スマートグラスの市場規模は?日本での今後の需要と成長性を解説
2025.09.12
業務効率や生産性の向上のため、スマートグラスの導入を検討しているものの「本当に導入する価値があるのか?」「市場の将来性は?」と疑問視される方もいらっしゃるでしょう。導入しても、市場に需要がなくスマートグラスメーカーが撤退してメンテナンスができなくなると困りますよね。
本記事では、世界・日本のスマートグラスの市場規模や成長性を解説するとともに、スマートグラス市場の成長を後押しする要因も紹介します。DX推進の鍵を握るスマートグラスを社内で導入できるように、社内でプレゼンする一助にしてください。
スマートグラスの市場規模は?

スマートグラスは、着実に市場規模を拡大している分野です。まだ一般家庭にまでは普及していませんが、製造業や物流業・建設業などビジネス分野では活用が増えつつあります。世界・日本で、どのような市場規模となっているか解説します。
世界のスマートグラス市場の動向と将来性
世界のスマートグラス市場は急速に成長しています。2023年に富士キメラ総研が発表した調査によると、2022年に3,961億円規模だった市場が、2030年には4兆5,443億円まで拡大すると予測されています。
もともと製造業やインフラ分野、建築現場での作業支援といったBtoB向けが中心でしたが、2030年にはAR表示機器市場がVR表示機器を上回る見込みです。
技術的な進展が遅れていることから、市場は2027年ごろから本格的に拡大していくとみられています。特に大手ITベンダーやスマートフォンメーカーによるBtoC向け商品の発売がトリガーとなり、スマートグラス市場が急速に拡大すると期待されています。
一方、香港の調査会社Counterpoint Researchによる、2025年上半期の世界のスマートグラス市場調査の報告によると、2025年上半期の世界スマートグラス出荷量は前年比110%増を記録しました。
Metaの「Ray-Ban Meta」の強い需要に加え、XiaomiやTCL-RayNeoなど新規参入企業の貢献が成長を後押し。特にAIを搭載したスマートグラスは市場の78%(2025年上半期)を占め、前年比250%以上の成長を示しています。
2025年下半期にはMetaやAlibabaが新製品を投入する予定で、今後も競争は激化する見通しです。
日本国内でのスマートグラス市場の動向と将来性
国内でも、スマートグラス市場は急速に成長を遂げています。富士キメラ総研による同調査では、2022年時点のスマートグラスを含めたBtoB/BtoBtoC向けソリューション市場規模(AR/VR両方)は203億円でしたが、2030年には1,158億円に到達すると予測されています。
現在の国内市場では、主に製造業や建築業、インフラ管理分野においてスタンドアロン型のヘッドマウントディスプレイを用いたVRシミュレーションやトレーニングが多く採用。具体的には、従業員の技能習得や作業効率化、ミスの未然防止を目的とした現場教育や研修用途が中心です。
また、遠隔地から作業員に指示を出すAR/MRを活用した作業支援も普及し始めています。リアルタイムで情報共有できるため、作業精度の向上や対応スピードの改善に寄与しています。
今後の日本市場では、製造現場や医療現場など高い安全性や精度が求められる分野での導入が加速すると考えられており、現場でのVRシミュレーションやトレーニング、VR会議、オフィスソリューションの需要が拡大し、データ可視化や遠隔指示機能の高度化が進む見込みです。
実際、リベロエンジニアが開発したスマートグラス(ARグラス)アプリが、大手住宅設備メーカーの倉庫で試験導入が行われました。「目視+紙チェック」からの脱却が現場で実感され、作業者の負担軽減や作業精度の向上といった一定の成果が得られています。
今後、こうした倉庫業・物流業などでの需要が拡大していくと考えられます。
スマートグラス市場の成長を後押しする4つの要因

スマートグラス市場が世界・日本で拡大傾向にありますが、市場成長を後押しする要因が主に4つあります。どのような要因なのか、それぞれ解説します。
1.スマートグラス×AIの新型デバイスの登場
スマートグラス市場の成長を牽引する最大の要因ともいえるのが、AIを内蔵した新型デバイス「AIグラス」の登場です。
AIグラスは、従来のスマートグラスに搭載されていたカメラ・マイク・スピーカーをAIが統合的に制御します。例えば、ユーザーが「目の前の景色を撮影して」「特定の人物に電話をかけて」「英語の講演を翻訳して」と具体的な指示を音声で伝えると、AIが即座に認識・実行してくれます。
Ray-BanとMeta社の協業による「Ray-Ban Meta」をはじめ、ファッション性とスマート機能を兼ね備えた製品が人気を集めました(日本未発売)。
今後、日本市場にもAIスマートグラスが参入すれば、法人・一般利用ともに、業務効率化や日常生活の利便性の向上など多方面で活用シーンが大きく広がるかもしれません。
2.技術革新によるユーザー体験の向上
技術革新により、ユーザー体験が向上していることも、スマートグラス市場の成長を後押ししています。
ディスプレイ技術の高精細化やセンサーの高性能化、処理能力の向上により、現実空間に重ねられる映像・情報の精度が飛躍的に高まっています。例えば、鮮明な視界を実現する光学系と軽量素材の採用は、長時間装着時の快適性を維持しながら没入感を高め、日常利用から専門的作業まで幅広い用途での活用を実現しました。
また、音声コマンドにより、ユーザーは写真撮影や通話、メニュー操作を直感的に行えるため、手をふさがれずに効率的かつ安全な作業が可能になります。特に現場作業では、ハンズフリー操作が大きな利点となり、生産性向上に直結します。
頭や手の動きによるジェスチャーやタッチ操作が加わることで、さらに直感的なインターフェースに。視覚体験・操作性が融合した没入的な利用環境が整いつつあるのが現状です。
長時間使用における課題となってきたバッテリー駆動時間も、改善が期待されています。バッテリー稼働時間が伸びれば、日常生活・業務ともに常に使用することも可能になるため、幅広い用途で導入が進む可能性があります。
3.新規企業のスマートグラス市場への参入
多様な企業が新規参入していることも、市場拡大の追い風となっています。2023年にはMetaが「Ray-Ban Meta」を投入し、海外で大きな話題を呼びました。
さらに、中国メーカーのXiaomiやTCL-RayNeoも続々と参入しています。
従来は、一部のハイテク志向層やガジェット愛好家だけが利用する製品という印象が強く、普及には壁がありました。
しかし各社から魅力的な製品が投入されることで、日常生活やビジネス現場でも自然に使える一般的なデバイスへと変化し始めています。特に、今後Appleが参入すれば状況は一変する可能性が高いでしょう。
かつてスマートフォンが一気に浸透したのと同様に、ブランド力と完成度の高い製品設計によって爆発的な普及が起こるかもしれません。
また、多くの企業が市場に参入することは価格競争を加速させます。これにより消費者の導入障壁が下がり、多様な領域での活用が広がると考えられます。今後さらに参入企業が増えれば、コスト低減と機能の標準化が進行して、スマートグラスが日常的なツールへと転換していく可能性があります。
4.高いファッション性の獲得
スマートグラスが、高いファッション性を獲得してきているのも市場拡大の要因です。
従来の製品は、いかにもガジェット感のある無骨なデザインが多く、利用できる場面が限られていました。特に公共空間では「機械を装着している人」だとわかりやすく目立つため、実用性があっても日常的に活用されにくい状況でした。
そこに登場したのが、Ray-Banとのコラボレーションによる「Ray-Ban Meta」に代表される新しいアプローチです。一般的なアイウェアに近い見た目で、普段のコーディネートに自然に溶け込みます。見た目の洗練により「身に着けたい」と感じさせることに成功しました。
カフェや電車といった公共の場でも目立ちすぎず、違和感がありません。
また、業務用途においても威圧感が抑えられるため、警備員や作業員が装着していても周囲が構えずに受け入れやすくなります。結果として、日常生活から仕事の現場まで幅広いシーンで利用が可能となり、市場の拡大に直結しています。
スマートグラス市場を牽引する主要企業

スマートグラスは多くの企業が開発・販売しており、市場を賑わせています。その中でも市場を牽引する主要企業7社を紹介します。
Meta
Metaは「Ray-Ban Meta」シリーズを展開し、日常利用に馴染むデザインとAI機能を融合させたスマートグラスを展開しています。カメラ、スピーカー、マイクを内蔵しており、撮影や通話、音楽再生が可能です。
AIアシスタント「Meta AI」に対応しており、音声のみで操作できる点が特徴です。
さらに視覚情報を取り入れるマルチモーダル機能を搭載し、旅行中に観光地の説明を受けたり、その場で旅行プランを検索・提案できたりします。日常的にかけられるファッション性の高さとAI体験を提供する点で、他社製品との差別化を図っています。
GoogleはXR向けに専用OS「Android XR」を開発しており、複合現実や拡張現実に対応する空間コンピューティング体験を提供しています。このOSを搭載したスマートグラスの開発にも取り組み、AIモデル「Gemini」に対応するスマートグラスによる会話や情報検索を常時支援するアシスタント像を提示しています。
物理空間とデジタル情報を自然に統合し、ユーザーの行動をリアルタイムで補助する体験を提供することで、次世代スマートグラス市場での存在感を高めている企業です。
LookTech
中国のLookTech社は「AI Glasses」というスマートグラスを展開しており、生成AI「GPT-4.1」を搭載する点が特徴です。音声アシスタント機能を介して、スケジュール管理、や情報検索、リマインダー設定といった日常支援を行えます。
AIによる幅広いサポートを盛り込むことで、単なるガジェットではなく生活を支える実用的なデバイスとして開発が進んでいます。日本での展開も準備段階に入っており、今後の動向に要注目です。
Even Realities
ドイツのEven Realitiesは、日常使用を念頭に置いたスマートグラス「Even G1」を開発しています。軽量で自然な眼鏡デザインを重視しており、従来の眼鏡にAI機能を融合させたような製品です。
レンズ上に文字情報を表示する方式で、ナビゲーションや音声メモ、リアルタイム翻訳など多彩な機能を備えています。フル充電で最大1.5日間持続するため、日常的に活用しやすいのもポイントです。日本での発売情報はまだありませんが。
XREAL
XREALシリーズを一般向けに発売しており、新たに「Project Aura」を発表。Googleの「Android XR」に正式対応します。
2026年に一般発売を予定しており、6DoFによる空間認識を備えた高精度なAR体験を実現。さらにGeminiと連携することで、音声や映像を活用した高度なAIサービスが利用でき、日常での利便性が向上します。
視野角は70度以上に拡張され、従来機より大幅に進化しました。ハイエンドAR市場における競争力を高めています。
Vuzix Corporation
産業向けスマートグラス分野で存在感を高めている企業です。AI企業Wyr.aiと連携し、AIを活用した検査ツールを開発しており、現場作業の効率化に直結しています。
代表的な「M400」モデルは音声や視線での操作が可能で、現場作業員が手を使わずに作業を継続できる点が強みです。機能面では自動カウント、欠陥検出、バーコード読み取り、OCR処理に対応しており、品質管理や在庫管理など幅広い場面で導入が進められています。
また、取得した結果をリアルタイムで共有できるライブ配信機能を備えているため、遠隔からの確認や指示が可能になり、作業の透明性や即応性も高まっています。
リベロエンジニアは、M400スマートグラスの販売代理店ライセンスを取得しており、デバイス購入とアプリ開発の発注先を当社に集約できます。ソフトウェア開発のみを承ることも可能なため、産業用スマートグラス導入に興味のある方はぜひご相談ください。
まとめ
スマートグラスの市場は年々拡大傾向にあり、世界はもちろん日本でも着実にスマートグラスの普及が始まっています。今後さらに技術革新や人気メーカーの参入、価格低下などが起こることで、スマホのような一般的なデバイスへと変貌する可能性もあります。
特に物流や建設などの業界では既に活用が始まりつつあり、業務効率・生産性を高める革新的なツールとして注目される分野です。
ITベンダーとして数多くのシステム開発を手がけてきたリベロエンジニアでは、産業用スマートグラス向けのアプリ開発や導入を支援しており、補助金獲得支援まで一気通貫でお任せいただけます。ご質問やご相談だけでも喜んで承りますので、お気軽にご相談ください。
【この記事の監修者】

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。