遠隔支援スタッフとは?外国人・派遣スタッフの現場管理を効率化する方法
2026.08.26
建設業や製造業の現場で、「外国人スタッフの増加」「熟練者不足」「移動コストの負担」といった課題を抱えている企業は多いでしょう。長年人手不足が叫ばれてきた業界にとって、遠隔支援はなくてはならないものだといえます。
とはいえ、ビデオ通話やウェアラブルカメラ、スマートグラスなど、複数の遠隔支援ツールがあると、どのような強みがあるのか・自社の現場にはどのツールが適しているのか、選定に迷うでしょう。
本記事では、遠隔支援が求められる背景から、主な遠隔支援ツールの特徴、現場作業における選び方のポイント、スマートグラス導入によるメリットを解説します。自社の課題に合った遠隔支援の進め方の参考にしてください。
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遠隔支援スタッフとは?現場スタッフを遠隔から支援する仕組み

遠隔支援スタッフとは、現場作業員が身につけたスマートグラスやスマートフォンの映像を、離れた場所にいる熟練者にリアルタイムで共有し、その映像を見ながら指示・助言を行う担当者です。
仕組みの特徴は、現場側とスタッフ側が常時接続した状態で作業を進める点にあります。現場側はスマートグラスやスマートフォンで撮影した映像を送信し、スタッフ側はその映像に注釈を書き込んだり、口頭で細かく指示を出したりします。音声のみのやり取りと違い、双方が同じ映像を見ながら会話するため、認識のズレが生じにくくなります。
そのため、熟練者は現場に出向かなくても的確な判断を下せるのがメリットです。
また、映像による指導は言語の壁を補いやすいのも特徴です。口頭説明だけでは伝わりにくい作業手順も、映像を見ながらであれば理解を助けられます。翻訳アプリや多言語対応ツールと組み合わせれば、遠隔地から指示を出す際の意思疎通もスムーズです。
活用場面は幅広く、工場の設備点検や建設現場の施工確認、医療現場での処置補助など多岐にわたります。特に高所や狭所など、熟練者が直接立ち会いにくい現場では、映像と音声だけで指導できる利点が際立ちます。トラブル発生時など緊急事態でも、熟練者の判断をすぐに仰げるため、対応の遅れによる被害拡大を防ぎやすくなるでしょう。
現場で遠隔支援が求められる背景

建設業や製造業などの現場で、遠隔支援が求められる背景として大きく3つの要因が挙げられます。これらの要因が、なぜ遠隔支援を必要とするのか、その理由を解説します。
外国人スタッフ・派遣スタッフの増加
現場における外国人スタッフ・派遣スタッフの増加は、遠隔支援が求められる大きな要因です。
厚生労働省の発表によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は257万人を超えました。前年比26万8,450人の増加となり、届出義務化以降、過去最多を更新しています。これは、特定技能や技能実習制度による受け入れ拡大という制度的な動きがあり、製造業をはじめとする現場では、外国人材の存在がすでに欠かせないものとなっています。
一方で、日本語に不慣れな労働者へ日本語のみのマニュアルを渡すだけでは、正確に内容を理解してもらうことは困難です。理解が不十分なまま作業を進めれば、ミスや事故につながるおそれもあります。実際、日本語レベルが低い状態のまま現場に立たせると、次のような問題が起こりやすくなります。
- 指示内容の行き違いが生じる
- 業務効率や生産性が低下する
- 本人のやる気が失われる
日本語レベルの低さに起因する課題は、外国人スタッフ本人だけでなく、指導にあたる日本人スタッフの負担増加にもつながります。だからこそ、言語や理解度の壁を補う遠隔支援の仕組みが求められています。
熟練者不足と技能伝承の課題
熟練者不足と技能伝承といった課題も、遠隔支援の必要性を高めています。
建設業界では、少子高齢化に伴いベテラン技術者の高齢化や退職が進み、技能伝承のスピードが追いついていないのが実情です。現場を管理する監督者や技術者の不足は深刻で、一人の熟練者が複数拠点をかけ持つケースも珍しくありません。
こうした状況に有効なのが、遠隔臨場の導入です。現場にいる若手の作業を、離れた場所にいるベテランがリアルタイムで確認し、必要に応じて指導できるようになります。その場でフィードバックを受けられるため、若手は効率的に学べ、技能伝承のスピードも高まります。
加えて、ベテランの作業手順や高度な技術が求められる現場の様子を録画しておけば、社内研修用の映像教材としても活用可能です。一人のベテランが、複数拠点の若手を同時に育成できる体制を築ける点も、遠隔支援ならではの利点です。
移動コスト・拠点分散の問題
拠点が全国や海外に分散している企業や、建設業のように地方や山間部などでも作業を行う仕事であるほど、熟練者が現場に赴くには、移動時間と交通費・宿泊費といったコストが必要です。
作業員数が少ない現場では、一人の現場監督者が複数の現場を掛け持ちする状況も珍しくありません。結果として、一人当たりの業務量が過多になりやすい構造です。
移動や準備に費やす時間も無視できず、本来の作業時間を圧迫しています。国土交通省が進める遠隔臨場でも、往復の移動時間削減が主要なメリットとして位置づけられており、複数現場を巡回する負担の軽減につながるとされています。
また、協力会社やサプライヤー、海外拠点への出向についても、同様の視点で負担が大きな業務です。
遠隔からの支援体制が整えば、移動によって失われがちだった現場の課題解決力の底上げが見込めます。
遠隔支援の主な方法

遠隔支援といってもさまざまな手段があり、主な方法として3つが挙げられます。それぞれの特徴を把握しておくことで、自社の課題解決に適切な方法を吟味できるでしょう。
ビデオ通話(スマートフォン・タブレット)
スマートフォンやタブレットのカメラを使い、Web会議システム経由で現場と遠隔地をリアルタイムの映像でつなぐ方法です。
Web会議システムには、クラウド型とオンプレミス型の2種類があります。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 提供形態 | 事業者からインターネット経由で提供 | 自社で保有・運用するサーバーに導入 |
| サーバーの管理主体 | 事業者側 | 自社 |
| メンテナンス負担 | 利用者側は不要 | 自社で継続的に対応する必要あり |
| 接続環境 | インターネット環境があれば場所を問わず接続可能 | 自社サーバー |
導入面では、既存のスマートフォンやタブレットをそのまま使えるため、専用機材への投資が不要な点が大きなメリットです。
一方で、後述するウェアラブルカメラやスマートグラスのように、頭部やヘルメットへ装着してハンズフリーで撮影する運用には向きません。手で端末を保持する必要があるため、作業の妨げにならないか、導入前に現場の作業内容と照らして確認しておく必要があります。
ウェアラブルカメラ
ウェアラブルカメラとは、身体に装着して撮影する小型カメラです。
頭部や胸部、腕など、複数の部位への装着に対応しているため、従来の手持ちカメラとは異なり、ハンズフリーでの撮影が可能です。例えば、クレーン車を操作する担当者が頭部にカメラを装着すれば、指示担当者は作業者と同じ目線で状況を確認できます。
また、両手が自由になることで、作業を止めずに映像を送り続けられるのもメリットです。軽量かつ堅牢な設計のモデルが多く、耐衝撃性能や防塵・防水性能を備えた製品も豊富です。手ブレを抑える補正機能を搭載した機種も多く、移動中でも安定した映像を届けられます。
映像の送受信機能により、現場担当者と指示担当者が離れた場所にいても、リアルタイムな映像を通じてやり取り可能。指示担当者は、音声と映像の両方から現場の状況を把握しながら、具体的な指示を出せます。
スマートグラス
スマートグラスの最大の特徴は、装着者の視界に指示情報を重ねて表示できる点にあります。ウェアラブルカメラが映像の共有にとどまるのに対し、スマートグラスは文字・矢印などを視界へ直接投影できるため、より的確な指示が可能です。
形状はメガネやゴーグルに近く、装着することで現実の風景に、拡張現実(AR)技術による仮想的な情報を重ねて表示できます。カメラ機能を備えた製品も多く、製造現場の設備点検や検査にも活用されています。
例えば、作業者側の映像を指示者と共有して、指示者は映像上にポインターを表示させることで、作業者へ視覚的に指示を出せます。他にも、監督者からの指示やマニュアル、図面なども画面に表示できるため、複雑な作業指示や技術指導の場面で効果を発揮します。
また、ウェアラブルカメラと同様に両手がふさがらないため、作業を止めずに指示を受けられる点も強みです。高所作業のような、両手を確保しておくべき危険な場所・作業でも使いやすくなっています。
現場作業における遠隔支援ツールの選び方

現場作業における遠隔支援ツールの選び方のポイントとして、大きく3つの観点があります。自社の現場での作業内容や課題を踏まえたうえで、どのポイントを優先すべきか考えましょう。
両手が使えるか
現場作業における遠隔支援ツールでは、両手が使えるかどうかが選定の要点です。
スマートフォン・タブレットでの通話しながらの作業では、片手がふさがり高所作業や重量物の取り扱いでは、事故につながりやすくなります。
両手の自由度においては、スマートグラスやウェアラブルカメラが明確に優れています。どちらも装着型のため、手を使わずに映像を共有できます。特に、スマートグラスは音声操作にも対応しており、通話や情報表示の切り替えも手を止めずに行えます。
また、近年はノイズキャンセリング機能を備え、騒音が大きい環境下でも、音声制御による操作・通話が可能なスマートグラスも出てきています。とはいえ、性能・機能は機種によって差があります。導入する際は、実際の現場環境から、どのような機能や操作性が求められるのか、現場作業者目線での選定が大切です。
作業者視点をそのまま共有できるか
頭部や胸部に装着するデバイスを選べば、作業者が見ている対象をそのまま遠隔地へ共有できます。
スマートフォンのカメラで撮影する場合、片手で構える手間が生じるうえ、画面の向きによって視点のずれも起こりやすくなります。伝えたい箇所が画面の枠から外れたまま気づかず、遠隔地の担当者から「もう一度映して欲しい」と聞き返されたり、手ブレにより担当者が確認しにくかったりするかもしれません。
一方、ヘルメットやメガネのように頭部へ装着するタイプは、装着者から見える光景をそのまま撮影可能です。
| デバイス | 装着位置 | 強み |
|---|---|---|
| ウェアラブルカメラ | 頭部・胸ポケットなど複数箇所から選択可能 | ・現場や作業内容に応じて装着位置を切り替えられる ・広い視野の映像も、手元中心の映像も、目的に合わせて選べる |
| スマートグラス | メガネの位置に固定 | ・装着者の目線に近い映像を、安定して遠隔地へ届けられる ・装着者の目線=カメラのため、どこを見ているか共有しやすい |
遠隔地にいる熟練者や専門家は、作業者と同じ光景を見ながら指示を出せるため、現場にいるような感覚で指示をしやすくなります。装着位置と視点の関係を踏まえたうえで、作業内容に合ったデバイスを選ぶことが重要です。
装着したまま作業を継続できるか
装着したまま作業を継続できるかは、通話の中断頻度とバッテリー運用によって決まります。
もし通話のたびに機器を外したり再接続したりする必要があると、装着型デバイスの利点が薄れます。特に多言語対応が必要な現場では、通訳や確認のやり取りが加わる分、通話の切断・再接続を繰り返すたびに手間が積み重なりやすくなります。
また、デバイスの重量やサイズ、装着感も長時間使用時の疲労に直結するため、形状や装着方法まで確認しましょう。
あわせて重視すべきなのが、バッテリー運用です。装着したまま充電池を交換できるホットスワップ機能に対応していれば、稼働を止めずに現場作業を続けられます。対応していない機器では、バッテリー切れのたびに作業を中断し、充電完了まで待つ必要が生じます。
長時間稼働が求められる現場ほど、ホットスワップの有無は実運用への影響が大きくなります。
スマートグラスによる遠隔支援のメリット

遠隔支援を行うにあたって、スマートグラスは優れており、既に建設・製造・医療・点検など幅広い分野で導入されています。なぜ、スマートグラスの導入が進んでいるのか、そのメリットを4つの視点から解説します。
言語の壁を越えた指示が可能
音声翻訳だけでなく、視界に文字や図を重ねて表示できるため、外国人スタッフでも指示内容を誤解なく受け取れます。
話した言葉はその場で認識・翻訳され、レンズにテキストとして表示されます。翻訳を待つ間延びがなく、会話のテンポを崩さずにやり取りできるため、これまで感覚的な意思疎通で済ませてきた場面を、正確な言語変換に基づいた確実な確認へと変えられます。
加えて、作業中に発生した問題や指示事項を、写真や映像にペンで書き込み、作業員へリアルタイムに共有する機能もあります。口頭説明だけでは伝わりにくい手順や位置関係も、図解を添えることで誤解を招きにくくなり、確認漏れの防止が可能です。朝礼での安全共有や、機械操作の指導場面など、視覚情報が重要な指示ほど効果を発揮します。
また、専門用語の翻訳へも対応しているものもあります。一般的な翻訳ツールは、製造・物流現場特有の言い回しを正しく訳せないケースも。現場固有の言葉まで変換できる製品なら、新人スタッフへの業務説明から安全教育、日々の作業指示まで、幅広い伝達場面で安心して使えます。
教育コスト・移動コストの削減
熟練者が現場に出向くことなく、複数拠点・複数人への指導を同時に行えるため、教育コストと移動コストの両方を削減できます。
現場の社員がスマートグラスを装着すれば、責任者は遠隔地から映像を確認できるため、確認のために何度も現地へ足を運ぶ必要がなくなり、移動時間や出張費用を抑えられます。
さらに、スマートグラスはARを通じて作業ガイドを表示できます。対象物にグラスを向けるだけで、作業箇所や手順・マニュアルが視界内に示されるため、経験の浅い社員でも指示に沿って作業を進められます。
結果として、熟練者が一人の新人に付きっきりで教える場面が減り、人材育成にかかる時間や費用を圧縮できます。
ミス・事故の削減
スマートグラスを使えば、遠隔からの正確な指示によって作業ミスや労働災害のリスクを抑えやすくなります。特に、派遣スタッフや未経験者が多い現場では、効果がより大きく表れます。
スマートフォンで確認や撮影を行う場合、片手または両手がふさがるため、高所作業などでは危険が増す原因になりがちです。スマートグラスなら両手を自由に保ったまま、視界の中で必要な情報を確認できます。
また、下記のような点も強みです。
- 視界上にマニュアルを表示し、音声通話で遠隔地から指示を受けながら作業を進められる
- 未経験・経験の浅いスタッフでも、正しい手順を目で確認しながら作業を進められる
- 思い込みによる事故や、手順の飛ばしも防ぎやすくなる
例えば、複雑な配線作業では、正しい接続順序を画面へ表示できるため、誰でも熟練者と同じ手順で正確に進めることが可能です。
さらに、作業の様子を作業者の目線で自動記録できます。ミス発生時の原因究明や、報告書のエビデンスとしても活用できます。
双方向のコミュニケーションが簡単
スマートグラスを使えば、現場と遠隔地の双方向のやり取りが容易になるのもメリットです。
従来の電話連絡では状況を言葉だけで伝える必要があり、認識のずれや伝達の遅れが生じがちでした。スマートグラスなら、作業者目線の映像をリアルタイムで遠隔地に届けながら、その場で音声のやり取りができるため、指示者は現場の状況を正確に把握でき、指示の精度とスピードが上がります。
加えて、遠隔地からスマートグラスのレンズ部分に画像や文字を投影することで、作業者の視界に直接印を付けられるため、音声だけでは伝わりにくい細かな位置や手順も、視覚的に正確に伝わります。
音声とビジュアルを組み合わせた双方向のやり取りで、より正確かつ迅速に現場と遠隔地のコミュニケーションが可能です。指示の誤解による手戻りやミスを防げる点は、現場にとって大きなメリットです。
まとめ
現場における外国人スタッフの増加、熟練者不足、移動コストの負担は、多くの企業に共通する課題です。スマートグラスを中心とした遠隔支援を導入すれば、これらの課題を同時に解決できます。
スマートグラスは、ビデオ通話やウェアラブルカメラと違い、視界に直接情報を重ねられる点が強みです。言語の壁を越えた指示、教育コストや移動コストの削減、ミスや事故の防止、双方向コミュニケーションの円滑化など、導入によるメリットは多岐にわたります。
一方で、機種によって機能や堅牢性には差があり、現場環境や作業内容に合わせた選定が欠かせません。
自社に合ったスマートグラスの選び方や、具体的な製品比較に迷う場合は、リベロエンジニアにご相談ください。現場の課題に応じた製品選定から導入までをサポートしており、遠隔支援を初めて検討する企業にも役立ちます。
\ 現場のDXは「小さく始める」が成功の近道 /
スマートグラス「Libero Sight™」なら、今ある設備を活かして一部工程から始められます。
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。
