現場の疲弊を企業努力で終わらせない。「Libero Sight™」PJリーダーがスマートグラスに託す未来
2026.02.09
深刻な人手不足や技術継承問題などの「2024年問題」。日本の物流・製造現場が直面している課題は、もはや一企業の努力だけではカバーしきれない臨界点に達していると言われています。この難局を打破すべく、リベロエンジニアが昨年、自社開発としてリリースしたスマートグラスソリューション「Libero Sight™(以下、リベロサイト)」です。
リベロサイトは、約2年前から着手していた受託開発案件から得た着想をきっかけに、自社プロダクトとして昇華させたアイデアでした。そのバトンを2025年3月に入社したばかりの多田智さんがプロジェクトリーダー・営業として受け取り、本格始動。開発チームの尽力により、参画から半年というタイトなスケジュールの中で昨年10月の展示会お披露目まで走り抜けました。
「どいつもこいつも言うことを聞かない(笑)」――そんな多田さんの冗談めかした言葉の裏にある、多才なスペシャリストたちが専門性をぶつけ合い、一つの方向を向いた時の爆発力。プロジェクトリーダーが語る、プロダクトに込めた想いとこれからの展望を伺います。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
なぜ今、スマートグラスなのか。物流業界の疲弊を救う「筋の良さ」
(多田 智さんプロフィール/43歳。営業部部門長。2025年3月にリベロエンジニアに入社。前々職の印刷会社では既存アカウント営業から東京での新規営業所の立ち上げ、新規事業の文房具ブランドのマネージャーを経験。その後、前職では学校法人の教育商材に携わる。リベロエンジニアでは、営業の仕組み化、自社のスマートグラスDX「Libero Sight™(リベロサイト)」の企画・営業・販売戦略を統括。JILSロジスティクス研究会メンバー)
――改めて、リベロサイトのプロジェクトについて教えてください。
多田:スマートグラスを用いた支援ソリューション自体は、以前から受託開発案件として動いていたものでした。僕が入社してまず担った役割は、特定の現場向けに作られた「オーダーメイドな技術」を、より広い市場で機能する「汎用的なプロダクト」へと再設計することでした。現場のニーズを深掘りしていくうちに、これは今、切実に求められている解決策だと再確認し、プロジェクトを本格的に始動することにしました。
――多田さんが感じた「確信」の根拠は何だったのでしょうか?
多田:実際の現場で働かれている方々とのお話をさせていただき、皆さんが驚くほどの創意工夫によって、日々の生産性を支えている姿を目の当たりにしました。ですが、その尊い努力に甘え続けるのではなく、テクノロジーの力でもっと現場を支えることができないか、という考えが浮かんできていました。
「2024年問題」という大きな変化に対し、現場の皆さんの頑張りに寄り添い、いかに負担を減らしていけるか。私たちが持つスマートグラスのノウハウを現場の皆さんの助けとなる形で届けることは、今の物流倉庫業界において“筋の良い”お役立ちではないか、と確信しました。
多彩な専門家たちが激突する、エキサイティングな開発現場

――多田さんがプロジェクトリーダーとして率いている開発チームの体制について教えてください。
多田:体制としては特別なものではないかもしれませんが、メンバーは、独自の経験に基づいた個性が乗っている人たちです。エンジニアとしてコンピュータ言語や技術に精通しているのはもちろんですが、それ以上に「その人ならではの背景」を武器に活躍しているスペシャリストですかね。
例えば、中小企業診断士の視点から業務整理や改善提案が得意なPM(プロジェクトマネージャー)の森本さん。スマートグラスというデバイスの特性を深く理解し、技術の核を担う岸上さん。製造業の現場を知り、基幹システムの勘所を押さえている菊池さん。そして、小売業界からの転身ゆえに「使う人の実感」を大切にする田中さん。
それぞれが異なるバックグラウンドを持つ自立した専門家であり、自分の領域に責任を持つ「ひとり一役」の体制です。

――チームを率いるなかで、苦労はありましたか?
多田:どいつもこいつも言うことを聞かないですよ(笑)。というのは冗談ですが、それくらい現場では意見が飛び交っています。昨年5月末の企画会議から10月の展示会までという、タイトなスケジュールでしたが、誰一人として「出されたアイデアを鵜呑みにする」ということがないんです。それぞれの専門領域から、出てきた案を一度自分の中でしっかり咀嚼した上で、「もっとこうすべきだ」という意見が返ってくる。
意見が割れてまとまらないこともありますが、それは全員の根底に「より良いもの作りをしたい」という純粋な想いがあるからこそです。軸が違うからこその難しさはありましたが、最後には必ず折り合いがつきます。
「良いものを作りたい」という同じ方向を向いている仲間となら、判断決断の難しささえも自社開発の醍醐味で、楽しい部分なんだろうと感じながら挑んでいます。
2024年問題のその先へ。現場の「働きやすさ」を設計する
――リベロサイトを発表後、展示会や商談を通じて、現場の方と話して、印象的だったことはありますか?
多田:物流倉庫業界だけでなく、製造現場など、想像以上に多様な現場から切実な反響をいただきました。
――「想像以上に多様」というのは、どのような点でしょうか。
多田:取り扱う商品の特性、作業環境の温度、資材のサイズ感といった現場ごとに事情は異なります。それら個別の事情に「どこまで寄り添うか」というバランス感覚は、非常に難しいところだと感じています。
だからこそ、リベロサイトの機能はあえて必要最小限に留める設計にしました。共通の土台をご提供しつつ、個別の深い悩みにはカスタマイズ開発で対応する。現場ごとの「最適」を一緒に作り上げていくというスタンスが、結果として「働く人の環境をデジタルで守りたい」というお客様のニーズに最も誠実に応えられる形だと考えています。
「便利になった」の声が、チームの最大の報酬になる

――2026年、リベロサイトはどのようなステージを目指しますか?
多田:導入して終わりではなく、まずは「リベロサイトを深化させること」に注力したいと考えています。実際に現場で使っていただいた後の成果や変化に耳を傾け、プロダクトにフィードバックしていく。この積み重ねが、何より大切だと思っています。
また、スマートグラス単独での改善にこだわらず、モバイルプリンターやバーコードリーダーといった周辺機器との連携を強め、より包括的な業務改善に寄与できる幅の広さを追求したいですね。
来る2月には大きな展示会も控えていますが、僕たちの本当の目標は、そうした取り組みで「便利になったよ」といった現場の皆さんの言葉を、一つでも多くいただくことです。
――多田さんが以前のインタビューで語っていた「家族に自慢できる仕事」の具現化ですね。
多田:まさにそう思っています。もちろん、僕たちの仕事には守秘義務が伴いますから、何でも開けっ広げに話せるわけではありません。ですが、リベロサイトが実際に動いている現場を目にしたとき、関わったスペシャリストたちが「この仕組みの裏側には、自分が積み上げた技術があるんだ」と、誇りを持ち、その想いを家族へ伝えられるようにしたいんです。そのためには、まだまだやるべきことは山積みです。でも、それぞれの「一芸のような個性」を尊重して向き合える当社の風土なら、必ず成し遂げられると思っています。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
\スマートグラスDX「リベロサイト」が「ロジスティクスソリューションフェア」に出展!/
<取材・文/リベロエンジニア広報部 撮影/石川高央>
