ピッキング効率化の方法7選|倉庫現場のミス・時間ロスを根本から解決する
2026.04.24
ピッキング作業について「ミスが減らない」「時間がかかりすぎる」「人件費ばかり膨らんでいく」といった課題を感じているものの、どこから手をつければいいかわからないケースも多いでしょう。
ピッキングは物流において、なくてはならない重要な作業。倉庫内の作業のなかでも、多くの工数を占める工程です。そのため、ピッキング作業がより効率的になれば、全体の生産性のアップにつながるでしょう。
本記事では、今日から使える効率化の手法から根本的な解決につなげるDXまで、7つ紹介します。「何から手をつければいいかわからない」状態から、「自社が今すぐやるべきことがわかる」状態へシフトしましょう。
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物流業・倉庫業におけるピッキングとは?

ピッキングとは、ピッキングリストに記載された商品を倉庫内の保管場所から正確に集める出荷準備業務です。
台車やコンベアを活用しながら商品を集約し、梱包・検品担当へ引き渡すのが基本的な流れです。その後、送り状の貼付・仕分けを経て配送部門へ受け渡します。そのためピッキングが遅れると、全体のスケジュールにも影響を及ぼすことから、作業の遅れ・生産性低下を生み出すボトルネックになりがちです。
また、ピッキングのミスや遅れは、誤出荷や配送遅延に直結して顧客満足度の低下につながるため、正確かつ素早い作業が求められます。しかし手作業の場合、パッケージや品番が似た商品の取り違いや数量ミスが起きやすかったり、広い倉庫内から目的の商品を探すのに時間がかかったりと、スムーズに作業が完了しないケースも珍しくありません。
そのため効率化の工夫や自動化・省力化できるシステムの導入など、いかに生産性を高めるかの検討が必要です。
ピッキング作業の主な課題と非効率の原因

ピッキング作業が非効率になってしまう原因として、主に4つの課題が考えられます。まずは、どのような課題があるかを把握することで、自社も同様の課題を抱えていないかチェックしましょう。課題を把握することで、どのような対策を施していくべきか方向性が明らかになります。
移動距離・移動時間が長すぎる
倉庫の規模が大きく出荷オーダー数が多いほど、ピッキング作業における移動距離と所要時間は増大するため、それに比例してピッキング作業の効率はダウンします。
公益社団法人日本ロジスティクス協会の「アパレルEC物流倉庫の庫内作業効率化について」によると、あるアパレルEC倉庫では、ピッキング作業全体の43.0%を歩行が占めていました。工数の半分近くを「歩く時間」が占める構造上、移動距離の圧縮が生産性向上に直結します。
そのため作業動線を考慮しないレイアウト設計や、移動中の判断・待機による時間ロスなど、歩行ルートをその場でオペレーターが判断しなくてはならない運用も無駄な移動を招く要因です。
また、下記のようなスムーズな歩行を妨げる運用も、ピッキング効率を大きく下げることになります。
- 出荷頻度の高い商品が奥に格納されている
- 通路が狭くて台車が通れない
- 特定の棚に作業者が集中して待ち時間が生じる
商品を探すまでに時間がかかる
ピッキングの対象となる商品を探すまでに、無駄な時間が生じやすいのも課題です。
特にロケーション管理ができていない・十分ではない倉庫では、どこに商品があるのか見つけにくくムダな時間がかかりやすくなっています。具体的には、下記のようなケースが考えられます。
- 保管場所が飛び地状に分散している
- ロケーション番号の体系が現場の実態に合っていない
- 作業者が目的の棚にたどり着くまでに迷う
- ピッキングリストの情報が不足・散漫で必要項目をすぐに読み取れない
- JANコードの表示位置が統一されていない
- 入庫時の格納ミスやミスピック後の戻し先間違いなどで、本来あるべき場所に商品がない
こうした状態の倉庫はピッキングに余計な時間がかかりやすいだけでなく、商品の在りかが特定の担当者にしかわからない属人的な状態に陥りやすいのもネックです。誰もがスムーズに作業できる環境が整っていなければ、生産性の向上は望めないでしょう。
また、品切れのまま補充が行われず、ピッキング途中で補充作業が割り込むケースも時間損失につながります。
商品の取り出しに時間がかかる
倉庫内に格納してある商品の状態・格納レイアウトによって、商品が取り出しにくい状態になっていると、スムーズなピッキングの妨げになり余計な時間がかかりがちです。
段ボールケースのまま格納された商品から、バラ1ピースを取り出す際には開梱作業が必要ですが、ケースの開口部が手前を向いていないと向きを整えてから作業に入るためタイムロスが生じます。
こうした作業者の効率を考えない取り出しにくい置き方だけでなく、下記のような問題も作業者の手を止める原因です。
- 棚の間口に対して商品サイズが合っていない
- フォークリフトなどの専用機器が必要
- 先入れ先出しや賞味期限の確認が視覚的に難しい
- 引き当て在庫と補充在庫が同一ロケーションに混在している
さらに、ケース・ボール・バラのすべての出荷形態に対応し、かつJANコードが共通の商品では、必要数を取り出すたびに認知・判断の工程が発生します。入荷時点でハウスコードを単位別に付与すれば判断コストは下がりますが、入荷・格納・在庫管理の手間が増えるというトレードオフが生じるため、簡単に解決できない問題です。
ピッキングミスが発生する
手作業で行う都合上、どうしても人的なミスが発生しやすいのも課題の一つです。
発生しやすいミスは、商品違い・数量違い・付属品の欠落の3つです。「商品Aと間違えて商品Bをピッキングした」「10個必要なのに9個だった」のように、商品や数量の間違いといったミスは、多くの倉庫現場で日常的に起こりえます。これにより誤出荷が発生すると、クレーム対応・返品受付・再配送といった余分な業務とコストが生じるうえ、顧客の信頼喪失という経営上の深刻なダメージにもつながります。
これらを完全にゼロにするのは難しく、特にハンディターミナルなどによる検品工程がない倉庫では、ミスが出荷まで発覚しないケースも珍しくありません。
コストをかけずにできるピッキング効率化【現場改善編】

倉庫でのピッキング作業の効率を上げたいと思っても、なかなか改善にコストをかけられない企業も多いでしょう。まずは、コストをかけずに実践できるピッキング効率化を4つ紹介します。
倉庫レイアウト・ロケーション管理の見直し
倉庫レイアウトやロケーション管理を見直して、効率的かつスピーディーにピッキングできる倉庫へと改善しましょう。
まず倉庫レイアウトの見直しでは、歩行導線を優先した棚配置が基本となります。
- ロケーションあたりのSKU数を絞る:商品を見つけやすい状態を維持できる
- 混同しやすい商品は同一ロケーションへの格納を避ける:紛らわしい商品と間違えるミスを抑制できる
- 出荷頻度の高い商品は次工程に近いエリアにまとめる:歩行距離の短縮で作業の時短につながる
通路幅も重要な検討事項です。保管効率を優先すると通路幅が狭まりがちですが、作業者がすれ違えるスペースを確保しないとピッキング効率の低下を招きます。
また、ロケーション管理の方式には主に3種類あります。
- 固定ロケーション:商品ごとに保管場所を固定する方式。場所を覚えるほど作業効率が高まる
- フリーロケーション:空き状況に応じて保管場所を柔軟に変える方式。スペースの有効活用に優れる
- ダブルトランザクション:ピッキングエリアとストックエリアを分離する方式。ピッキング動線をシンプルに保てる
自社の商品特性や出荷パターンに合った方式を選ぶことが、継続的な改善につながります。
棚配置の最適化
棚配置を最適化して、スムーズに商品を確保できるようにすることも大切です。
具体的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。
- 出荷頻度の高い商品は出荷口に近い棚へ移す
- 高さは腰から胸の間(ゴールデンゾーン)に配置して、移動距離と体の負担を同時に抑える
- 重量物は下段、軽量物は上段に分けて取り出しやすさと安全性を両立させる
- セット購買される商品同士は隣接させる
- 外見が似た商品は、間違えないよう離して置く
- 通路は一方通行で一周できる動線にして、作業員の衝突や渋滞を防ぐ
- 棚の並び順をピッキングリストの巡回順と揃えると、順路どおりに取るだけで完結する
一つ一つの工夫では、たとえ1件あたり数十秒しか短縮できずとも、1日数百件の規模では数時間分の差に積み上がる大きな改善となります。こうした改善は、ミス件数の削減と繁忙期の増員対応力にも直結します。
ピッキングリストの最適化
ピッキングリストを最適化して、ムダなく作業できるよう整えるのも大切です。
作業指示書には、品番・数量・ロケーションといった“ピッキングに必要な情報”のみを記載し、出荷先や商品名など作業に不要な情報は省くことが基本です。情報が多すぎると必要な項目を見落としやすくなり、読み間違いによる誤出荷リスクも高まります。
複数商品のオーダーでは、保管棚の番号順に並び替えてリストを出力することで、最短ルートでの集品が可能になります。アイテム数やオーダー数が多い場合は、リストにバーコードを付与してハンディターミナルで読み取る検品フローを組み込むことで、ピッキングミスを仕組みとして防止可能です。
商品が特定しやすい情報を目立たせ、「歩かせない・考えさせない」設計を徹底することが、ピッキングから梱包までの作業効率を底上げする要点です。
マニュアル整備と作業標準化
マニュアルを整備して、作業を標準化することも大切です。
ピッキングは属人化しやすい作業で、属人化が進むと「Aさんがいないと作業が滞る」「新人が仕事を覚えにくい」など、生産性の低下につながります。
こうした作業の属人化を防ぐには、手順やルールを明文化し、担当者によらず一定の速度と品質でアウトプットできる状態を整えることが必要です。具体的には、商品の保管場所のルールやピッキングリストの読み方、ハンディターミナルの操作手順、梱包フローを盛り込んだマニュアルを作成します。
整備されたマニュアルがあれば、新人でも短期間で実務に入れるようになり、手順に沿って作業するだけでヒューマンエラーを防げる仕組みが生まれます。さらに、重量物の正しい持ち方や危険エリアの立ち入り制限を明記することで、安全管理の面でも機能するでしょう。
システム導入でピッキングを効率化する【DX編】

現場改善の工夫だけではなく、もっと根本的に課題を解消したいのであればシステム導入による効率化がおすすめです。どのような改善ができるのか、代表的な3つのDXを紹介します。
WMS(倉庫管理システム)|ピッキング指示を自動化する
WMS(倉庫管理システム)を導入して、ピッキング指示を自動化できます。
WMSは、倉庫内の在庫とピッキング作業を一元管理するシステムです。入荷から出荷まで全工程がデータ化され、「今どこに何がいくつあるか」をリアルタイムで把握できるようになり、過剰在庫や欠品を防ぎやすくなります。
紙やExcelによる管理から脱却し、ハンディターミナルを使ってリアルタイムに情報を更新できる点が大きな特徴です。
実際の作業では、ハンディターミナルに表示されるピッキングリストに従って保管場所へ移動し、対象商品のバーコードをスキャン。システムが商品名と数量を自動照合し、誤った商品や数量をスキャンした場合は即座にアラートが鳴るため、ミスをその場で防げます。
また、最適なピッキングルートの案内を行ってくれるため、ムダな歩行も減ります。従来の「人の経験や勘に頼っていた管理」から「データと仕組みで動く管理」へ切り替わるのがWMS導入の効果です。
スマートグラス|ハンズフリーで確認ミスと作業時間を同時に削減する
スマートグラスを導入すれば、ハンズフリーで確認ミスと作業時間を同時に削減できるようになります。
眼鏡型デバイスの「スマートグラス」は、AIや各種センサーを内蔵しており、視界にピッキングリストや棚位置・移動ルートをAR表示できるため、紙の伝票やハンディターミナルが不要になります。

また、目線を合わせるだけでバーコード・QRコードを自動スキャンできるため、照合・検品の手間も大幅に削減。ナビゲーション機能により、熟練度によらず均一な作業品質を実現でき、ヒューマンエラーの抑制にもつながります。
両手が常に空いた状態で作業できることで安全性が高まるのもポイントです。商品やマテハン機器の取り扱いもスムーズになります。
リベロエンジニアが提供する「Libero Sight」は、LIXILの工場・倉庫向けシステムを汎用化したソリューションで、入出庫の効率化からヒューマンエラー防止・人材教育までを支援。アプリ開発・導入支援・運用サポートまでを一括提供しています。
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AGV・ロボット|搬送・ピッキング作業を省人化する
AGV・ロボットの導入により、人の手で行う作業を代替して、搬送・ピッキング作業を省人化するのも一つの手です。
主にAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)といった種類があります。
- AGV (Autonomous Guided Vehicle): 磁気テープなどで設定された固定ルートを走行する無人搬送車
- AMR (Autonomous Mobile Robot):MRはセンサーで障害物を検知しながら最適経路を自律判断して走行する次世代型ロボット
代表的な活用方式がGTP(Goods to Person)で、Amazonの物流拠点でも採用されています。これは、AMRが注文データをもとに対象商品の棚を作業ステーションまで自動搬送し、作業員はその場で商品を取り出すだけで次のロボットが順次到着するというものです。
作業の大半を占める歩行をロボットが担うため、少人数でも出荷処理量を維持でき、省人化が実現します。また、充電時間を除けば24時間稼働が可能なため、夜間シフトへの対応や繁忙期の処理能力向上にも有効です。

自社課題の見つけ方と改善策の選び方

改善策がわかっても、自社にとって「どのような課題」があるのかを見つけられないと、最適な改善策を選ぶのは難しいでしょう。そこで自社課題の見つけ方と改善策の選び方を解説します。
まず、ピッキングミス率・人時生産性・1件あたりピッキング作業時間の3指標を計測し、感覚ではなく数値で現状を把握しましょう。
- ピッキングミス率:ミス回数 ÷ 総ピッキング回数で求める。1%超で、常態化のサイン
- 人時生産性:処理ケース数 ÷ 投入人時で求める。時間帯・作業者別に出すと属人化を可視化
- 1件あたりピッキング作業時間:ベテランと新人の差が大きければ、標準化が急務
次に、現場観察で根本原因を特定します。同じ棚への往復が多ければ動線・レイアウトが、リストを何度も見返しているならピッキングリスト設計が課題です。ミスが「うっかり」で片付けられている場合は、仕組みではなく精神論に頼っているサインです。
自社の課題が特定できたら、タイプに合った施策を優先します。
- ミスが多い⇒リスト改善・スマートグラス・バーコード検品が有効
- 時間がかかる⇒動線見直しとWMS・DPS導入が有効
- 人手が不足している⇒AGV・ロボットの導入検討
- 属人化している⇒マニュアル整備とデジタル指示ツールの活用が有効

まとめ
ピッキング作業の効率化は、「移動距離の削減」「商品の見つけやすさの改善」「ミスを防ぐ仕組みづくり」という3つの軸から考えることが重要です。
コストをかけずに始められるレイアウト見直しやロケーション管理の改善から、WMS・スマートグラス・AGVといったシステム導入によるDXまで、自社の課題と優先度に合わせてアプローチを選ぶことが近道です。
まずはピッキングミス率・人時生産性・1件あたりの作業時間を数値で把握し、現場観察で根本原因を特定することから始めましょう。「感覚」ではなく「データ」を起点にすることで、効果的な改善策を迷わず選べるようになります。
倉庫のピッキング効率化を本格的に進めるなら、スマートグラスソリューション「Libero Sight」を提供するリベロエンジニアへご相談ください。現場課題のヒアリングからアプリ開発・導入支援・運用サポートまでを一括で対応しており、貴社の状況に合った最適な改善プランを提案します。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。
