外国人労働者への教育で現場が変わる!製造・物流業が取り組むべき5つの対策とDX活用法
2026.05.15
製造・物流業では、少子高齢化による労働人口の減少と現場系職種の若者離れが重なり、国内人材だけでは慢性的な人手不足が解消できない状況が続いています。外国人労働者を雇用する企業も増えるなかで、「仕事を教えたのに伝わっていない」「また一から教え直しだ」など、外国人労働者の教育に疲弊感を抱えている企業も少なくないでしょう。
しかし、教育方法を見直すだけで、現場の定着率と安全性は大きく変わります。製造・物流業が今すぐ取り組むべき5つの対策と、デジタルツール活用の最新事例を一挙解説します。本質的な原因と対策を理解することで、明日からの現場改善に即活用してみてください。
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外国人労働者の受け入れが急増し、現場の教育が追いついていない

製造・物流・建設・介護など、人手不足が常態化している業界では、今や外国人労働者は不可欠な存在になっていますが、変場では「教えたつもり」「伝わっていない」といった”教育不足”が常態化しています。
厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況(2025年10月末時点)によると、外国人労働者数は約257万人に達し、前年比で約26万8,000人増加。届出義務化以降、過去最多を更新し続けています。産業別では、製造業が全体の24.7%を占めており、自動車製造や電子部品の組み立てなど、完全な自働化が難しい人手を必要とする業務において外国人労働者は不可欠です。
しかし、受け入れ拡大に現場の教育体制が追いついていないのが実情です。複雑な作業が求められる現場において、日本語のみで作業手順やルールを説明しても正確に伝わらず、「教えたつもり」で終わるケースが常態化しやすくなっています。
また多言語対応マニュアルの整備や指導できる人材の確保には時間的・人的コストがかかるため、外国人向け教育体制が放置されがちな現場も少なくありません。
日本人と同等レベルの日本語能力を持つ外国人を雇用できることは稀なため、いかに現場の教育レベルを高めていくかが重要です。
外国人労働者の教育が難しい4つの根本的な理由

外国人労働者の教育が難しい根本的な理由として、大きく4つの問題が挙げられます。なぜ難しいのか適切に把握しておくことで、対応すべきことが見えてきます。
① 言語の壁|日本語が「読めない・わからない」
まず大きな課題として挙げられるのが、言語の壁です。日本語が「読めない・わからない」ことで、適切な教育やコミュニケーションが難しくなっています。
厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人労働者を雇用する事業所が感じる課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が43.9%で首位を占めています。製造業に絞ると、その割合は57.8%まで上昇し、外国人労働者を雇用する企業の半数以上が悩む問題です。
外国人労働者の日本語能力が低い場合、日常会話でさえ意思疎通が難しいため、業務上の専門用語ともなれば正確な伝達はさらに困難です。口頭指示が誤って解釈されたり、日本語で書かれたマニュアルの細部のニュアンスが伝わらなかったりすると、作業手順の誤認から品質不良・労働災害を招くリスクがあります。
また、上司・同僚とのやりとりが十分に取れない状況が続くことで、孤立感が深まり離職につながる可能性もあります。
② 文化・慣習の違い|日本で当たり前のルールが伝わりにくい
言語だけでなく、文化・慣習の違いから日本で当たり前のルールが伝わりにくいのも難点です。
特に、国によって時間に対する感覚は大きく異なり、始業時間の厳守を当然とする日本の職場文化は、外国人労働者には受け入れにくい場合があります。他にも、下記のような日本特有の暗黙のルールも同様に浸透しにくいでしょう。
- 報告・連絡・相談の習慣
- 上下関係の考え方
- 残業・居残りへの暗黙の期待(上司より先に帰りにくい雰囲気)
- 挨拶や礼儀作法
- 職場の整理整頓・5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)への意識
- 「察する」文化 など
また、宗教上の理由から食事や服装に配慮が必要な方もいます。こうした違いを乗り越えるには、企業側が一方的に適応を求めるだけでなく、日本人社員が異文化を理解・尊重する姿勢も必要です。
異文化理解研修の実施や、多様性を受け入れる職場風土の形成を通じて、双方向の相互理解を深める取り組みが求められます。
③ 教育体制の未整備|担当者・通訳が属人化しがち
外国人労働者の教育体制が整っていないと、担当者・通訳が属人化しがちです。
日本語のみの紙マニュアルでは伝わらない部分が生じるため、多言語対応マニュアルの整備・指導できるのがベストですが、こうした人材の確保には、相当な時間・人的コストがかかります。加えて、各国語版を一つずつ作成するのは現実的ではなく、結果として外国人向けの教育整備が後回しになりがちです。
外国人労働者へ適切に対応できる人材が限られることから、属人化しやすくなっています。教育業務が特定の担当者や通訳に集中していると、その人が異動・退職した途端に教育の質が急落するかもしれません。また、担当者ごとに指導内容が異なると、外国人労働者は「誰の言うことを信じればよいのか」と混乱し、不安や不信感につながります。
口頭のみの指導が常態化している現場では、繁忙期に教育が後回しとなり、習熟度が伸びないまま放置されるケースも少なくありません。こうした属人的な体制を解消するには、標準化されたマニュアルの整備と、誰が担当しても同水準で育成できる仕組みの構築が不可欠です。
④ コストと定着率の問題|育てても辞めてしまうリスク
採用・教育には相応のコストがかかるにもかかわらず、せっかく育てた人材が早期に離職するリスクがあります。
2021年に、株式会社エイムソウルが行った調査によると、外国人労働者の入社1年以内の離職率は28.0%に上ります。2023年の日本人離職率15.4%と比べて約2倍の水準です。
人手不足解消を目的に採用しても定着しなければ、再び労働力が不足し、生産性の低下や既存社員の負担増を招きます。さらに、離職した人材に投じた採用・教育コストは回収できず、新たな人材を確保・育成するためにまたコストがかかるという悪循環に陥ります。
定着率を高めるには、評価制度の公平性確保や生活支援を含む就労環境の整備が必要です。
教育が不十分なままだと何が起きる?現場が直面する3つのリスク

外国人労働者への教育が不十分なままだと、さまざまなリスクがあります。具体的に、どのようなリスクに現場が直面するのか、代表的なものを3つ紹介します。
労働災害の発生
教育が行き届いていない外国人労働者は、安全な作業手順を正しく把握できていないケースが多く、工場や建設現場での機械操作ミス・設備の誤使用が事故やケガに直結します。
国によって安全意識の水準が異なるため、危険を危険と認識できないまま作業を続けてしまうことも珍しくありません。厚生労働省のデータによると、外国人労働者の死傷者数は2019年の3,928人から2024年には6,244人へと増加しています。なかでも製造業(全体の約47.7%)と建設業(約18.7%)への集中が顕著です。
| 年度 | 外国人労働者の死傷者数 |
|---|---|
| 2019年 | 3,928人 |
| 2020年 | 4,682人 |
| 2021年 | 5,715人 |
| 2022年 | 4,808人 |
| 2023年 | 5,672人 |
| 2024年 | 6,244人 |
外国人労働者の場合、労働者1,000人あたりの死傷者数を表す「死傷年千人率」が全労働者平均の2.3を上回る2.71となっておりう、日本人と比較してもリスクが高い状態が続いています。労働災害が発生すれば、被災者本人・家族への損害はもちろん、企業の生産停止や社会的信頼の低下にもつながります。
品質不良・作業ミスの増加
外国人労働者への教育が行き届いていないと、従業員ごとに業務品質のバラつきが生じやすく、品質不良・作業ミスの増加につながります。
特に製造業や食品工場では、作業手順や品質基準を正確に把握できていないと不良品の発生率が高まります。例えば、精密な組み立て工程で細部への注意が伝わっていなければ、問題のある製品を繰り返し生産し続けるかもしれません。結果として、企業へのクレーム増加や信頼失墜、ブランドの毀損といった深刻な影響をもたらします。
品質不良の主な引き金となるのが「手順不遵守」です。作業ルールが正しく伝わっていなければ、手戻りやトラブルが頻発し、現場全体の生産性も低下します。
仕事のモチベーションが低下
教育が行き届いていない外国人労働者は、業務に必要なスキルや職場のルールを十分に理解できないまま働くことになり、仕事のモチベーションが低下しやすくなります。
誰しも、自分が期待に応えられているのかが分からない状態が続くと、自信を持って仕事に臨めず、働く意欲は次第に低下しやすくなります。加えて、言語の壁からコミュニケーションが思うように取れず、上司や同僚との関係が薄いまま業務をこなすだけの日々が続くと、成長実感が得られにくくモチベーションはさらに下がるでしょう。
こうした状態が長引くほど離職リスクは高まり、せっかく採用・育成した人材を失う結果につながりかねません。
外国人労働者の教育を成功させる5つの対策

外国人労働者の教育を成功させ、優秀な人材に長く働いてもらうには5つの対策が有効です。具体的な対策を紹介するので、自社で必要なもの・取り入れやすいものから実行してみましょう。
① 外国人労働者にやさしいマニュアルの整備
マニュアル整備の基本は、「やさしい日本語」の活用です。
業界特有の専門用語や抽象的な表現は、ある程度日本語が話せる外国人にも伝わりにくいため、短く明確な文を意識しましょう。例えば「廃棄物は適切に処理してください」よりも「ゴミは決められた場所に出してください」のほうが、格段に理解しやすくなります。マニュアルだけでなく、日々の声かけやミーティングでも、やさしい日本語を心がけると質問しやすい雰囲気が生まれます。
また、文字情報だけで理解が難しい作業は、写真やイラスト、動画を組み合わせた視覚的な補足が効果的です。例えば、機械の操作手順や清掃フローなどは工程ごとに現場写真を掲載し、道具の持ち方や手の動きまで見えるよう工夫しましょう。NG例も視覚的に示すと、危険な行動や誤った手順の具体的なイメージが共有できます。
さらに、下記のように習熟度に応じた難易度調整も重要です。
- 初級者:イラストや動画
- 中級者:やさしい文章のマニュアル
- 上級者:報告書作成や発言練習 など
段階的に対応することで、日本語レベルに応じた理解を促せます。
② 視覚・動画での教育
清掃・梱包・接客など、実際の業務を撮影した動画教材は、テキストや静止画だけのマニュアルと比べて情報量が多く、作業の流れや手の動き・スピード感まで正確に伝えられます。
言語の理解が十分でない段階でも、動作を見るだけで内容を直感的に把握しやすく、初学者が自分のペースで繰り返し視聴できる点も大きな利点です。
効果をさらに高めるには、動画内の重要ポイントに母国語の字幕を挿入したり、紙マニュアルで補足することが有効です。特に製造業・建設業では、危険作業やヒヤリハット事例を映像で示すことで、言葉だけでは伝わりにくい細かなニュアンスや注意点も視覚的に理解を促せます。感覚的に正しい手順を身につけられるため、労働災害リスクの低減にも直結します。
③ OJTの構造化
OJTを属人化させないためには、「教える内容」と「教え方」の両面を標準化する必要があります。
担当者ごとに指導内容が異なると、同時期に入社した外国人労働者の間でスキル習得に差が生じたり、担当者ごとの違いに混乱したりして生産性の低下につながります。
まずは、業務を難易度・重要度に応じて3〜5フェーズに分割しましょう。各フェーズごとに「単独でできる」「指導付きでできる」「知識として知っている」の3段階で、到達目標と標準期間を設定したカリキュラムを作成します。
そして教え方も統一しましょう。日本人社員が「伝える力」や「理解する姿勢」を持つことが、安心して働ける職場づくりの土台となります。具体的には、以下のような工夫が必要です。
- 指示は短く具体的に伝える
- 困っている様子に気づいたらすぐ声をかける
- 良い点も課題もこまめにフィードバックする
- 相手の文化や価値観を否定せず受け止める など
こうした教え方を標準化することが、外国人労働者の安心感につながります。
④ 繰り返し学習できる仕組みづくり
外国語での説明や馴染みのない文化的ルールは、一度の研修では定着しにくいため、外国人労働者が自分のペースで何度でも確認できる学習環境を整えましょう。
重要なのは、担当者が都度対応しなくても学習が完結する仕組みです。例えば、動画マニュアルを整備すれば、作業手順や安全ルールをいつでも自主的に復習でき、教育コストの削減にもつながります。特に、安全教育は効果が薄れるとリスクが高いため、朝礼や定例ミーティングで短い安全ワンポイントを継続的に実施することが有効です。
あわせて振り返りの時間を設け、ルールの遵守状況を自己チェックする習慣を促しましょう。指導者側も良い行動を言語化して共有することで、安全意識をチーム全体に根付かせられます。
⑤ スマートグラスを活用する
言語の壁を根本から解消するDX手段として、現場へスマートグラスを導入するのもおすすめです。
スマートフォンやタブレットの翻訳アプリは、両手が塞がる作業中の操作が難しかったり、重機・機械音の多い環境では音声が聞き取れなかったりと、製造・建設現場では機能しづらい場面が多くあります。無理に導入しても、会話のテンポが崩れることで指示待ちや作業停止が発生しやすく、生産性の低下など悪影響をおよぼしがちです。
スマートグラスであれば「視覚×聴覚」のハイブリッド翻訳が可能で、こうした問題をカンタンに解消できます。スマートグラスによって機能は異なりますが、例えば以下のようなことが可能となります。
- リアルタイムな多言語翻訳:監督者が日本語で話した内容を即時に変換・音声出力して、複数の外国人スタッフへ一斉に伝達。朝礼・KY活動での安全共有や、現場への一斉指示といった場面で活躍します。
- レンズへの投影機能:翻訳テキストやマニュアルの図解などをレンズ上に表示できるため、騒音下でも文字やイラスト・写真で確実に内容を届けられます。
なにより、ハンズフリーで利用できるため、作業を中断せずにコミュニケーションを継続できる点が強みです。両手が自由になることで、危険を避けやすく労災の防止にもつながります。
リベロエンジニアでは、スマートグラスの選定から導入支援、業務アプリの開発、補助金申請までトータルにサポートしています。現場DXの第一歩として、スマートグラス導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
まとめ
外国人労働者の教育における課題は、言語の壁・文化の違い・教育体制の属人化・定着率の低さという4つの根本原因に集約されます。これらの課題を放置すると、労働災害の増加・品質不良・モチベーション低下という現場リスクへ直結します。
そのためマニュアルの整備や動画教材の活用などの対策が必須で、いかに外国人労働者が働きやすい環境を整えられるかが重要です。すべてを一度に実施する必要はなく、自社の課題や優先度に応じて取り入れやすいものから着手するだけでも、現場環境は着実に改善できます。
外国人労働者が安心して長く働ける職場づくりは、採用・教育コストの回収にとどまらず、現場全体の生産性向上や安全性強化にもつながります。根本的な課題をまとめて解決したい企業には、スマートグラスの導入によるDX視点の課題解決がおすすめです。リベロエンジニアでは、どのように導入を進めればいいのかはもちろん、自社に必要なのかという点からアドバイス可能なので、ぜひ気軽にご相談ください。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。
