スマートグラスのナビ機能活用方法5選!選定ポイントやおすすめ機種も紹介
2025.06.27
ADX化の必要性やメリット先行事例〜(完成版)-2.png)
スマートグラスのナビ機能は、単なる道案内にとどまらず、企業の現場作業を支援して生産性向上と業務効率化に貢献します。物流業のピッキング作業支援や建設業の危険区域表示機能など、中小企業のDXを促進できる技術として注目されています。
リソースが限られる中小企業にとって、業務効率化の有効手段となるスマートグラスですが、具体的な活用方法や機器導入の方法が分からない方も多いでしょう。
本記事では、5つの業界別にスマートグラスのナビ機能の活用方法を紹介し、機器導入時に注意すべきポイントを解説します。
ナビ機能利用時におすすめのスマートグラスも3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
スマートグラスのナビ機能とは?
スマートグラスのナビ機能は、ARや音声ガイドを使い、現場での移動や作業指示を視覚・聴覚で支援する技術です。現実世界にデジタル情報を重ね合わせて表示することで、作業員は進行方向や作業手順を直感的に理解できます。
スマートフォンやタブレットのナビと大きく異なるのは、ハンズフリーで使える点です。両手が自由になるため、作業を中断せずにナビ情報を確認できます。
スマートグラスは装着者が見ている対象物や周辺環境を認識した上で、視界に重ねるように作業指示や移動ルートを表示します。
スマートグラスのナビ機能は、人手不足や多言語対応、作業の標準化ニーズなど、多くの中小企業が抱える課題に対応し、業務効率化に貢献する可能性があります。
スマートグラスのナビ機能導入のメリット4つ
スマートグラスのナビ機能は中小企業の現場の業務効率を向上させ、競争力強化に貢献します。導入によって得られる以下4つのメリットを紹介します。
- 移動効率の向上
- ヒューマンエラーの削減
- 安全性の向上
- ナビ以外の機能で生産性を底上げ
① 移動効率の向上
スマートグラスのナビ機能は、作業員が迷うことなく最短ルートで目的地へ移動できるようサポートします。広大な倉庫内でのピッキング作業や、複雑な工場内での資材運搬など、移動距離が長く経路が多岐にわたる環境で特に効果を発揮します。
また、運転中の配送ドライバーの視界に、最短ルートの案内を表示することも可能。これにより運搬効率のアップや配送時間の短縮、エネルギーコストのダウンなどが期待されます。
スマートグラスは視界上にルートが示されるため、不慣れな作業員でも熟練者と同じように効率の良い移動が可能になります。現場全体の作業時間が短縮されるため、生産性向上に直結するでしょう。
② ヒューマンエラーの削減
作業中にリアルタイムで視覚的な指示や手順をディスプレイに表示させられるため、熟練度に関わらず誰でも正確に作業を進められます。
例えば、点検作業の確認項目や、組み立て作業の部品装着順序などをAR(※)で表示すれば、見落としや手順間違いといったヒューマンエラーを削減できます。製品やサービスの品質が安定し、手直しや不良品の発生を抑えられるでしょう。
(※)拡張現実。現実世界に重ねてデジタル情報を表示する技術のこと。
③ 安全性の向上
現場での安全確保は、企業にとって最重要課題の一つです。スマートグラスのナビ機能は、作業員の安全を守るために以下の機能を提供します。
- 危険な場所への立ち入り制限の警告表示
- 危険物への接近警告表示
- リアルタイムでの安全経路表示 など
建設現場での重機との接触リスク回避や、インフラ保守作業における危険箇所の明示など、事故を未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。
④ ナビ以外の機能で生産性を底上げ
スマートグラスはナビ機能だけでなく、多岐にわたる機能を備えています。例えば以下の機能が挙げられます。
- スマートグラスをモニター代わりに使って作業手順の動画を視聴
- iPhoneのような外部デバイスと接続して詳細な作業指示を送受信
- 作業状況を写真や動画で記録し、情報共有
- 遠隔からリアルタイムで作業指示 など
ナビ機能に加えて上記の機能を活用すれば、現場の生産性をさらに底上げできるでしょう。スマートグラスの機能詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
業界別!スマートグラスのナビ機能の活用方法5つ
スマートグラスのナビ機能は、その汎用性の高さからさまざまな業界で活用が進んでいます。
特に導入効果が高いと見込まれる5つの業界をピックアップし、具体的な活用方法を紹介します。自社業界での課題解決のヒントを見つけてみてください。
- 【物流業】最適な移動ルートを提示してピッキング作業を効率化
- 【製造業】部品の組み立て手順をAR表示して生産性向上
- 【建築業】危険区域表示で安全性を向上
- 【観光業】多言語ガイド表示で訪日客対応をスムーズに
- 【インフラ】点検ルート表示で保守作業を効率化
【物流業】最適な移動ルートを提示してピッキング作業を効率化
広大な倉庫内でのピッキング作業は、いかに効率良く商品を回収するかが生産性を左右します。
スマートグラスのナビ機能は、作業員に最適なピッキングルートを表示し、無駄な移動を削減します。ピッキングする商品の棚番号や数量を表示し、誤ピッキングのリスクを軽減することも可能です。
スマートグラスは機械操作中にも着用可能です。例えばフォークリフトの操作中に着用すれば、最適な搬送ルートをドライバーに示し、倉庫内作業の効率化に貢献します。
人件費の削減や、迅速な出荷体制の構築に繋がるでしょう。
【製造業】部品の組み立て手順をAR表示して生産性向上
複雑な部品の組み立て作業は、熟練の技術と正確な手順が求められるため、教育に課題を抱える中小企業が少なくありません。
スマートグラスのナビ機能は、部品の組み立て手順をARで詳細に表示します。作業中に指示書やマニュアルを別途確認する手間を省き、手を止めずに業務を続けられるようになります。
トレーニング効率の向上はもちろん、作業の標準化が図られ、熟練工の技術伝承にも貢献するでしょう。
【建築業】危険区域表示で安全性を向上
スマートグラスは建築現場の安全性向上にも寄与します。
ナビ機能を活用すれば、重機との接触リスクを回避するための警告表示や、立ち入り禁止区域をARで表示し、作業員の事故防止に貢献するでしょう。
高所作業や足場の悪い場所での作業でも、安全経路の指示や危険箇所の事前警告により、重大な事故を未然に防ぐことが可能です。
【観光業】多言語ガイド表示で訪日客対応をスムーズに
観光業にとって喫緊の課題である訪日外国人観光客への対応も、スマートグラスで効率化できます。
スマートグラスのナビ機能は観光地・施設の案内を多言語でAR表示し、質の高い観光体験を提供します。
同時通訳機能を活用すれば、通訳やガイドの配置を最小限に抑えながらスムーズなコミュニケーションが可能となるでしょう。
【インフラ】点検ルート表示で保守作業を効率化
インフラ設備の保守・点検作業にも活用できます。
点検ルートを指示したり点検箇所の詳細をAR表示したりすれば、作業員の負担を軽減しつつ作業漏れを防げます。動画撮影機能を備えた機種であれば、異常箇所を発見した際にその場で記録も可能です。
遠隔支援機能によって遠隔地の専門家とリアルタイムで情報を共有し、作業指示を受けることもできます。迅速かつ正確な対応が可能となり、インフラの安定稼働やメンテナンスコストの削減にも繋がるでしょう。
より具体的な企業の活用事例については、以下の記事もご参照ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
ナビ機能付きスマートグラスの選び方6つ
自社業務に最適なスマートグラスを選べば、その性能を最大限活用できるようになります。ナビ機能付きスマートグラスを選ぶ上で特に考慮すべき、以下6つのポイントを紹介します。
- 使用環境に適した耐久性・防塵防水性能
- ハンズフリーでの操作性
- AR表示の見やすさ
- バッテリーの持ち時間と充電効率
- 安定した通信性能
- 既存システムとの相性
① 使用環境に適した耐久性・防塵防水性能
現場作業での使用を想定する場合、スマートグラスには一定以上の耐久性が求められます。ホコリや水、落下といったリスクに晒される可能性があるため、防塵防水性能や耐衝撃性などのスペックを確認しましょう。
例えば、屋外での作業が多い場合はIP67以上の防塵防水性能、製造・建設現場のような落下リスクがある場合は落下強度の高いモデルを選ぶと良いでしょう。冷凍倉庫を伴う物流業や高温環境下で使用する場合は、耐冷・耐熱温度の確認も必要です。
堅牢なスマートグラスを選ぶことは、長期的な運用コストの低減にも繋がります。
② ハンズフリーでの操作性
手作業以外で操作できるかも重要な選定ポイントです。
音声操作が可能な機種であれば、作業中でも声で指示を出すだけでスマートグラスを操作可能です。騒音環境下での音声指示に対応したモデルも発売されています。
頭の動きで指示を出すジェスチャー操作も、両手がふさがる環境下での作業効率を高めてくれます。自社の作業内容に応じて、最も効率的な操作方法を備えた機種を選びましょう。
③ AR表示の見やすさ
ナビ機能の核となるAR表示は、現実世界に重ねてデジタル情報を表示する技術です。現場での利用には、現実世界がクリアに見える透過型ディスプレイ搭載モデルが適しています。
また、表示される情報の文字の大きさ、色、コントラストなどを確認し、長時間の使用でも目が疲れにくいモデルを選びましょう。
目が悪い方が快適にAR機能を使うためには、度付きレンズに変更可能なタイプや視度調整機能付きタイプの検討もおすすめです。スマートグラスの視力対策については、以下の記事も参考にしてみてください。
④ バッテリーの持ち時間と充電効率
長時間の現場作業でスマートグラスを使用する場合、バッテリーの持ち時間が作業性を左右します。製品のスペックに記載されている稼働時間を確認し、自社の作業時間に十分対応できるモデルを選びましょう。
充電のしやすさも重要です。短時間で充電できる急速充電対応モデルや、バッテリーの交換・持ち運びが容易なモデルも検討に入れると良いでしょう。
ホットスワップ対応モデルであれば、バッテリー交換中も動作を継続できます。
⑤ 安定した通信性能
ナビ機能を安定して利用するためには、信頼性の高い通信性能が不可欠です。
Wi-FiやBluetoothはもちろん、広範囲での利用やリアルタイム性の高いデータ通信が必要な場合は、5G対応機種がおすすめです。
電波が届きにくい場所での使用を想定している場合は、LTE通信が可能な機種を選びましょう。
⑥ 既存システムとの相性
スマートグラスを導入する上で見落とされがちなのが、既存システムとの連携です。
導入効果を最大化するためには、現在利用している在庫管理システム(WMS)、生産管理システム(MES)、地図情報システム(GIS)などとのスムーズな連携が不可欠です。既存のシステムと連携できるAPIが提供されているか、連携実績はあるかを確認しましょう。
もし既存システムとの連携が難しい場合や、より業務フローに合わせたカスタマイズが必要な場合は、自社でスマートグラス用アプリを開発するという選択肢もあります。
リベロエンジニアでは、企業の既存システムや業務フローに合わせて、最適なスマートグラス用アプリの開発を行っています。ニーズや課題に合わせたオーダーメイドのナビ機能を実装すれば、導入効果を最大限に引き出せるでしょう。
スマートグラスの導入やアプリ開発にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
おすすめのナビ機能付きスマートグラス3選
数あるスマートグラスの中から、企業でのナビ機能活用に適した3機種を紹介します。自社の業務に最適なスマートグラスを見つけてみてください。
- Vuzix M400
- RealWear Navigator 500
- Epson Moverio BT-45CS
① Vuzix M400

出典:Vusix
「Vuzix M400」は、軽量かつ高耐久で企業での導入実績が多数ある人気のスマートグラスです。
現場での長時間使用に耐えうる堅牢性と、クリアなAR表示が特徴です。バッテリー容量も最大で4,800Ahまで増量でき、現場での作業性向上に貢献する性能がそろっています。
リベロエンジニアでは、Vuzix M400の販売代理店ライセンスを取得し、アプリ開発とデバイス納品の双方に対応できる一気通貫でのサポート体制を整えています。
過去には建築業向けに独自の機能を搭載した専用アプリを開発したり、住宅設備メーカーの倉庫内作業効率化を成功させたりと、実績も豊富です。補助金獲得支援も可能ですので、スマートグラス導入にご興味のある方はぜひご相談ください。
出典:RealWear
「RealWear Navigator 500」は、過酷な現場環境での使用に特化した高い耐久性が魅力です。防塵防水性能はIP66、落下強度も2mと高く、使用温度範囲も-20℃から50℃に対応しています。
騒音環境下での音声操作も可能で、ハンズフリーでの現場作業に最適です。現場での安全性と作業効率を両立させたい企業におすすめです。
③ Epson Moverio BT-45CS
出典:EPSON
「Epson Moverio BT-45CS」は、大画面かつ両眼透過型ディスプレイを採用しており、高い視認性を誇ります。AR表示がクリアで広視野角なため、視界を妨げずに広範囲の情報を確認できます。
同モデルはヘルメット装着が可能な設計になっています。安全ヘルメットの着用が義務付けられている環境でも、スマートグラスを安全かつ快適に利用できます。
建築業やインフラ関連業界など、視認性と安全性を重視する企業に最適なモデルです。
まとめ|ナビ機能付きスマートグラスで生産性向上!
スマートグラスのナビ機能は、ARや音声ガイドを活用し、ハンズフリーで視覚・聴覚による作業支援を可能にします。導入すれば、移動効率の向上、ヒューマンエラーの削減、安全性の向上、そしてナビ以外の機能による生産性の底上げといった多くのメリットが得られるでしょう。
スマートグラスは企業の競争力を高めるための強力なツールです。特に中小企業においては、限られたリソースの中で最大限の成果を出すために、スマートグラスの導入は有効な一手となるでしょう。
リベロエンジニアでは、顧客企業の業務内容や既存システムに合わせて、最適なスマートグラスの選定から、独自のアプリ開発を行っています。導入後の運用サポートはもちろん、補助金申請支援まで、一貫したサービス提供が可能です。
スマートグラスの導入にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。