スマートグラスとは?ARグラスとの違いと、物流・製造業での活用事例
2025.10.31
倉庫の生産性を上げたい。でも人手不足で思うように進まない──そんな現場に、ハンズフリーで作業効率を高める「スマートグラス」という選択肢があります。
深刻な人材不足が続く中、物流業界ではハイスピードで自動化が進んできました。とはいえ、それでも人の手で作業しなければいけない場面が多数あります。ピッキングや検品作業で両手がふさがっている様子を見るたびに、「もっと効率の良い方法はないか?」と感じていませんか?
この記事では、その解決策として「スマートグラス」を紹介。どのように現場を変えるか、具体的なイメージが湧くはずです。
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そもそもスマートグラスとは?基本機能

そもそもスマートグラスとは、今見えている景色を妨げることなく情報の表示・共有ができるデバイスを指します。スマホを見ることなく通話やメールチェック、音楽や動画の再生、道案内などあらゆる機能が使えます。
スマートグラスと他のデジタルデバイスの大きな違いが、手を使わずに、つまり“ハンズフリー”で情報を閲覧・操作できることです。DX化の一環として、在庫管理や確認にスマホやタブレット、パソコンを取り入れているところも増えてきましたが、どのデバイスも手で操作しないと情報を確認できません。しかし、スマートグラスは両手が自由な状態で情報の確認・指示出しができます。ハンズフリーだからこそできることが広がるのです。
物流・倉庫現場におけるスマートグラス導入メリット4つ

スマートグラスのナビ機能は中小企業の現場の業務効率を向上させ、競争力強化に貢献します。導入によって得られる以下4つのメリットを紹介します。
- 移動効率の向上
- ヒューマンエラーの削減
- 安全性の向上
- ナビ以外の機能で生産性を底上げ
① 移動効率の向上
スマートグラスのナビ機能は、作業員が迷うことなく最短ルートで目的地へ移動できるようサポートします。広大な倉庫内でのピッキング作業や、複雑な工場内での資材運搬など、移動距離が長く経路が多岐にわたる環境で特に効果を発揮します。
また、運転中の配送ドライバーの視界に、最短ルートの案内を表示することも可能。これにより運搬効率のアップや配送時間の短縮、エネルギーコストのダウンなどが期待されます。
スマートグラスは視界上にルートが示されるため、不慣れな作業員でも熟練者と同じように効率の良い移動が可能になります。現場全体の作業時間が短縮されるため、生産性向上に直結するでしょう。
② ヒューマンエラーの削減
作業中にリアルタイムで視覚的な指示や手順をディスプレイに表示させられるため、熟練度に関わらず誰でも正確に作業を進められます。
例えば、点検作業の確認項目や、組み立て作業の部品装着順序などをAR(※)で表示すれば、見落としや手順間違いといったヒューマンエラーを削減できます。製品やサービスの品質が安定し、手直しや不良品の発生を抑えられるでしょう。そのため、スマートグラスは、広義として取られられる言葉で、ARグラスでもあるのです。
(※)拡張現実。現実世界に重ねてデジタル情報を表示する技術のこと。
③ 安全性の向上
現場での安全確保は、企業にとって最重要課題の一つです。スマートグラスのナビ機能は、作業員の安全を守るために以下の機能を提供します。
- 危険な場所への立ち入り制限の警告表示
- 危険物への接近警告表示
- リアルタイムでの安全経路表示 など
建設現場での重機との接触リスク回避や、インフラ保守作業における危険箇所の明示など、事故を未然に防ぐ効果が期待できるでしょう。
④ ナビ以外の機能で生産性を底上げ
スマートグラスはナビ機能だけでなく、多岐にわたる機能を備えています。例えば以下の機能が挙げられます。
- スマートグラスをモニター代わりに使って作業手順の動画を視聴
- iPhoneのような外部デバイスと接続して詳細な作業指示を送受信
- 作業状況を写真や動画で記録し、情報共有
- 遠隔からリアルタイムで作業指示 など
ナビ機能に加えて上記の機能を活用すれば、現場の生産性をさらに底上げできるでしょう。
スマートグラスの選び方のポイント6つ
自社業務に最適なスマートグラスを選べば、その性能を最大限活用できるようになります。ナビ機能付きスマートグラスを選ぶ上で特に考慮すべき、以下6つのポイントを紹介します。
- 使用環境に適した耐久性・防塵防水性能
- ハンズフリーでの操作性
- AR表示の見やすさ
- バッテリーの持ち時間と充電効率
- 安定した通信性能
- 既存システムとの相性
① 使用環境に適した耐久性・防塵防水性能
現場作業での使用を想定する場合、スマートグラスには一定以上の耐久性が求められます。ホコリや水、落下といったリスクに晒される可能性があるため、防塵防水性能や耐衝撃性などのスペックを確認しましょう。
例えば、屋外での作業が多い場合はIP67以上の防塵防水性能、製造・建設現場のような落下リスクがある場合は落下強度の高いモデルを選ぶと良いでしょう。冷凍倉庫を伴う物流業や高温環境下で使用する場合は、耐冷・耐熱温度の確認も必要です。
堅牢なスマートグラスを選ぶことは、長期的な運用コストの低減にも繋がります。
② ハンズフリーでの操作性

手作業以外で操作できるかも重要な選定ポイントです。
音声操作が可能な機種であれば、作業中でも声で指示を出すだけでスマートグラスを操作可能です。騒音環境下での音声指示に対応したモデルも発売されています。
頭の動きで指示を出すジェスチャー操作も、両手がふさがる環境下での作業効率を高めてくれます。自社の作業内容に応じて、最も効率的な操作方法を備えた機種を選びましょう。
③ AR表示の見やすさ
ナビ機能の核となるAR表示は、現実世界に重ねてデジタル情報を表示する技術です。現場での利用には、現実世界がクリアに見える透過型ディスプレイ搭載モデルが適しています。
また、表示される情報の文字の大きさ、色、コントラストなどを確認し、長時間の使用でも目が疲れにくいモデルを選びましょう。
目が悪い方が快適にAR機能を使うためには、度付きレンズに変更可能なタイプや視度調整機能付きタイプの検討もおすすめです。スマートグラスの視力対策については、以下の記事も参考にしてみてください。
④ バッテリーの持ち時間と充電効率
長時間の現場作業でスマートグラスを使用する場合、バッテリーの持ち時間が作業性を左右します。製品のスペックに記載されている稼働時間を確認し、自社の作業時間に十分対応できるモデルを選びましょう。
充電のしやすさも重要です。短時間で充電できる急速充電対応モデルや、バッテリーの交換・持ち運びが容易なモデルも検討に入れると良いでしょう。
ホットスワップ対応モデルであれば、バッテリー交換中も動作を継続できます。
⑤ 安定した通信性能
ナビ機能を安定して利用するためには、信頼性の高い通信性能が不可欠です。
Wi-FiやBluetoothはもちろん、広範囲での利用やリアルタイム性の高いデータ通信が必要な場合は、5G対応機種がおすすめです。
電波が届きにくい場所での使用を想定している場合は、LTE通信が可能な機種を選びましょう。
⑥ 既存システムとの相性
スマートグラスを導入する上で見落とされがちなのが、既存システムとの連携です。
導入効果を最大化するためには、現在利用している在庫管理システム(WMS)、生産管理システム(MES)、地図情報システム(GIS)などとのスムーズな連携が不可欠です。既存のシステムと連携できるAPIが提供されているか、連携実績はあるかを確認しましょう。
もし既存システムとの連携が難しい場合や、より業務フローに合わせたカスタマイズが必要な場合は、自社でスマートグラス用アプリを開発するという選択肢もあります。
リベロエンジニアでは、企業の既存システムや業務フローに合わせて、最適なスマートグラス用アプリの開発を行っています。ニーズや課題に合わせたオーダーメイドのナビ機能を実装すれば、導入効果を最大限に引き出せるでしょう。
スマートグラスの導入やアプリ開発にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
スマートグラスで実現できる作業4つ

では、産業用スマートグラスでは、どのような作業が実現できるのかを紹介します。
①自動スキャン
ピッキングで欠かせない作業といえば、バーコードの読み取りでしょう。スキャナーで商品のバーコードを読み取り、箱に収めるのが基本動作。従来では片手で商品、もう片方の手でスキャナーを持つので、どうしても手がふさがりがちでした。
どのスマートグラスにも高性能のカメラが搭載されています。そのカメラをバーコードに向けるだけで、その商品が何か一発で把握可能。スキャナーを持つ動作がなくなり、手荷役の際の取り間違いやミスを減らせます。
②運搬ナビゲート
「あの商品はこの棚で、この商品はあっちの棚で…」と広い倉庫内を動き回るうちに、本来行きたかった棚の場所が分からなくなってしまう。作業に慣れていない新人にはよくあることではありませんか?スマートグラスを使ってこうした事態を減らすことができます。
道順をスマートグラスの画面上に示すことで、新人でもベテランと同じようにスムーズに移動できるようになります。在庫置き場の変更やイレギュラーが発生したときでも迷わず目的地に向かえます。
③リアルタイムな現場への指示
スマートグラスを導入すれば、現場のトラブルにすぐ対応できます。その場で状況を把握し、作業員へ的確な指示を出せます。
これにより、トラブル対応にかかるムダな時間の削減になります。結果として、業務が効率化され、管理者の移動時間が減り、作業時間を短縮にもつながります。
④臨場感のある実践的な現場研修
マニュアルを整えても、すべての作業のコツや細かいルールまでは書ききれません。先輩が口頭で教えるOJT(仕事をしながら学ぶ方法)にも限界があります。
そこで役立つのがスマートグラスです。作業者の手元を録画できるため、実際の動きを映像で見ながら学べます。映像で学ぶと理解が早まり、新人が仕事を覚えるまでの期間を短縮できます。結果として、早い段階から現場で活躍できるでしょう。
リベロエンジニアでのスマートグラス用ARアプリの開発事例

リベロエンジニアでは、スマートグラス用のARアプリを開発しており、現場作業の効率化に向けた取り組みを進めています。
レンズ部のディスプレイに、マニュアルや作業標準書を表示することで、点検作業や在庫管理などをハンズフリーで行えるようになり、担当者のスキル差に左右されない、安定した作業品質の実現が期待されています。
大手住宅関連企業の倉庫で、研究開発の一環として試験運用中でしたが、現場での使いやすさや技術的な有効性が評価され、本格導入に至りました。
また、物流倉庫業界における人手不足の解消とコスト削減に貢献するスマートグラスソリューション「Libero Sight(リベロサイト)」を開発しました。
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まとめ
物流や倉庫の作業効率を高めたいと考えている方にとって、スマートグラスは大きな助けになる可能性があります。
両手を使ったまま作業できるため、ピッキングや検品中の動きを妨げません。新人の教育にかかる時間も減り、作業の指示や在庫の情報をその場で確認できます。結果として現場全体のスピードと正確さが向上します。
ただし、導入前に「どの作業を改善したいのか」「目的は何か」を明確にすることが重要です。課題をはっきりさせてから最適なスマートグラスを選ぶと、投資の効果を最大限に引き出せるでしょう。
リベロエンジニアは、長年のシステム開発経験を持ち、その知識を活かして産業用スマートグラス向けのアプリを開発しています。機器の選定からアプリ開発、導入後の支援や補助金の申請サポートまで一貫して対応いたします。まずはご相談だけでも歓迎いたしますので、ぜひ一度お問い合わせください。
この記事の監修者

株式会社リベロエンジニア
代表取締役(CEO):金子 周平
元エンジニアとして「エンジニアをもっと自由に。」を掲げ、エンジニアが自由かつ公平に働ける環境を目指し2014年に創業。
高還元SESのリードカンパニーとしてIT派遣の新たなスタンダードを作る。現在はデジタルイノベーション企業として、スマートグラスのアプリ開発をはじめ、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の支援に注力している。