倉庫現場から生まれたスマートグラスDX「Libero Sight」。金子社長が語る開発に至った背景と必然
2025.10.30
物流・製造の入出庫業務を「見るだけ」「ハンズブリー」で効率化できる。リベロエンジニアが開発したスマートグラスソリューション「Libero Sight(以下、リベロサイト)」は、現場の課題を解決するために生まれました。
リリースを迎えたばかりのリベロサイトは、2025年10月29日(水)から31日(金)までポートメッセなごやで開催される「第5回 [名古屋] スマート物流 EXPO」に初出展します。
このプロジェクトは、構想から実現までに2年を要しました。その裏には、偶然と必然が幾重にも重なり合った物語があります。
リベロエンジニア代表・金子社長に、リベロサイト開発への思いを伺いました。
リベロエンジニアが開発した倉庫DXソリューション!
“偶然”が導いてくれたスマートグラス事業
リベロエンジニアは、この数年にわたり、長年行ってきたSES事業単体から脱却し、 新たな事業を進めていく方向にありました。スマートグラスという領域に関わることになったのは、じつは偶然であり、必然でもあったと言います。
「もともとスマートグラスというものに昔から憧れはあったんです。大好きだったアニメ『電脳コイル』に出てくる電脳メガネが普及した世界観にのめり込みました。そして、この近年、スマートグラスというのが徐々に世に出ていた流れが出てきているなか、3~4年前にTik Tokでスマートグラスを使ったコメディ動画を展開するようになっていました。そんな感じで、僕の中ではずいぶん、スマートグラスが身近だったんです」

スマートグラスの事業が会社で発足する流れになったのは2年前に遡ります。
「じつは、スマートグラスのアプリ開発のノウハウを持っているベテランエンジニアがうちにいたんです。その技術資産を眠らせておくのはもったいないと思っていたところ、大手企業からの倉庫管理をするためのDX化としての受託案件があり、そこでARを使って業務改善ができるというということで満を持してスマートグラスシステムの開発を進めることになりました」
企業向けに開発していたものを進めていくなかで、このプロダクトを汎用化すれば、多くのお客さまの課題が解決できるのではないか?と確信し、リベロサイトは自社で製品化。企業への納品も含めた長い準備期間を経て、リリースに至りました。
“笑いのネタ”だったテクノロジーが、AIの進化で現実に
10年ほど前、スマートグラス「Google Glass」が鳴り物入りで登場したものの、実用化には至らなかった過去があります(現在は新たに再開発中)。金子も当時は「滑稽なテクノロジーだ」とネタにしていたほどです。
「あの頃は、手を使って画面越しに操作をするものでした。結局手を使うんじゃスマホでよくない?と、Tik Tokで笑いのネタにしていたくらいです。ところが、この数年、AIが急速に進化し、状況はまったく変わった。ハンズフリーという可能性が生まれた。AIが人の視点を理解できるようになったことで、“やらなくてよかった”が“やるべき”に変わったんです」
さらに、MetaやAmazonいったビッグテックも本腰を入れ、海外では今まさに普及の波が来ています。金子は、「2年越しの開発ではあったものの、このタイミングでのリリースはまさに好機」とにやり。
なぜリベロサイトは、倉庫向けとして開発されたのか?

一般的に使われるスマートグラスではなく、リベロサイトは、倉庫DXのソリューションです。物流の開発案件が基だったとはいえ、金子はこの“現場”と組む分野に価値があると確信しました。
「AIがどんどんシステムの仕事を奪っていて、下請け案件も徐々に減り、現場の課題に直接寄り添い、自分たちで開発していく、という流れが主流になっています。スマートグラスの開発はまさに現場と一体になれる領域。さらに、AIに仕事を奪われない倉庫現場でこそ、このARのテクノロジーが生きると感じました。人と機械の“翻訳者”になるのが、これからのソフトウェア開発者の役割になるはずだと」
さらに、SNSやマッチングサイトなどが「人との距離をゼロにする」世界を生みだされた今、“リアル”に回帰する動きが生まれつつあると断言します。
「これは僕自身の好みですが、VR(仮想現実)よりもAR(拡張現実)の方に魅力を感じますね。やっぱり “現実との接点”で生まれるものこそ価値があります。今回のリベロサイトも、生まれた多くの人たちとの関係性が点と点が線になり、形になったものだと思っています」
“リアル×テクノロジー×エンタメ”が融合する世界を目指して
リベロエンジニアが目指すのは、ただの開発会社ではありません。ビジネス、テクノロジー、エンタメを横断する独自の領域だ、と金子は語ります。
「今後の現場DXは“モチベーション設計”の世界に変わっていくと思います。今の技術は、作業のガイドですが、今後はやる気を高める仕組みが必要になるはず。スマートグラスを使って“楽しみながら仕事をする”という体験を目指していきたいですね。この楽しむという感情の部分はまさにエンタメという領域です。
リベロエンジニアが目指すのは、この3つの掛け算。ビジネス×エンタメ×テクノロジーが融合すれば、他には真似できない現場に向けた最高のテクノロジーを生み出せると確信しています。もちろん簡単なことではありませんが、会社として、常に変化を受け入れ続ける覚悟で突き進みます」
リベロエンジニアは現場と近い場所でテクノロジーを考える会社でありたい
リベロサイトは、リベロエンジニアのチームで開発してきたソリューションです。エンジニアが現場に出向いて課題を聞き、実際に使う人たちに気持ちよく使ってもらいたいという思いで完成しました。
「リベロエンジニアは、現場に最も近い場所でテクノロジーを考える会社でありたい。遠くにいるようで、限りなく隣にいる──そんな存在であり続けたいんです。多くの現場の人が、『使ってよかった』と感じてもらえるようなものをどんどん生み出していきたいですね」
偶然の連鎖から生まれた「リベロサイト」は、まさに“現場とITの接点”を象徴するプロジェクトでした。
10月29~31日、名古屋で開催中!