属人化解消と教育コスト削減を実現!スマートグラスのカメラが現場DXを変える
2026.02.27
「熟練者の勘」に頼る現場は、常に人手不足と技術承継の不安に晒されています。特に近年は、少子化の影響や熟練者の高齢化により、人手不足と技術承継の不安は現実味を帯びた大きなリスクとなってきました。
こうした課題を根底から覆すのが、スマートグラスの「カメラ」による視覚共有です。装着者の視界をリアルタイムで同期し、遠隔地からの的確な指示や作業の自動録画を可能にするこのデバイスは、移動コストをゼロにし、教育の質を劇的に引き上げます。
属人化を排除し、現場DXを加速させる「スマートグラス」がもたらすメリットや活用シーン、選び方を解説します。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
なぜ現場DXに「カメラ付き」スマートグラスが必要なのか?

カメラ付きスマートグラスは、作業者の一人称視点の映像を共有できるため、管理者や技術者が離れた場所からでも同じ対象物を見ながら具体的な指示を出せます。
従来のハンディカメラや定点カメラでは、作業者の視界とズレが生じ、細かな状況把握や的確な指示出しが難しい傾向にありました。特に作業者の経験が浅い場合、上手く状況を伝えられずスムーズに作業できないことも考えられます。
スマートグラスであれば、作業者・指示者の視界と情報が一致するため、現場の状況を共有しながら的確な指示を受けながら作業を進められます。作業者が見ている視界に作業手順や指示を書き込みことができるデバイスもあるので、そうした補助機能を活用すれば、よりわかりやすく情報を伝えることが可能。齟齬や勘違いによるヒューマンエラーの防止にもつながります。
また、ハンズフリーで自動的に撮影・記録できるため、高所作業や工具・資料を持った状態でも安全に映像を残せて、作業中に撮影操作を意識する必要がありません。
一人称視点での映像の共有は、遠隔支援だけでなく、記録や教育にも役立ちます。現場の判断スピード向上と人材不足解消に直結する、大きな変革をもたらすデバイスです。
【課題別】スマートグラス×カメラの活用シーン

カメラを搭載したスマートグラスは、製造業や物流業、建設業など多様な業界のさまざまな場面で活用できます。とはいえ、まだまだ馴染みのないスマートグラスが、どのように活用できるのか想像できない方も多いでしょう。
そこで、課題別にカメラ付きスマートグラスが活躍するシーンを紹介します。貴社の抱える課題を解決にできないか、チェックしてみましょう。
遠隔支援:熟練者の「移動時間」と「拘束時間」をゼロにする
スマートグラスを活用した遠隔支援では、現場の状況を作業者の目線でリアルタイムに共有できるため、遠隔からでも同じ視界を見ながら指示や判断を行いやすくなります。
建設現場の監督・検査や製造業の保守・点検では、現地の作業員がトラブル発生箇所を映すだけで、離れたオフィスの技術者がその場に立ち会うような感覚で状況を把握し、具体的な作業手順や安全上の注意点を即座に伝えられます。経験の浅い作業員でも、映像さえ共有すれば詳細な状況を伝えられるため、言語化が難しい違和感や微妙な状態変化も画面越しに共有しやすくなります。
従来は熟練者が現場へ移動して確認していたため、移動時間や待ち時間が長く、出張費などのコストも発生していました。スマートグラスを使えばオフィスから複数現場を同時に支援でき、下記のようなメリットがあります。
- スピーディーなトラブル対応
- 検査のリードタイム短縮
- 納期の前倒し
- 現場の人手不足・熟練者不足の緩和 など
熟練者の出張による時間的・金銭的コストを削減できたり、監督・検査のスピード対応が実現したりと、生産性と作業効率の向上を両立しやすくなります。
現場教育:ベテランの「技術」をデジタルマニュアル化
スマートグラスは、ベテランの作業を一人称視点で録画できるため、そのまま「お手本動画」として活用できる点が現場教育で役立ちます。
ベテランの「勘やコツ」は、口頭ではなかなか伝わりにくいため、技術の継承や新人への教育には時間的にも金銭的にもコストのかかる大きな課題です。
スマートグラスであれば、熟練者の視界を通じて、手の動きや注意すべき箇所、判断のタイミングなどを記録できるため、勘やコツを含んだ暗黙知もデジタルマニュアルとして残せます。研修生は、映像を見て追体験するようにして学ぶことができるので、従来よりも理解しやすくなります。
また反対に、研修生の視界の映像を熟練者がリアルタイムで確認しながら指導することも可能。つまずいている工程がわかりやすく、その場で映像に書き込んだり音声でアドバイスしたりできます。
集合研修のように一度に集める必要がなく、多人数を同時並行で指導しやすいため、教育スピードを高めながら作業品質の標準化と技術継承を両立しやすくなります。
品質管理:ミスを「後で」ではなく「その場」で防ぐ
カメラ付きスマートグラスは、品質不良を「発生後に見つける」のではなく「発生前に止める」仕組みを作れるのもメリットです。
カメラで撮影している映像をAIがリアルタイムに解析し、手順漏れや部品の取り付け間違いを検知すると、その場でアラートを表示して作業員に警告することが可能です。これによりリアルタイムな品質管理ができ、ミスをその場で防げます。
また、作業員の視界にチェックリストを表示して、その通りに作業を進めることで、工程の抜け漏れを防ぐような運用もできます。例えば、航空宇宙や製薬など手順遵守が必須の現場では、コンポーネントの有無や組み付け状態を確認してから次工程へ進めるようガイドでき、同時にデジタルの監査証跡も残せます。
さらに、検査工程ではAIが過去データと照合しながら傷や異物、寸法のズレを自動で識別し、不良を検知すると作業員の視界に警告を出すことも可能です。異常を自動的に検知してくれることで、人の見落としを防ぎ、不良品の連続発生を抑えられます。
効率化:目線を合わせるだけで情報を読み取る
スマートグラスに搭載されたカメラなら、目線を合わせるだけでバーコードやQRコードをスキャンして、情報を読み取ることもできます。
従来のように、スマホや専用端末を取り出す必要がなく、簡単かつ手間がかからないのはもちろん両手が塞がっている状況でもスムーズに作業を進めることが可能です。例えば倉庫では、棚ラベルや荷札に視線を向けるだけで自動スキャンが行われ、品番やロットの照合・検品結果が表示されます。そのため手入力やバーコードリーダーの構え直しが不要になり、ピッキングや仕分けのスピード向上と作業負担の軽減につながります。
他にも工場では、設備や作業エリアごとに貼り付けたQRコードをカメラが読み取ることで、PDF手順書や動画マニュアルをレンズ内に即座に表示することも可能。紙の手順書を探したり、資料が汚れや破損で読めなくなったりするムダ・非効率を防げます。
配達現場では、荷物ラベルを視線でスキャンしながらルート案内や配達記録を同時に表示できるため、片手で端末を操作するムダが減り、安全性と効率を両立しやすくなります。
このようにスマートグラスを導入するだけで、日常的なムダ・非効率さを削減でき、従来よりも効率的かつ生産性の高い業務を遂行できるようになるのが魅力です。リベロエンジニアでは、倉庫DXに適した「リベロサイト」を開発。自動スキャン機能・ナビゲーション機能・ハンズフリー表示機能により、業務品質の平均化やケアレスミス軽減、事故リスク軽減、新人の即戦力化などを実現します。詳細は下記で紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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失敗しない産業用スマートグラスの選び方

工場や倉庫などでの作業効率化・生産性向上に役立つ産業用スマートグラスですが、現場の作業内容や働き方と機能・性能がマッチしていないと「使えない・使いにくいデバイス」とみなされ浸透しない可能性があります。
予算をかけて導入しても使われなければ意味がないので、DXを失敗しないために押さえておくべき選び方のポイントを3つ紹介します。
手ブレ補正の有無や強度
現場では、歩きながらや梯子の昇降などをしながら撮影するため、高性能な手ブレ補正が必要です。
手ブレ補正機能の有無はもちろん、どのくらい補正してくれるのか強度の確認も欠かせません。補正が弱い機種では、頭の細かな揺れがそのまま映像に乗り、遠隔支援側が数分で画面酔いを起こして業務にならなくなります。特に遠隔から図面や計器類の数値を読み取る場面では、わずかなブレでもピントが合いにくく、指示の精度が落ちます。
また、AI画像認識を使うソリューションでは、輪郭がブレた映像だと物体やバーコードを誤認識しやすく、検査ミスやアラートの乱発につながります。
産業利用を想定したモデルでは、IMUセンサーと電子式手ブレ補正を組み合わせ、X・Y軸の角度ブレに加えて前後・回転方向の揺れまで抑える技術を採用しているものも。自転車走行中のような振動の大きい状況でも、ブレのない映像を維持できます。
現場環境で使える耐久性
産業用スマートグラスを現場で安心して使うには、粉塵や雨、衝撃などに耐える耐久性の高いものを選びましょう。
特に工事現場やプラントのような場所では、砂埃や金属粉が舞い、水しぶきや突然の雨にさらされます。屋外での使用が想定されるのであれば、防塵・防水性能を示すIP規格の確認が必須です。
IPコードとは、「IP」の後ろに2桁の数字が続き、前の数字が防塵、後ろの数字が防水性能の等級を表します。例えば「IP68」であれば、防塵最高等級の6級と、水深1m超でも使用可能な8級の防水性能を備えた機器という意味になります。防塵は7等級、防水は9等級に分かれるため、IP66やIP67、IP68といった高い等級に対応した機種であれば、粉塵の多い工場ラインや雨天の建設現場でも安定して動作しやすいです。
また、配管や橋梁の点検など落下リスクのある現場では、2mからの落下テストをクリアしたモデルなど、衝撃への強さも併せて確認すると、現場停止のリスクを抑えられます。
バッテリー持ち
産業用スマートグラスは、常時カメラで撮影したり無線通信を行ったり、ディスプレイに情報を投影したりと、常に電力を消費するためバッテリーの持続時間も重要な要素です。
一般的に、産業用スマートグラスのバッテリー持ちは連続使用5~8時間ほどです。例えば、多くの企業で使用されているVuzix M400は標準バッテリーで5~6時間駆動し、予備バッテリーと交換可能で連続稼働を実現します。
バッテリー交換できるモデルを選べば、橋梁点検のような遠隔地作業でのバッテリー切れリスクを避けられ、作業中断による時間のロスを防げます。作業しながらバッテリーを交換できるホットスワップ機能のあるモデルなら、撮影・通信しながらバッテリーを交換できるので、切れ目のない作業により生産性が高まるでしょう。
導入後のリスクを回避するための注意点

スマートグラスを導入するにあたって、事前に対策しておくべきリスクがいくつかあります。従業員からの反発やコンプライアンス違反、現場に馴染まないなどの結果につながらないように、導入後のリスクを把握して回避できるよう備えましょう。
プライバシーや機密情報への配慮
カメラ付きスマートグラス導入時は、撮影対象の明確化と情報の保護ルールを定めましょう。
建設現場や倉庫では従業員・来場者の顔が映り込みやすく、特に製造業では工程や原材料といった機密情報が漏洩する恐れがあります。録画・配信中にLEDを点灯させて周囲に視認させるモデルを選択し、隠し撮りを防ぎましょう。
また、機密エリアでは撮影禁止ゾーンを設定し、紛失時は遠隔消去機能で流出を阻止するのも有効です。他にも、撮影データの暗号化や、録画データへのアクセスを一部担当者に限定、端末ログアウトで自動消去など、情報漏えいを防ぐ仕組みをもつモデルを導入すると安心です。
こうした機能面でのサポートや、社内での使用方法の厳格化・明文化により、プライバシー侵害やインシデントを未然に防ぎましょう。
「監視」ではなく「サポート」だと周知
カメラ付きスマートグラスが導入されることで、現場スタッフが「監視されている」と心理的ストレスを抱くことを避けるため、あくまでサポートツールだと周知を徹底しましょう。
常に視界を記録される不安や、他の従業員のカメラに見られているように感じる状態では、パフォーマンス低下やデバイス拒否が生じやすく、プロジェクト失敗を招きます。カメラを粗探しの道具だと誤認すると、サボりチェックやミス摘発の恐怖心が広がります。
業務支援に限定して運用することを明確に伝え、導入により具体的にどのようなメリット・ベネフィットがあるのか従業員目線で伝えるようにしましょう。例えば「ピッキング作業が今までより時短できる」「ミスがないようダブルチェックしながら作業できる」など、使用することで得られる恩恵を説明することが大切です。
また、運用ルールで監視否定を裏付けましょう。録画映像を人事評価の減点対象に絶対使用しないと公表したり、双方向通信を原則として現場から接続リクエストする形にしたりと、上から覗かれる印象を排除して、困ったときに助けミスを防ぐ安心感を与えます。スタッフが自ら活用する文化を育てることが、現場生産性向上につながります。
スモールスタートの推奨
産業用スマートグラス導入は、いきなり全社展開を目指さず、特定の部署や業務、工場などに限定して小さく始める「スモールスタート」が有効です。
例えば、技術サポート部門の3人で1カ月間、遠隔支援業務だけに限定して運用することで、操作性や通信環境、作業員の使い勝手に関するフィードバックを詳細に集め、課題を早期に特定できます。特にピッキングや教育、検品といった導入ハードルが低く、効果が目に見えやすい業務を選ぶと、小さな成功体験を積み重ねやすいでしょう。効果を実感できることで、現場を含めて導入に前向きになり、よりスムーズに全社展開しやすくなります。
また、スモールスタートは初期投資を抑えられるため、失敗時の損失も最小限です。全社展開前にトラブル要因を洗い出せるので、次のステップを成功させる知見となり、現場全体の混乱を防ぎ本格運用を成功に導きます。
まとめ
熟練者の勘に頼る現場の属人化や人手不足を解消する切り札が、カメラ付きスマートグラスによる現場DXです。
一人称視点の映像共有は遠隔支援や技術承継を効率化し、移動コスト削減や教育の質向上に直結します。スマートグラスの導入時には、手ブレ補正や耐久性といった性能面での現場に合ったモデルの選定に加え、プライバシー保護や「監視ではなく支援」という現場の意識醸成も成功の鍵となります。
まずは小規模な試行から着手し、現場の理解を得ながら着実な生産性向上を目指しましょう。リベロエンジニアでは、スマートグラスのアプリ開発を行っています。LIXILの工場・倉庫への導入事例もあり、現場DXを成功に導く支援を行っております。
翻訳で生じる非効率さや人員不足などに悩まれる方は、ぜひ気軽にご相談ください。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
この記事の監修者

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。
