可視化

スマートグラスとは、作業員の視界にマニュアルやチェックリストをリアルタイムで表示することで、手順の見落としや確認漏れを防止できるウェアラブルツールです。

両手がふさがった状態でも音声操作が可能なため、作業効率を損なうことなく正確な検品作業を行えます。

誤検品が検知されるとアラートが即座に表示されるなど、その場で迅速に修正対応ができる仕組みも整っており、誰がどの検品作業を実施したかが自動で記録されるため品質管理が非常にスムーズになります。

検品ミス対策ツール導入の成功事例3選

検品ミス対策ツール導入の成功事例を知れば、自社での導入イメージがより具体的に描けるようになるでしょう。ここでは国内工場3つの成功事例を紹介します。

  • キューピー
  • ロジクム
  • リベロエンジニア

キューピー:AI画像認識で大量・多品種検品を自動化

画像引用:キューピー株式会社

キューピーはこれまで、1日100万個以上のダイス型ポテトを手作業で検査して異物や不良品がないかを検品しており、この作業が増産のボトルネックとなっていました。打開策として画像処理技術による機械化を検討したものの、精度やコスト面に課題があり導入には至っていませんでした。

そこで2016年夏頃からディープラーニングの活用に舵を切り、AI技術の検討を重ねることで変色したポテトの自動検出を低コストで実現しました。

現在は検品精度の向上や作業効率の改善、コスト削減、作業負担の軽減といった効果を目指し、実用化に向けた取り組みを進めています。

ロジクム(大阪物流コンサル) – バーコードスキャンで人的ミス95%減

画像引用:株式会社ロジ・クム

株式会社ロジクムは検品作業の効率化と人的ミスの削減を目的に、バーコード技術を活用した検品システムを導入しました。

これは作業者にハンディタイプのバーコードスキャナーを配布し、商品のスキャンによって数量や商品コードを自動照合、誤入力やスキャン漏れも即座に検出できる体制を整える取り組みです。

この結果、従来は1件あたり30秒以上かかっていた検品が5〜10秒で完了するようになり、1日の作業量は約40%増加しました。

また、システム導入により人的ミスは95%以上削減され、誤出荷の大幅な減少によって納品精度が高まり顧客からのクレームも減少しています。

リベロエンジニア:倉庫内作業効率化を念頭にしたスマートグラスの試験導入

大手住宅設備メーカーの倉庫でリベロエンジニアが開発したスマートグラス(ARグラス)アプリの試験導入が行われました。

これは作業者の視野内にピッキングリストや検品項目などの情報をARで直接表示するもので、従来の紙やタブレット端末による確認作業を不要にし、視線移動や手の動作を最小限に抑えることを目的としています。

試験運用の結果、「目視+紙チェック」からの脱却が現場で実感され、作業者の負担軽減や作業精度の向上といった一定の成果が得られています。今後はさらなる実用化と展開に向けて、現場でのフィードバックをもとに改良が進められる予定です。

まとめ

物流現場では、人手不足やアナログ作業による検品ミスが慢性的な課題となっています。リベロエンジニアは検品ミスの防止に効果的なスマートグラスをはじめ、現場の課題に即したシステム開発や支援を行っている企業です。

顧客企業の業務フローや現場の実情に合わせた柔軟な提案力を強みとしており、単なるシステム導入にとどまらず、ITツール活用に向けたコンサルティングや補助金を活用したコスト最適化の支援も提供しています。

システム導入後もお客様と伴走しながら、無理なく着実に社内へIT活用を定着させていくことが可能です。検品ミス対策のツール導入にあたって課題や不安を感じている方は、ぜひ一度リベロエンジニアまでご相談ください。

【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平

元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。

高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。

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