2025年度版|物流DX補助金の申請ガイド
2025.07.04

物流DXは人手不足や未だ残るアナログな作業工程などといった物流業界の課題を解決する手段として、注目されています。物流DXに対応した補助金制度はいくつかあるものの、「どの補助金が使えるのか分からない」「申請条件が複雑で選べない」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では2025年度最新の補助金制度を5つ紹介し、それぞれの対象事業者・補助率・申請スケジュール、さらに補助金の導入のポイントなどを分かりやすく解説します。
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物流DXとは
ここでは「物流DX」とは何か、その目的や背景、そして国が積極的に推進する理由について詳しく解説します。
- 国が推進する物流DXとは
- 物流DXの目的と背景
国が推進する物流DXとは
AI・IoT・ロボティクスなどの先進技術を活用し、物流現場の省力化・効率化を図る取り組みが物流DXです。
慢性的な人手不足や従業員の高齢化といった課題に直面する物流業界では、現場の生産性向上が急務となっています。こうした背景のもと、国は「物流の2024年問題」への対応も含めて物流DXの推進を重要政策として位置づけました。
これにより、国土交通省や経済産業省を中心にデジタル技術や自動化設備の導入に対する補助制度の整備が進められています。
物流DXの目的と背景
国が物流DXに補助金を交付する目的は持続可能な物流体制の確立にあります。省人化・業務効率化・CO2排出削減といった取り組みは、これを実現するための重要なテーマです。
物流DXは国土交通省の「総合物流施策大綱」や経済産業省の関連事業とも連動し、国策としての位置づけが強まっています。このような制度の背景や行政の狙いを理解することが、補助金を効果的に活用するうえで非常に重要となります。
【2025年度版】物流DX導入で使える補助金一覧

ここでは2025年度最新版の補助金について説明していきましょう。
- 物流施設におけるDX推進実証事業
- 物流イノベーション実装支援事業
- 持続可能な物流を支える物流効率化実証事業
- IT導入補助金2025
- 中小企業省力化投資補助金
物流施設におけるDX推進実証事業

画像引用:国土交通省「物流施設におけるDX推進実証事業について」
国土交通省が主導する補助金制度で、物流施設へのシステムや機器の導入による自動化・機械化・デジタル化の取り組みを支援するものです。
- 対象者:物流施設における①システム構築・連携事業、②自動化・機械化機器導入事業
- 補助対象経費:経費の一部支援および専門家による併走支援、効果検証など
- 補助金額:①の上限は2,000万円、②の上限は3,000万円
- 事業費の範囲:ドライバーの荷待ち・荷役の削減、施設の精進化を図るための無人フォークリフトや搬送機、ハンディターミナル導入に必要な経費
- 公募スケジュール:2025年3月28日(金)〜4月10日(木)17時まで
- 申請方法:提案書類を作成し、メールで提出
今年度の募集締め切りは過ぎましたが、政府は物流課題解決のための補助制度整備を推進しているため、来年度も似たような補助金のための予算が組まれる可能性があります。
物流イノベーション実装支援事業

画像引用:国土交通省「物流イノベーション実装支援事業の概要(PDF)」
国土交通省が主導する補助制度で、デジタル技術等で物流課題の解決を図る先進的な取り組みの社会実装を目指す実証事業を支援するものです。
- 対象者:物流サービス提供事業者を含む共同提案体、物流分野において先端的技術の活用をする事業者(大学・研究機関などを含む)
- 補助金額:1件あたり2,500万円〜(上限5,000万円)
- 補助対象経費:設備備品費、消耗品費、人件費、外注費など
- 業務内容:課題の特定・計画策定、効果検証・現場検証、事業成果の取りまとめ
- 公募スケジュール:2025年6月6日(水)14時〜7月17日(木)17時まで
- 事業の実施期間:2026年3月19日(木)まで
- 申請方法:提案書類を作成し、メールで提出
持続可能な物流を支える物流効率化実証事業

画像引用:令和6年度補正予算「持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」
経済産業省が主導する補助金で、物流分野における先端技術の活用や業務プロセス改善を支援します。2024年問題などによる物流現場のひっ迫を受け、持続可能な物流体制の構築に向けた実証実験を後押しするのが目的です。
- 対象者:荷主企業を含む3社以上の連携体
- 補助金額:3,000万円以上の投資する条件で補助対象経費の1/2以内(上限3億円)
- 補助対象経費: AGV、自動倉庫、AIカメラ、無人配送ロボットなどの機械装置・システム費や専門家経費、委託・外注費、諸経費
- 公募スケジュール:2025年3月26日(水)〜5月1日(木)17時まで
- 事業の実施期間:2026年2月13日(金)まで
- 申請方法:提案書類を作成し、メールで提出
今年度の募集締め切りは過ぎましたが。政府は物流課題解決のための補助制度整備を推進しているため、来年度も似たような補助金のための予算が組まれる可能性があります。
IT導入補助金2025

画像引用:独立行政法人中小企業基盤整備機構「IT補助金2025」
独立行政法人中小企業基盤整備機構の補助金で、中小企業や小規模事業者等の労働生産性の向上を目的とした支援です。
- 対象者:製造業、建設業、運輸業 の場合は資本金3億円以下または従業員300人以下の中小企業・小規模併業者
- 補助金額:ITツールの業務プロセスが1~3つまで:補助額5万円~150万円未満(補助率1/2以内)、4つ以上:補助額150万円~450万円以下(補助率1/2以内)
- 補助対象経費: クラウド型WMS/TMS、配送管理ツールなど
- 公募スケジュール(第4次締め切り):2025年8月20日(月)17時まで
- 事業の実施期間:2026年3月31日(火)17時まで(予定)
中小企業省力化投資補助金

画像引用:独立行政法人抽象基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金」
独立行政法人中小企業基盤整備機構の補助金で、中小企業等の売上拡大や生産性向上を後押しするため、IoT・ロボット等の人手不足解消に効果があるデジタル技術等を活用した設備を導入するための支援です。一般型とカタログ型があり、ここでは一般型について紹介します。
- 対象者:中小企業者、小規模企業者・小規模事業者、特定事業者の一部、特定非営利活動法人、社会福祉法人
- 補助金額:最大1億円
- 補助対象経費: オーダーメイド性のある多様な設備やシステム。ハード・ソフトを自由に組み合わせ可能
- 公募スケジュール(第回公募):2025年8月下旬(予定)
- 申請方法:提案書類を作成し、電子申請
補助金を活用する際に注意する5つのポイント

ここでは補助金を活用する際の注意点について詳しく解説していきましょう。
- 導入効果は数値で示す必要がある
- 補助対象経費と対象外経費を正確に把握する
- 申請までの準備期間を十分に確保する
- 採択後の報告義務・事務負担も想定しておく
- 補助金がなくても資金が枯渇しない設計にしておく
導入効果は数値で示す必要がある
物流DXに関する補助金の多くは、単なる機器導入やシステム導入だけでは採択されません。採択に向けては「労働時間を3%以上削減」などの定量的な効果目標(KPI)を設定し、達成可能性を示す具体的な説明が必要です。
例えばAGV(無人搬送車)やWMS(倉庫管理システム)を導入する場合でも、「どの業務フローをどう改善し、作業時間や人員配置にどのような変化があるのか」といった改善シナリオを数値やグラフなどを使って整理する必要があります。
補助対象経費と対象外経費を正確に把握する
物流DXに関する補助金制度では、補助対象経費と対象外経費を正確に把握することが非常に重要です。
例えば、次のような費用が対象となります。
- 新たに導入するWMSやTMSなどのシステム開発・購入費
- AGVや無人フォークリフトなどの自動化機器導入費
- 導入時の付帯工事や設置費用
一方、以下のような経費は補助対象外となるケースが多いため注意が必要です。
- 人件費(社内作業者の給与等)
- 税金(消費税・法人税など)
- 既存設備の維持・更新費用
申請までの準備期間を十分に確保する
物流DX補助金の公募期間は、1〜2か月程度と短く設定されています。申請には以下のように多くの準備が必要で、準備不足が理由で申請を断念するケースも少なくありません。
- 導入計画やKPIを盛り込んだ事業計画書の作成
- 機器・システムベンダーからの見積取得
- 連携企業や関係部署との調整・合意形成
- 公募要領に沿った申請書類の整備
物流DXは国の重点施策であり毎年内容が更新されるため、前年の制度傾向やスケジュールを把握しておくことが非常に重要です。
採択後の報告義務・事務負担も想定しておく
採択後には導入効果の報告書提出、領収書や契約書など支出証憑の整備・提出、必要に応じた現地調査や監査対応など、継続的な事務処理が求められます。
特に物流DX関連の補助金では、定量的な効果を数値で報告する必要があるために事前にKPIと効果測定手法を明確化しておくことが重要です。
補助金の活用は企業成長のチャンスなので、申請段階から「事後対応まで見据えた設計」を行うことが、結果的にスムーズな活用につながります。
補助金がなくても資金が枯渇しない設計にしておく
物流DXに関する補助金は非常に魅力的ですが、多くの場合後払い(精算払い)が原則です。つまり、機器やシステムの導入にかかる費用は一旦すべて自己資金や借入で立て替える必要があります。
補助金が採択されても手元資金が不足すれば、事業の進行や経営自体に悪影響を及ぼすリスクがあります。補助金は経営を後押しする強力なツールである一方、資金繰りに関する事前設計が甘いと、かえって経営リスクになりかねません。
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補助金活用の「メリット・デメリット」を知って物流DXを成功へ

ここでは物流DXを成功に導くための「メリット・デメリット」について解説しましょう。
- 補助金を活用する3つのメリットとは?
- 補助金活用で気をつけたいデメリットやリスク
- 補助金選定から申請・実行支援までリベロが併走
補助金を活用する3つのメリットとは?
補助金を活用することで得られるメリットは、以下の通りです。
- 導入費用の大幅な軽減:補助金を活用すれば初期費用の一部が公的資金でまかなえるため、中小企業でも先進技術を導入しやすくなります。
- 導入スピードの加速:「予算が揃うまで待つ」のではなく、補助金を前提に早期導入の判断が可能になります。
- 採択実績のPR効果:国や自治体の補助金に採択されれば、「公的に評価された取り組み」として社外にアピール可能です。
補助金活用で気をつけたいデメリットやリスク
補助金は魅力的な支援制度ですが、申請手続きが煩雑で事業計画書や見積書、収支見通しなど多くの書類が求められるため、相応の時間と労力が必要です。
また、公募期間や報告期限といったスケジュール面の制約が厳しく、十分な準備期間がないと申請が間に合わない恐れもあります。
さらに、補助金には対象となる経費が細かく定められており、制度によって異なる対象範囲をしっかり把握しておく必要があります。
補助金選定から申請・実行支援までリベロが併走
リベロエンジニアのコンサルタントは物流現場に精通しており、補助金制度の選定から申請書の作成、システム導入後の報告対応まで全プロセスを丁寧に支援します。
専門知識をもつパートナーが並走することで、申請ミスや運用上のトラブルといった補助金活用に伴うリスクを最小限に抑えることが可能です。補助金を活用した物流DXを成功させるため、制度理解と現場実行の両面を支えるリベロの伴走支援をご活用ください。
まとめ
本記事では物流DXの概要や国による補助金制度の背景、活用メリットと注意点、さらに具体的な支援金についてご紹介しました。
慢性的な人手不足や高齢化、再配達の負担など、物流業界が抱える課題に対し、DXは避けて通れない重要なテーマです。国も持続可能な物流の実現に向けて、補助金を通じた企業支援を本格化させています。しかし、補助金は制度設計が複雑で、申請や導入後の運用にも一定の負荷が伴います。
制度理解と現場課題の両方に通じた支援パートナーとともに進めることが、物流DXの成功の鍵です。物流現場のDXに取り組みたいけど補助金の選定や申請に不安があるという方は、ぜひリベロエンジニアまでご相談ください。
\”現場に合わせた使いやすいDX化”をスモールスタートできる!/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。