マイナス20度の極限環境の作業をどう変える?「スマートグラス」による冷凍倉庫DXガイド
2026.01.21
深刻なドライバー不足と労働時間規制——。いわゆる「物流2024年問題」に直面する低温物流業界において、配送効率と庫内作業の生産性向上はもはや待ったなしの課題です。
特に食品流通の中核を担う「冷凍倉庫」は、マイナス20度という極低温下での作業が求められる過酷な現場です。防寒着や厚手の手袋をフル装備するこの環境では、従来のタブレット操作や紙のリストは、効率化を阻む「大きな足かせ」となってきました。
そこで、リベロエンジニアがこの「極低温の現場」をアップデートする新たな解決策として提案したいのが、「スマートグラス」の活用です。
多くのデバイスにとって動作限界に近いマイナス20度という環境。これを打破するのが課題です。本記事では、スマートグラスDX「Libero Sight™(リベロサイト)」のアプリを開発したエンジニアの視点から、デバイスのスペックを補う運用の工夫や、これからの低温物流網を支えるソリューションの可能性について解説します。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
冷凍・冷蔵倉庫の「3つの壁」とスマートグラスの親和性
冷凍倉庫でのDXが進まない背景には、この環境特有の「3つの物理的な壁」があります。リベロエンジニアは、スマートグラスソリューションがこれらの壁を打破する鍵になると考えています。
庫内作業時間の制限とハンズフリー化

マイナス温度の冷凍倉庫内での作業は人体への負荷が極めて大きく、安全管理の観点から長時間の連続作業は制限されます。しかし、紙のリストやハンディ端末を「持ち、確認し、置く」という動作は、その都度作業を止め、庫内滞在時間を不必要に延ばしてしまいます。 視界に直接指示を表示する「ハンズフリー化」が実現すれば、1アクションごとのロスが削減され、スタッフの身体的負担軽減と作業効率の最大化を両立できます。
配送拠点集約(TC間転送)に伴う仕分けの複雑化
昨今、ニチレイロジグループなどが進めている「物流拠点の集約とTC(トランスファーセンター)間転送サービス」により、現場では「少量多品種の荷物を、複雑な配送網に合わせて正確に仕分ける」という高度な判断が求められるようになっています。
参照記事:ニチレイが物流受託拠点を「集約」 食品メーカー向け、配送を効率化
この工程において、スマートグラスが「どの荷物を、どのトラックへ積み込むべきか」をリアルタイムでARガイドできれば、経験の浅いスタッフでも熟練者並みのスピードで対応可能になります。
厚手の手袋によるデバイス操作の限界
冷凍庫内では厚手の手袋が必須ですが、これがタブレットのタッチパネルとは極めて相性が悪く、誤操作の原因となります。音声操作をメインとするスマートグラスは、指先を使わずに操作が完結するため、冷凍現場において大きなアドバンテージとなります。
冷凍倉庫におけるデバイス選定の現実的な基準は?

産業用スマートグラスの耐寒スペックは「マイナス20度」がひとつの境界線になっています。この環境で運用するためには、以下の基準を考慮する必要があります。
動作保証温度の確認と「実運用」の乖離
多くの産業用デバイスはマイナス20度までの動作を確認していますが、実際に極寒環境で長時間使用すると、バッテリーの電圧降下や液晶の反応速度低下が発生する可能性が高まります。これを「デバイス単体の性能」だけで解決するのではなく、保温対策や予備バッテリーの運用など、トータルでの「設計」が求められます。
結露対策とIP(防水防塵)レベル
冷凍倉庫DXにおける最大の敵は、外気温との差による「結露」です。冷凍庫から常温の荷受場に出た際、内部に水分が発生し、故障を招きます。IP66以上の高い気密性を備えていることは、結露による浸水を最小限に抑えるための必須条件です。
主要デバイスの耐寒性能比較:マイナス20度の壁をどう超えるか
リベロエンジニアが、低温環境下での活用の可能性を検証している代表的な2機種をご紹介します。

・耐寒性能:公式スペックでは マイナス20度 までの動作をサポート。
・強み:非常に堅牢な設計で、4つのマイクによる強力なノイズキャンセリングを搭載。冷凍機の稼働音が響く中でも正確に音声コマンドを認識。
・冷凍環境へのアプローチ:バッテリーがホットスワップ(電源を切らずに交換)可能なため、低温で消耗したバッテリーを迅速に交換しながら運用する体制を構築。
実際にReal Wearは、耐環境性能を検証するため、マイナス20度環境での動作テストを実施し、安定した稼働を確認したと報告されています。
参照記事:極寒−20℃で検証!RealWearが拓く“寒冷地メンテナンスDX”の可能性
Vuzix M400

・耐寒性能:こちらも公式スペックで マイナス20度までの動作が可能。
・強み:IP67の防塵防水性能を持ち、非常に軽量。
・冷凍環境へのアプローチ: 外部バッテリーからの給電が可能なため、バッテリー本体を衣服の内側の暖かい場所に保持し、ケーブルで給電することで、低温によるシャットダウンのリスクを軽減するカスタマイズが検討可能に。
冷凍倉庫導入の「3つの運用課題」とエンジニアリングによる解決

こういった過酷な環境でDXを使いこなすため、リベロエンジニアは以下のエンジニアリング的解決策を提案します。
バッテリー問題:低温下での急激な電圧降下
リチウムイオンバッテリーは極低温下で性能が著しく低下します。例えば、これを防ぐために防寒着の内側にバッテリーを保持する「外部電源構成」や、消費電力を極限まで抑えた「現場専用アプリ」の開発により、稼働時間を確保する仕組みを作ります。
物理的な故障リスク:結露管理
冷凍庫から出た際の結露は、精密機器にとって致命傷になります。このリスクを避けるため、結露が発生しやすい状況下でも視認性を維持するためのアプリUI(ユーザーインターフェース)の最適化など、ソフトウェアと運用の両面から、デバイスの寿命を延ばし、安定稼働を実現するためのトータルソリューションを提案します。
通信環境の確保:電波を遮る金属パネル
冷凍倉庫の壁は電波を遮断しやすい金属パネルが多用されています。リベロエンジニアは、倉庫内の電波状況に応じた通信プロトコルの最適化や、通信が不安定な場所でも動作を継続し、復帰時に同期する「オフライン対応アプリ」の開発を得意としています。
\リベロエンジニアが開発した倉庫向けスマートグラスDX/
リベロエンジニアが提案する「物流2024年問題」への処方箋3つ
私たちは、ハードウェアそのものを売る仕事ではありませんが、お客様の現場に合わせた「動く仕組み」を作ることを得意としています。今後、さまざまな現場で人手不足などの「物流2024年問題」の影響が加速していくでしょう。
拠点集約を支えるシステム連携
配送拠点集約に伴う複雑な仕分けを効率化するため、スマートグラスと既存システムを連携。作業者が迷わずに「どの荷を、どのトラックに積み込むべきか」をARでガイドする仕組みを構築します。
現場に寄り添う「Libero Sight™」の思想
私たちが提供するスマートグラスソリューション「Libero Sight™(リベロサイト)」は、現場の不満をコードで解決します。「声が認識されない」「画面が曇る」といった課題に対し、個別のカスタマイズで対応。2024年問題という高い壁を、テクノロジーで乗り越える支援をいたします。
まとめ

冷凍倉庫へのスマートグラス導入は、スペックシート上の数字(マイナス20度)だけを見れば難しく思えるかもしれません。しかし、適切なデバイス選定と、エンジニアリングによる「運用の設計」を組み合わせることで、マイナス25度の現場でも強力な武器になり得ます。
物流2024年問題への対策として、「1人あたりの生産性をテクノロジーで底上げすること」は、今や避けて通れない投資です。
リベロエンジニアには、過酷な現場で磨き上げた知見があります。ぜひ、一度ご相談ください。
\リベロエンジニアはスマートグラス「Libero Sight™」で出展します/
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。
Xのフォロワー数は2.4万人