産業用スマートグラスは高い?導入費用やコスト削減効果を解説
2025.12.26
DXの推進とともに、物流業・製造業・建設業を中心に、多くの業界で作業効率・生産性アップのためスマートグラスの導入を進めています。
しかし「スマートグラスは高価な投資」というイメージで、導入を躊躇していませんか?現場のDXを成功させるには、本体代だけでなく月額利用料や保守費を含めた「総コスト」と、人件費削減による「投資対効果」の正確な把握が不可欠です。
本記事では、製造・建設現場での費用相場から、コストを上回る利益を生む秘策までを解説します。スマートグラスを導入するために必要な費用対効果の示し方も紹介するので、ぜひ導入の参考にしてみてください。
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産業用スマートグラスの導入にかかるコストは?

産業用スマートグラスの導入には、本体価格だけでなく、月額のシステム利用料・クラウドサービス費用や保守・メンテナンス費用、周辺機器などの費用も必要です。イニシャルコスト(初期費用)だけでなく、ランニングコストも必要になるため、長期的な目線トータルコストを把握しておきましょう。
本体価格
産業用スマートグラスの本体価格は、1台あたり15万~40万円前後が一般的な価格帯です。
このクラスは、作業ログの記録や映像共有を主目的としており、AIによる作業解析や高度な拡張現実表示、防塵・防水構造などを備えた高機能なモデルは、本体だけでも50万~100万円を超えるケースもあります。
また、本体価格とシステム全体の費用をあわせると、トータルで500万円以上になる導入例もあります。
なお、リベロエンジニアで開発した「Libero Sight(リベロサイト)」では、下記のような料金プラン一覧を用意しており、月額15万円~30万円でクライアントのニーズに合わせた価値のご提供が可能です。

一般的に高性能な機種ほど、価格帯が高くなるため、自社でどのような使い方を検討しているのかを念頭に、必要な機能・性能に絞るとコストを抑えられるでしょう。
月額のシステム利用料・クラウドサービス費用
産業用スマートグラスの運用には、本体費用に加えて、クラウド型遠隔支援システムの月額料金やソフトウェアライセンス費用なども発生します。
例えば、クラウドサービスを利用することで、遠隔からの映像共有や赤ペン・指さしによる指示、チャット、資料送信、録画など、現場DX向けの機能が使用可能です。こうしたサービスを利用する場合、その利用料が継続的なコストとして発生します。
追加でのシステム・クラウドサービスを使用しない場合、通話や撮影、録音などシンプルな機能しか使用できません。そのため遠隔支援や作業指示など、産業用途でのスマートグラス導入には、遠隔支援に特化した専用システムのライセンス契約がほぼ前提になります。
多くのサービスは、利用ユーザー数や端末数に応じた課金体系を採用しており、1ユーザーあたり月額数千円程度からが目安です。
保守・メンテナンス費用
産業用スマートグラスの保守・メンテナンス費用は、メーカーの保守パックと日常運用コストに分けられます。端末価格比で、数%から1〜2割が目安です。
例えば、エプソンのMOVERIOシリーズでは、「3年〜5年の引取保守パック」が用意されており、5年保守で数万円台といった水準になっています。あくまで一例で、モデルやメーカーによっても変動はありますが、端末日に応じたランニングコストが必要になるのが一般的です。
また、故障時の交換在庫の確保や、バッテリー・アクセサリ交換、設定変更工数などの現場の作業コストも発生します。
スマートグラス導入時には、どのようなメンテナンスが必要なのか、保守・メンテにかかる費用はどのくらいになるのか、忘れずベンダー(販売事業者)に確認しましょう。
周辺機器
産業用スマートグラス本体以外にも、本体に付随する周辺機器の購入費用もかかります。
周辺機器としては、予備バッテリーが代表的です。産業用スマートグラスは長時間使用が前提のため、1日中使ってもバッテリーが持続するのが理想ですが、一般的に5~6時間ほどがバッテリーの持続可能時間の目安です。
そのため、高所作業などすぐに充電できない環境でも作業を中断しなくても済むように、バッテリーを複数確保しておくと効率的ですが、購入数に応じてコストが増加します。
スマートグラスのバッテリーについては、下記のページで持続時間や充電時間の目安、交換の可否などを解説しています。
また、バッテリー以外にもさまざまな周辺機器が用意されており、例えばRealWearというスマートグラスでは、下記のようなモジュール・アクセサリが用意されています。
- ハイパーディスプレイ
- サーマルカメラモジュール
- ヘッドマウント
- ヘッドバンド
- Probuds(防爆性イヤホン)
- キャリングケース
「ハイパーディスプレイで視認性を高め、サーマルカメラモジュールで熱検知を追加する」「ヘッドマウントやヘッドバンドで装着を調整し、Probudsで騒音下の通信を強化」など、使用環境に応じた最適な状態にセッティングできます。
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スマートグラスの導入で、どのようなコストを削減できるのか

スマートグラスの導入により、漠然と「効率化できる」「生産性が上がる」というイメージがあっても、具体的にどのようなコストを削減できるか把握していない方もいらっしゃるでしょう。スマートグラスの導入により、削減できる具体的なコストを解説します。
現場への出張・移動費を削減
スマートグラス導入により、製造業や建設業での現場出張・移動費を大幅に削減できます。
監督者や技術者が、複数現場を回る従来方式では、交通費・人件費・宿泊費などのコストが発生していました。加えて、そもそも移動にかかる時間が、他の業務に費やす時間を奪うコストでもありました。
一方で、スマートグラスを導入すれば、作業者がリアルタイムの映像を送信できるため、監督者・技術者が遠隔からの確認・指示が可能になります。
出張が不要になることで、交通・宿泊コストを削減。人材不足が嘆かれる業界における貴重な人材を有効活用でき、工数削減につながります。
また、移動時間の削減やスケジュール調整が簡単になることで、納期遅延の予防につながるのもメリットです。
ムダな作業の排除による効率化
スマートグラスを工場や倉庫に導入すると、紙の指示書やハンディターミナル(バーコードやQRコードを読み取り、そのデータを処理・送信できる業務用の携帯端末)が不要になり、作業のムダ・手間を大幅に省けます。
例えばピッキング作業では、従来の紙ベースで棚を何度も確認する非効率を解消できます。スマートグラス越しに商品情報や作業指示が視界に投影されるので、効率的に選別可能です。
また、目線にあるカメラでスキャンできるため、ハンディターミナルもいらず両手が自由になるのも魅力です。機器の持ち替えが不要になり、作業速度が向上します。
スマートグラス導入により余分な移動や確認作業がなくなれば、1日に実現できる業務量が増え、現場全体の生産性向上につながります。加えて、人件費や残業代の削減にもつながるでしょう。
既にLIXILの工場では、リベロエンジニアのスマートグラスが本格的に活用されており、作業効率の向上が認められています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
人材育成と技術継承のスマート化
スマートグラスは、人材育成と技術継承を効率化・体系化でき、教育コストも大幅に削減できます。
従来の人材育成・技術継承は、OJT(職場で実際の業務を通じて行う人材育成の方法)により、熟練者の経験を属人的に伝えることが多く、教育期間が長引きやすいのが課題でした。
しかし、スマートグラスを活用すれば、ベテラン技術者の視点を映像記録して共有できるため、新人が実作業を見て学ぶことが可能です。例えば、複雑な実作業をベテラン技術者の目線で映像化すれば、新人が工程を追体験できるため理解しやすくなり、学習効果が向上します。
また、こうした映像資産をナレッジデータとして蓄積すれば、将来的な研修に再利用できます。わかりやすく技術を伝えられるようになることや、人財育成に活用できるデータの蓄積により、OJTにかかる時間を短縮して教育にかかる人件費を抑えられるでしょう。
結果として、組織全体で技術を標準化でき、個人の経験・技術への依存を排除でき、持続的な人材育成・技術継承が実現します。
スマートグラスを導入するために必要な費用対効果の示し方

現場への導入を検討しているが、社内からの承認にハードルを感じている方もいるでしょう。そこでスマートグラスを導入するにあたり、社内を説得するための切り口として、費用対効果の示し方を3つ紹介します。
生産性の向上を具体的な数字で伝える
スマートグラスの導入で、どのくらい生産性を向上させられるのか、具体的な効果を数字で示しましょう。
最も分かりやすいのは、作業時間と移動コストの削減による効果を示すことです。スマートグラスの導入により、従来の非生産的な時間(移動や確認作業など)をどのくらい削減できるのか、定量的に効果を試算してみましょう。
例えば、技術者1人が月5回、往復2時間の遠隔現場対応を担う場合、月間10時間の移動が発生します。遠隔支援を導入すれば、移動時間をゼロにすることが可能。技術者の時給を4,000円と仮定すると、月4万円、年間48万円もの人件費削減を実現します。同時に交通費などの経費も不要になるため、長い目で見るとコストダウンにつながるでしょう。
また、作業員がマニュアル確認で作業を中断する時間が、1日トータル30分あったと仮定すると、こうした無駄な時間を省き、作業工数を大幅に創出するのも立派なコスト削減です。
こうした具体的な数値を基に費用対効果を算出すれば、導入コスト回収期間を明確に提示できます。
品質の安定化への貢献度を伝える
品質向上による間接的なコスト削減と、企業としての信頼性向上などの面での貢献度を伝えるのも手です。
スマートグラスは、作業ナビゲーション機能によりミスを防いだり、作業記録機能によりトレーサビリティを確保したりすることで、品質の安定化にも貢献します。
例えば、ヒューマンエラーによる不良品発生率を0.5%から0.2%に下げられれば、廃棄や再生産コストは年間で、どのくらい削減可能なのかを具体的な数値で提示できれば強力な説得材料になります。
また、教育の充実により新人作業員がベテラン並みの精度を発揮して、製品品質を安定させられるようになれば、歩留まり向上により生産効率向上・顧客クレーム減少による対応コストの低減なども期待できます。
こうした定量・定性的効果を試算資料で示せば、稟議を通過しやすくなるでしょう。
教育コストの改善と従業員満足度の変化を伝える
スマートグラス導入の費用対効果を示す際、新人教育期間の短縮による教育コスト改善もアピール材料になります。
前述したように、スマートグラスは作業中の技術者の手元の映像を「作業者目線」で残す技術があるため、従来のOJTなどよりも直感的に理解しやすい研修を行うことが可能です。
これにより、従来3ヶ月かかっていた育成を2ヶ月に圧縮できるなど、教育期間の短縮につながれば、指導工数にかかるコストを削減できます。早期戦力化により、どのくらいコストを削減できるのか具体的に提示しましょう。
また、スマートグラス導入による働き方の改善や業務効率のアップにより、どのくらい従業員満足度が高まるのかも重要な観点です。こうしうた定性的なメリットは、優秀な人材の定着率向上や採用活動の強化に繋がります。
コストを抑えながら、スマートグラスを導入するポイント

業務効率・生産性アップなどのため、スマートグラスを導入したいと思っても、コスト増加は気になるポイントでしょう。企業がスマートグラスを導入するうえで、どのようなポイントに気を付けるとコストを抑えられるのか解説します。
スモールスタートから始める
コストを抑えながらスマートグラスを導入するには、いきなり全社に展開するのではなく、特定の部署や工場、業務などに絞ってのスモールスタートが有効です。
影響範囲を限定することで、初期投資が少なく済むため、万が一失敗しても大きな痛手になりにくいのがメリットです。また、リスクを抑えつつ現場での有効性や本格導入に向けた課題を明確に把握できるため、全社展開する際に失敗が起こりにくく展開時のコスト増を防げるのもメリットです。
例えば、技術サポート部門の3名で、1ヶ月間遠隔支援業務のみ試用して操作性・通信環境などの作業員フィードバックを集めます。
初期導入は、ピッキングや教育、検品のような比較的導入ハードルが低く、効果が実感しやす業務から着手すると成果が出やすいでしょう。小さな成功体験と改善知見を積み重ねることが、全社展開の基盤となります。
補助金を活用してコストを抑える
スマートグラスの導入費用(デバイス購入、システム開発、運用設計など)をカバーするため、補助金を活用するのもおすすめです。
補助金や助成金を活用すれば、導入にかかった費用が後から帰ってくるため、コストを抑えながらも業務効率・生産性のアップを実現できます。スマートグラスの導入に活用できる制度としては、以下のようなものが挙げられます。
- IT導入補助金
- 中小企業省力化投資補助金事業
- 物流施設におけるDX推進実証事業 など
各制度には要件があるため、自社が当てはまるのか確認しましょう。「補助金・助成金を活用したことがなく、どうすれば良いのかわからない」「助成してもらいたいが、申請に割くリソースが足りない」という場合は、リベロエンジニアにお任せください。
開発だけでなくコンサルティング業務も行っているため、補助金・助成金の制度選定から書類作成まで伴走サポートできるため、スムーズに申請を進められます。
目的を定めて自社に最適化する
スマートグラス導入のコストを抑えるには、導入目的を具体的に定義して、自社の業務に合わせて最適化することが大切です。
スマートグラスの導入自体をゴールにせず、どの部署のどの業務で、どの課題を解決したいかを先に決めましょう。スマートグラス導入の目的が曖昧だと、適切な製品選定や効果測定ができず、プロジェクトが迷走して余計なコストがかかるリスクも考えられます。
最も重要なのが「導入目的を明確に定義すること」です。
例えば、「A工場の組み立てラインで、新人の作業ミス率を30%削減する」「全国拠点への技術者派遣コストを年間200万円削減する」というように、数値で追えるKPIとして設定するのが理想です。導入目的を具体化すれば、必要な機能が明確になるため、本当に必要な機能だけを備えた機種・システムを選定できます。
その結果、過剰スペックによるライセンス料や機器費用が膨れ上がるリスクを抑えられます。
また、事前にKPIを定めておけば、導入後に効果検証もしやすく、期待した成果が出ない場合でも早期に運用方法やシステム構成を見直せるのもメリットです。
まとめ

産業用スマートグラスの導入には、本体代だけでなく、月額費用や保守費を含めた総コストの把握が不可欠です。
本体価格は、1台15万円~40万円が相場ですが、システム構築や保守・メンテナンスなど、さまざまな面でコストが発生します。どのようなコストが発生するのか把握したうえで、少しでもコストを抑えながら自社に必要な機能を備えたスマートグラスを選定することが大切です。
リベロエンジニアであれば、解決したい困りごとから、最適な機種・システムをご提案できます。システム開発で培った技術力や、LIXILさまでの導入経験を活かして、現場DXを加速させられるよう伴走サポートいたします。スマートグラスの導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
\リベロエンジニアが開発した倉庫DXソリューション!/
構成/リベロエンジニア広報部
この記事の監修者

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。