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自動倉庫とは?種類や適切な選び方、他社の導入事例も紹介

2025.07.07

カテゴリー:倉庫DX・物流DX
自動倉庫とは?種類や適切な選び方、他社の導入事例も紹介

近年、物流や製造業をはじめとする多くの業界で、自動倉庫の導入が進んでいます。

人手不足や作業効率の向上、スペースの有効活用など、さまざまな課題に対応できる手段として注目を集めており、多品種少量生産や冷凍対応といったニーズにも柔軟に対応可能です。

この記事では、自動倉庫の基本的な仕組みや種類、選定のポイントに加え、実際の導入事例を交えて詳しく紹介します。

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自動倉庫とは?

自動倉庫は、物流や製造現場における保管・管理作業を自動化するシステムです。

従来は人手で行っていた入出庫作業を、ロボットや自動搬送機などの機器が担ってくれるため、作業時間の短縮や人為的ミスの削減が可能です。人手不足の解消や業務効率の向上を目的に、多くの企業で導入が進んでいます。

具体的には「商品の入庫・保管・出庫」を一貫して自動で処理。例えば、商品が入荷されると、センサーや制御システムにより指定の棚に自動で格納され、出荷時には必要な商品がロボットによって取り出されます。

この一連の工程により、作業負担を軽減しながら高精度な在庫管理を実現することが可能です。

また、自動倉庫には冷凍・冷蔵対応型や、多品種少量対応型など、用途に応じた多様なタイプがあります。市場のニーズや業務形態に合わせた柔軟な運用が可能であり、企業の競争力向上に貢献する設備として注目されています。

自動倉庫が導入される主な業界

自動倉庫は、下記のような業界で導入されています。

  • 物流業
  • 製造業
  • 小売業
  • 食品業

特に、物流業では迅速な入出庫と正確なピッキング作業が欠かせません。自動倉庫を導入すれば、作業時間の短縮と人的ミスの防止で効果を発揮します。

製造業では、多品種少量生産に対応するための部品や完成品の保管・管理に活用されています。在庫の可視化と一元管理が可能になり、生産ラインの停滞を防げるため、納期の短縮にも繋げることが可能です。

また、小売業や食品業界では、温度管理が必要な冷凍・冷蔵商品への対応力が評価されています。温度帯を維持したまま効率的に在庫を管理できるため、鮮度保持や品質管理にも効果を発揮し、顧客満足度の向上にも貢献します。

自動倉庫を導入する3つのメリット

人手不足や作業ミス、限られた保管スペースなどの課題に悩む企業にとって、自動倉庫の導入は有力な解決策です。

物流や製造の現場では、今やただの設備ではなく、業務効率や品質を左右する戦略的なツールとして注目を集めています。

ここでは、自動倉庫を導入する3つのメリットについて紹介します。

1.作業の効率化により生産性が向上する

自動倉庫は、入出庫や在庫管理などの作業を自動化するため、業務全体の効率を大幅に向上させます。従来のように作業員が倉庫内を移動して商品を探す必要はなく、自動搬送機やロボットが指示に従って正確かつ迅速に作業を行います。

その結果、従業員はピッキングなどの単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に専念することが可能です。

また、システムによっては在庫状況をリアルタイムで管理できるため、過剰在庫や欠品などのリスクも抑制できます。必要な商品を必要なタイミングで供給できる体制が整い、納期遵守や顧客満足度の向上にも直結します。

2.空間を最大限に活かした効率的な保管を実現できる

自動倉庫の大きな特長は、限られた空間を効率的に活用できる点です。

従来の倉庫は、棚や通路の配置に制約があり、デッドスペースが発生しやすい構造です。自動倉庫は、縦方向の空間や可動式の仕組みを活用するため、高密度な保管を実現できます。

例えば、高層ラックを備えたパレット型自動倉庫では、高さを活かして大量の在庫を限られた床面積で管理できます。移動棚型では、通路が不要な状態で棚を密集配置でき、アクセス時にだけ棚が移動するため、スペースの無駄を最小限に抑えることが可能です。

フリーサイズ型(シャトル型)や傾斜式流動棚型(フローラック)は、荷物のサイズや形状に応じて柔軟に収納でき、保管効率の向上に寄与します。

3.作業ミスを防ぎ品質が安定する

自動倉庫の導入は、作業ミスの防止と品質の安定に大きく貢献します。従来の手作業によるピッキングや在庫管理では、作業者の確認ミスや取り違えが起こりやすく、特に繁忙期や多品種少量生産の現場では精度の確保が課題でした。

自動倉庫では、バーコードやRFIDなどの認識技術と連携し、入出庫データを自動で記録・管理します。これにより、在庫状況をリアルタイムで把握でき、誤出庫や数量ミスを未然に防止することが可能です。

正確なデータに基づく運用は、納品精度の向上にも繋がります。

また、自動化によって作業が標準化されるため、担当者の習熟度に左右されず一定の品質を維持できます。蓄積されたデータを活用すれば、需要予測や在庫最適化も可能となり、安定供給と顧客満足度の向上を実現可能です。

自動倉庫を導入する2つのデメリット

自動倉庫の導入には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。導入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、メリットだけでなくデメリットも把握しておきましょう。

ここでは、自動倉庫を導入する2つのデメリットを紹介します。

1.機械トラブルによる業務停止のリスクがある

自動倉庫は業務効率を大きく向上させる一方、機械トラブルによる業務停止のリスクも抱えています。

システムが一部でも故障すれば、入出庫作業が中断され、納期の遅延や生産停止に繋がる可能性があります。特に、24時間体制で稼働している現場では、影響が深刻化しやすい点に注意が必要です。

トラブルが発生した場合、復旧には専門技術者による対応が必要で、時間や修理コストが発生します。対応が遅れるほど業務全体への影響も拡大し、顧客対応や信頼性にも悪影響を及ぼすでしょう。

業務停止のリスクを最小限に抑えるには、信頼性の高い機器の選定に加え、事前のリスク評価や定期点検の体制づくりが欠かせません。また、障害発生時に迅速に対応できる保守契約や予備部品の確保も有効です。

2.導入費用に見合う効果が得られない可能性がある

自動倉庫の導入には、下記のような項目に多額の初期費用がかかります。

  • 機器の購入
  • 設置工事
  • システム構築

上記の投資に対して、十分な効果が得られなければ、費用対効果が見合わない結果となり、企業にとって大きな損失に繋がるでしょう。

特に、自社の業務内容や物流規模に適さないシステムを導入した場合、期待した効率化が実現できず、かえって運用が非効率になるケースもあります。さらに、導入後には定期メンテナンスや突発的なトラブル対応による追加コストも発生するため、総コストが想定以上に膨らむリスクもあります。

このようなリスクを回避するには、導入前に業務フローとの適合性を検証し、効果を定量的にシミュレーションすることが重要です。また、機種選定の段階で将来的な運用コストも見据え、企業の実情に合った自動倉庫を選ぶと、投資効果を最大化できます。

自動倉庫の種類

自動倉庫は、機能や用途に応じてさまざまな種類が存在します。自動倉庫の種類を把握して、自社のニーズに最適なシステムを選定しましょう。

ここでは、代表的な自動倉庫の種類を紹介します。

パレット型|高層ラックで大量保管に対応

パレット型自動倉庫は、高層ラックと自動搬送機を組み合わせ、パレット単位で大量の荷物を効率的に保管・管理するシステムです。重量物や大型商品の保管に適しており、物流や製造現場での導入が進んでいます。

最大の特長は、垂直空間を活用した高い収納効率です。限られた床面積でも在庫量を大幅に増やせるため、倉庫の保管能力を最大化できます。

入出庫作業は自動化されており、作業者の移動やフォークリフト操作を不要にし、省人化と作業ミスの防止にも繋がります。

物流や製造業など、在庫の回転率が高い業界では、パレット型自動倉庫によって迅速な出荷体制と安定した在庫管理が実現され、全体の業務効率と競争力の向上に寄与しています。

バケット型|小物保管に柔軟に対応

バケット型自動倉庫は、小物や部品などの保管に特化したシステムで、多品種少量の在庫を扱う現場に最適です。専用の小型容器(バケット)に商品を収納し、自動で保管・出庫を行うことで、作業効率と管理精度を高められます。

このタイプの最大の強みは、高い柔軟性です。サイズや形状が異なるアイテムをバケット単位で管理できるため、限られたスペースを有効に使いながら多品種の商品を一括で保管できます。

自動化されたピッキングにより作業時間を短縮でき、人的ミスや負担も軽減可能です。

また、リアルタイムで在庫を把握できるため、過剰在庫や欠品のリスクを抑え、スムーズな供給体制を構築できます。

部品管理が複雑になりがちな製造業やアフターパーツを扱う業界などで、バケット型自動倉庫は有効なソリューションとして導入が進んでいます。

フリーサイズ型(シャトル型)|サイズを問わず多品種保管に対応

フリーサイズ型自動倉庫(シャトル型)は、下記のように形状やサイズが異なる商品を一括で保管できる柔軟性の高いシステムです。

  • ダンボール
  • コンテナ
  • トレイ など

定型サイズにとらわれない構造のため、取扱商品が多様な現場に適しており、多品種少量管理に強みを発揮します。

従来の自動倉庫では保管が難しかった異形商品の管理にも対応でき、さまざまなサイズの商品を同一エリアで効率よく収納・出庫することが可能です。これにより、保管スペースの最適化と在庫管理の手間削減が実現し、業務効率が向上します。

また、自動で動く台車(シャトル)が、必要な商品を棚からピンポイントで運んでくれる構造のため、入出庫作業をすばやくかつ正確に行えるのが特長です。

納期への対応スピードが求められる現場や、取り扱う商品点数(SKU数)が多い業界において、スピードと柔軟性を両立できる保管システムとして、導入が進んでいます。

移動棚型|棚が動いてスペース効率アップ

移動棚型自動倉庫は、棚自体が可動式になっており、保管時には棚同士を密着させ、必要なときにのみ通路を確保する構造です。

一般的な倉庫では、棚の間に作業者が通るための通路を常に確保しておく必要があります。そのため、実際の保管スペース以上に広い面積が必要となり、空間効率が下がってしまいます。

一方、移動棚型自動倉庫では棚がレール上をスライドして移動する構造になっており、使用時にだけ必要な通路を開けることが可能です。通常は棚同士を密着させておくため、通路スペースを最小限に抑えられ、限られた面積で多くの商品を保管できます。

例えば、ボタン操作やシステム制御により目的の棚が自動で左右に動いて通路をつくり、その場で商品を取り出すといった動作が可能です。棚の移動は自動制御されるため、安全性を確保しながら効率的に目的の棚へアクセスできます。

移動棚型は、限られた面積で多くの商品を保管したい現場や、低頻度の出庫品をまとめて管理したいケースなどで特に効果を発揮し、スペース活用と作業効率の両立を実現するシステムとして注目されています。

縦型回転式自動棚(ロータリーストッカー)|上下空間を活用できる

縦型回転式自動棚(ロータリーストッカー)は、上下方向の空間を活用して商品を保管する省スペース型の自動棚です。天井付近までの高さを活かすことで、限られた床面積でも高い収納能力を発揮し、高天井の倉庫やバックヤードなどで特に効果を発揮します。

商品は内部で回転搬送され、指定された位置に自動で取り出し口まで移動するため、作業者は常に同じ高さでピッキングが可能です。これにより、屈んだり棚を登ったりする必要がなくなり、作業負担が軽減されると同時に、ピッキング速度と正確性も向上します。

多品種の商品を効率的に管理できるため、在庫の可視化とスペース最適化が同時に実現でき、物流業務の生産性向上とコスト削減に寄与します。特に、品目数が多く頻繁に出し入れが発生する現場に適した自動保管ソリューションです。

冷凍(冷蔵)対応型|冷凍・冷蔵に対応

冷凍(冷蔵)対応型自動倉庫は、一定の低温環境を維持しながら商品を保管・搬送できるシステムで、食品や医薬品など温度管理が必須の業界で広く活用されています。商品の鮮度や品質を保持したまま、効率的な在庫管理と入出庫が可能です。

このタイプの自動倉庫は、庫内の冷気を逃さない構造や断熱性能に優れており、冷気ロスを最小限に抑えることでエネルギー効率を高めています。加えて、自動化により作業者の出入りを減らし、温度変化のリスクも軽減されます。

在庫はシステム上でリアルタイムに管理され、必要な商品を正確なタイミングで出庫できるため、賞味期限や使用期限の管理にも有効です。厳しい温度管理が求められる業界において、品質維持と業務効率を両立できる設備として導入が進んでいます。

傾斜式流動棚型(フローラック)|補充とピッキングを両立

傾斜式流動棚型(フローラック)は、棚に傾斜を持たせて、補充とピッキングを前後で同時に行える構造を持つ保管システムです。後方から補充された商品は重力によって前方へ自動でスライドし、常に先入先出の管理が可能です。

モーターなどの動力を必要としないため、運用コストを抑えつつ効率的な作業が実現できます。

このシステムは、作業者が同じ場所でピッキングを続けられるため動線が短縮され、作業のスピードと正確性が向上します。特に多品種少量を扱う現場で、在庫の頻繁な入れ替えや小口出庫が求められる場合に高い効果を発揮させることが可能です。

なお、フローラックは自動搬送機能を持たないため、単体では自動倉庫とは呼べません。他の自動化設備と連携させることで、全体の物流効率を高める構成要素として機能します。

省スペースでスムーズな運用を実現できる柔軟な保管手段として、多くの業界で活用されています。

自動倉庫の4つの選び方

自動倉庫は一度導入すると長く使い続ける設備だからこそ「なんとなく」で選ぶのは危険です。荷物の種類や作業の流れ、スペースの使い方など、自社の状況に合わせて最適なタイプを見極めることが導入成功のカギを握ります。

ここでは、自動倉庫の4つの選び方を紹介します。

なお、自動倉庫は導入するだけでなく、システム連携やアプリ開発による最適化も重要です。リベロエンジニアでは、WMSやERPとの連携、現場に合わせたカスタマイズアプリの開発にも対応しています。

現場の実情に合った自動倉庫を導入したい場合は、お気軽にご相談ください。

荷物の種類やサイズに合わせて選ぶ

自動倉庫の選定では、保管対象となる荷物の種類やサイズを明確にすることが重要です。商品の特性に合ったシステムを導入すれば、保管効率と作業精度を最大限に高められます。

例えば、大型で重量のある商品にはパレット型が適しており、高層ラックを活用することで大量の在庫を省スペースで保管できます。

一方、小物や多品種の商品には、バケット型やフリーサイズ型が効果的です。異なるサイズや形状の商品をまとめて管理でき、スペースの無駄を削減できます。

また、温度管理が必要な商品には冷凍(冷蔵)対応型を選ぶことで、鮮度や品質を保ちながらの保管が可能になります。条件に応じたシステム選定は、業務効率化やコスト最適化に繋がる重要な判断基準です。

入出庫頻度や作業負担を考慮して選ぶ

自動倉庫を選ぶ際は、入出庫の頻度と現場の作業負担を適切に評価する必要があります。入出庫が頻繁な現場では、スピードと処理能力が求められるため、高速ピッキングや連続稼働に対応したシステムが求められます。

例えば、物流センターではシャトル型やパレット型など、出庫効率に優れたモデルが効果的です。

一方、出庫頻度が低い保管用途では、コストを抑えたコンパクトなシステムでも十分対応可能です。無駄な機能や過剰性能を避ければ、初期投資と維持費の最適化に繋がります。

また、作業者の負担軽減も重要な判断軸です。操作性が悪いシステムやメンテナンスの頻度が高い設備は、現場のストレスやダウンタイムの原因となるため、操作の簡便さや保守のしやすさも考慮しましょう。

設置環境や拡張性を考慮して選ぶ

自動倉庫の導入にあたっては、設置環境と将来的な拡張性の両面を事前に検討しましょう。設置条件と将来計画を踏まえた選択を行えば、長期的に安定した倉庫運用と高い費用対効果を実現できます。

まず、設置場所の下記のような空間条件を正確に把握し、システムが問題なく設置・稼働できるかを確認しましょう。

  • 面積
  • 天井高
  • 通路幅
  • 柱の位置

また、自動倉庫は長期運用が前提となる設備であるため、将来の業務拡大や取扱商品の増加を見据えた拡張性も重視すべきです。モジュール構造のシステムであれば、後からユニットを追加することで容易に保管容量を拡大できます。

機能・費用・将来性などの多角的な視点で選ぶ

自動倉庫の選定では、機能性・費用・将来性といった複数の観点を総合的に判断することが重要です。

機能面では、業務目的に応じた性能を持つシステムを選ぶ必要があります。例えば、ピッキング精度や入出庫のスピードを重視する現場では、それに特化した搬送機能や在庫管理システムが必要です。

費用面では、初期導入費だけでなく下記のようなランニングコストも考慮が必要です。

  • 保守
  • 電気代
  • 消耗部品 など

高機能なシステムでも、過剰投資になればコストメリットは薄れます。長期的な運用を前提とし、投資回収期間や業務改善効果を見積もったうえで判断しましょう。

将来性の観点では、業務拡大や商品構成の変化に対応できる拡張性・柔軟性があるかどうかが鍵となります。モジュール追加やソフトウェア更新が可能なシステムを選べば、環境変化にも対応しやすくなります。

【業界別】自動倉庫の導入事例

自動倉庫は、業界や業種を問わず導入が進んでおり、企業ごとの課題に応じたさまざまな効果を発揮しています。特に、作業の効率化や出荷精度の向上、在庫管理の最適化といった面で大きな成果を上げている企業も少なくありません。

ここでは、自動倉庫の導入事例を紹介します。

なお、リベロエンジニアでは事例に合わせたシステム構築・アプリ開発のご提案も可能です。「この企業のような自動倉庫にしたい」といったご要望にも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

【物流】株式会社バンダイロジパル|ピッキングを効率化

バンダイナムコグループの物流を担う株式会社バンダイロジパルは、グループ外にもサービスを展開し、物流業務の最適化を進めています。静岡営業所では、バンダイのプラモデルに関するパーツ単位の通販業務を中心に、1日300件以上、約4万SKUを取り扱う大規模な出荷体制を構築しています。

営業所移転前は、ダンボールを平置きで管理しており、ピッキング作業は作業者の経験に大きく依存していました。移転を機に、多段式の独立水平回転棚「ロータリーラックH」を導入し、ABC分析を用いた在庫配置を実施しています。

特に出荷頻度の高いA品は自動化システムに連携させることで、ピッキング速度が従来比で約3倍に向上し、作業負荷とスペースを大幅に削減できました。

高頻度商品は「ロータリーラックH」で保管され、1件目は約1分、以降は10秒ごとにオリコンがピッキングステーションへ搬送される自動化フローを構築。中頻度商品は衣装ケースで管理し、取り出しやすさと収納効率を両立しています。

低頻度商品はダンボールで商品カテゴリごとに整理されています。これらの仕組みにより、保管効率と作業精度の両立を実現しました。

【製造】丸子警報器株式会社|完成品の管理・出庫プロセスを自動化

自動車用ホーンの専門メーカーである丸子警報器株式会社は、国内外の自動車メーカーに製品を供給しており、高機能・高品質・低コストの実現に向けた体制を確立しています。

従来は工場と倉庫が複数の建屋に分かれていたため、建屋間での横持ち作業が生産効率を下げる要因となっていました。

この課題を解消するため、長野県上田市において新社屋・新工場の建設を機に、部品の入荷から組立、完成品の保管、出荷までを一元化できる工場・倉庫一体型の施設へと再構築しました。

その中核となる物流設備として、多段式独立水平回転棚「ロータリーラックH」を導入しています。

この設備により、空コンテナはエアシャワーで粉塵を除去した後、4~5段で段積みされ、自動的に入庫される仕組みが整いました。完成品もコンベヤで搬送され、そのまま自動保管される設計となっています。

また、正逆モードの切り替えによって、空コンテナの組立エリアへの供給も同じライン内で完結できるようになり、搬送作業の負担が大幅に軽減されました。

「高さ12m」「長さ22m」のロータリーラックHは、空コンテナと実コンテナの両方をフリーロケーションで高密度に保管できる構造となっており、スペースの有効活用を実現しています。

その結果、工場内で行っていた「探す」「運ぶ」といった作業をなくし「必要な順に取り出す」という効率的な運用へと切り替えることができ、省力化と出荷精度の向上に大きく貢献しています。

まとめ

自動倉庫は、人手不足や作業の非効率といった現場の課題を解決し、生産性と管理精度の両立を可能にする頼れる仕組みです。

導入にはコストや設置条件などの検討も必要ですが、自社の業務や環境に合ったタイプを選べば、長期的に大きな効果が期待できます。

今後、自動倉庫はさらに多様な業界での導入が進むと考えられ、企業の生産性と競争力を支える重要なインフラとなっていくでしょう。

なお。自動倉庫の導入は設備そのものだけでなく、システム連携や業務フローへの最適化が成否を分けます。リベロエンジニアでは、倉庫管理システム(WMS)や基幹業務システム(ERP)との連携設計はもちろん、現場の課題に応じたピッキング支援アプリやモニタリングツールなどの開発にも対応しています。

自動倉庫の導入を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平

元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。

高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。

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