エンジニア採用を成功させるには?採用戦略のコツとポイントを解説
2022.06.09
エンジニアの採用は、年々難度が高くなっているといわれます。しかし、打開策がないわけではなく、実際に中小規模の会社であっても、エンジニア採用に成功している例は少なくありません。
ここでは、「優秀なエンジニアをどうすれば確保することができるのか」という、採用戦略のポイントを徹底解説します。
エンジニア採用の最新市場動向
エンジニアの採用戦略を見直すには、現在の転職市場について理解していなければなりません。そこで、エンジニア採用の最新の市場動向についてご説明します。
新規求人倍率は2.21倍
厚生労働省は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめて、求人倍率などの指標を作成し、「一般職業紹介状況」として公表しています。それによると、2022年2月の新規求人倍率は全体で2.21倍。前月に比べて、0.05ポイント上昇しています。
なお、新規学卒者を除いた「情報通信業の新規求人数(パートを含む)」は2万296人。前年同月比で18.1%も増加しており、経験を積んだエンジニアの求人が増えていることがわかります。
DX推進、ICT投資などが進む中、エンジニアの人材が不足している
エンジニア採用が活性化している背景には、さまざまな企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、ICT投資を行っていることが挙げられます。独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2021」(2021年10月)によると、日本でDXに取り組んでいる企業は約56%と半数を超えています。
その一方で、「DX推進のための人材の『量』が不足している」と回答した企業は76%にも上り、「DX推進のための人材の『質』が不足している」と回答した企業は77.9%となっています。つまり、エンジニアを含むDX人材の量・質は、明らかに足りないとの認識が広がっているのです。
2030年にはIT人材が最大約79万人不足との試算
ITエンジニアの不足に関する観測として、よく引き合いに出されるのが、経済産業省が2019年3月に発表した「-IT人材需給に関する調査- 調査報告書」のデータです。同調査には、2030年にはIT人材が最大で約79万人不足するとの試算が示されています。少子化・高齢化・人口減少の問題とも相まって、今後、エンジニア不足はますます深刻化していくと予想されます。
エンジニア採用を成功へと導く戦略
エンジニア採用を成功させて人材を確保するには、どのような戦略が有効なのでしょうか。ここでは、5つのポイントについて詳しくご紹介します。
1 採用計画の見直し
エンジニアの採用戦略を立てるとき、まず必要となるのは、既存の採用計画に何らかの改善の余地がないかの見直しです。見直しを行う際は、経営戦略や事業計画とのあいだに、根本的な部分での齟齬が生じていないか、経営層によるチェックを行います。
また、エンジニアの確保がうまく進んでいないのであれば、併せて社内のIT部門など、現場のエンジニアやマネージャーによるチェックも行うべきです。
採用基準や自社の訴求点、採用チャネルの選び方、募集要項など、「エンジニア自身が見たらどう感じるのか」をヒアリングすることで、改善すべき点があれば見えてくるはずです。企業によっては、書類選考や面接などの採用プロセスにも、エンジニアが主体的に関わっているケースも増えています。
一方、人事部ではこれまでの採用実績を振り返って分析し、採用課題を洗い出す作業を行います。人材獲得の効率を下げている原因を特定することが、課題洗い出しの目的です。
具体的には、母集団形成(応募が来ているか)、書類選考(求める人材からの応募があるか)、面接(求める人材とのマッチングが成立しているか)、内定(採用を決めても辞退されていないか)、入社(早期退職が発生していないか)といった採用プロセスの中で、どこがボトルネックになっているのかを分析します。その上で、どの部分から優先的に改善していくかを決めていきましょう。
2 採用基準の明確化
採用プロセスを分析した結果、全般的に低調というのであれば、そもそもの採用基準が明確かつ適正かどうかを疑ってみる必要があります。
最も問題なのは、採用基準があいまいで統一されていないケースです。例えば、経営層、現場担当者、人事のあいだで採用基準がしっかりと統一・共有されていない場合、採用プロセスにおいてさまざまな矛盾が生じます。採用基準はしっかりと言語化し、二重三重のチェックをして設定することが不可欠です。
また、直近の採用市場の動向をしっかりと把握し、採用基準によって選考のハードルを上げすぎていないかも検証すべきです。特に、転職サイトや人材紹介会社を利用していて応募が少ない場合は、経験年数や必要スキルなどの応募条件が厳しすぎるか、給与などの待遇が実情に合っていない可能性があります。
経験者がなかなか集まらない場合は、ポテンシャル採用を視野に入れる方法もあります。経験やスキルがそれほどでもないエンジニアでも、入社後に優れたエンジニアになる可能性がある人材かどうかを、面接などで判断して採用するのがポテンシャル採用です。
経験やスキルを重視する即戦力エンジニア向けの採用基準と、人柄や潜在能力に注目する若手エンジニア向けのポテンシャル採用の基準。2つの採用基準を設ければ、幅広い人材を受け入れやすくなります。
3 募集要項・待遇の見直し
採用基準の明確化と同時に、転職サイトや人材紹介会社を利用する際の募集要項についても、見直すべきところがないか精査しましょう。
募集要項は職種、任せたい業務内容のほか、使用言語などの必ず求めたい条件(必要条件)と、歓迎するスキルや経験(十分条件)を、わかりやすく伝えるものでなくてはなりません。募集要項は、求職者が最も注意して確認する部分なので、内容と表現方法を含めて最適なものになっているか、常に見直して改善し続ける必要があります。
他社と比べて、弱い内容・表現になっていないかも要チェックです。併せて、給与やポジションなどの待遇が妥当、あるいは、応募者にとって魅力のあるものになっているかどうかも検証します。
採用基準や募集要項・待遇などを見直す際は、ターゲットとなるエンジニアのペルソナを設定する方法が役に立ちます。ペルソナとは、主にマーケティングで使われる概念で、採用活動の場合は、「採用したいエンジニアの人物像」を設定します。性別、年齢、居住地、家族構成、学歴、経験、趣味、ライフスタイルなどを具体的に想定してペルソナを作り上げ、その人物のニーズを考えることで、自社の有効的な訴求点や訴求方法を見つけ出すのです。
4 自社・競合他社の分析
募集要項・待遇の見直しでもふれましたが、エンジニア採用を成功させるには、自社ならではの魅力・付加価値を見つけ出す必要があります。これまでの採用活動を通じて得た感触から、「ここを強調すれば、応募者に興味を持ってもらえそうだ」というポイントを探すのです。
どんなことを打ち出せばターゲットに刺さるのかは、上記のペルソナを活用するほか、競合他社の採用活動の分析も参考になります。ユニークな求人広告を展開したり、自社の採用専門サイトを作っていたりする企業があるかもしれません。同業他社のみではなく、勤務地の近い企業の求人などが参考になる場合もあります。競合の分析時にも、自社のエンジニアにヒアリングすると、具体的な意見やアドバイスを得ることができるでしょう。
また、分析結果をどう活かすかが重要です。近年では、求職者に自社の存在に気づいてもらい、興味・関心を引くための主体的な働きかけとして、「採用ブランディング」という戦略を用いる企業が増えています。求人媒体を利用するときも、自社のブランド化ができていれば「この会社は◯◯に強い」「◯◯なところがおもしろそう」といったイメージを、ストレートにアピールすることができます。
採用ブランディングは、後述するオウンドメディアリクルーティングや、SNS採用とも親和性の高い方法です。自社の新たな魅力を探し出して訴求力を高めたければ、ブランディングも含めて設計することをおすすめします。
5 採用チャネルの見直し
求人募集に利用する媒体は、転職サイトや人材紹介会社などのオーソドックスな方法だけでなく、さまざまな採用チャネルの活用も視野に入れて、見直しを行うべきです。例えば、下記のような採用チャネルが考えられます。
求人検索エンジン
求人検索エンジンは、転職サイトや人材紹介会社に次ぐ、採用につながる率の高い採用チャネルです。特定の職種の求人を探している求職者に、自社の情報を見つけてもらいやすいのが特長。多くは無料掲載が可能ですが、有料プランを利用すると求人の露出量が増えるため、IT業界では有料プランを使う企業が多いとされています。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングは、企業が求職者へ直接アプローチをする採用手法です。エンジニアの中には、自身の市場価値を知るために、会社に在籍中からダイレクトリクルーティングサービスに登録している人も少なくありません。企業側が条件に合致する求職者を見つけ、魅力的な条件を提示しつつ、熱意を持って直接オファーを出せば、1対1のコミュニケーションを通じて交渉が成立するケースもあります。
リファラル採用
自社の社員からの紹介であるリファラル採用は、開発環境や企業カルチャーを伝えやすく、会食などからマッチングが成立する可能性があります。紹介者には紹介報酬(インセンティブ)を支払うのが一般的です。また、最近ではリファラル採用を容易にするツールが登場しており、その利用料金がかかることもあります。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングは、自社が運営するオウンドメディアで人材募集をする採用手法です。企業ホームページと似ていますが、求人情報以外にも、採用コンセプトや職場環境などを訴求できるほか、社員インタビュー、座談会などを載せることで、企業文化や企業理念、自社の魅力などを伝えることができます。
SNS採用
SNS採用は、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSを活用して、自社の魅力を訴求する手法です。SNSの利用率が高い、若い世代に向いた手法と言えるでしょう。また、SNSの活用はストレートな採用につながらなくても、ターゲットとなる人材に興味を持ってもらえるなど、採用母集団の形成に役立つことが期待できます
まとめ:エンジニアの採用戦略は常に見直していかねばならない
エンジニア採用の成功率を高めるには、常に現状の問題点を洗い出して検証し、改善していくサイクルを回すことが欠かせません。採用市場の動向やエンジニアのニーズは変化しており、採用チャネルも多様化しています。現状の採用状況がどうであれ、採用戦略は随時見直していくものと考えるべきです。
また、すぐにでも優秀な人材が必要であれば、正社員採用だけではなく派遣エンジニアを人材構成に組み入れるという選択肢もあります。人材派遣サービスなどのアウトソースを活用することで、必要な人材を必要な期間だけ確保することが可能です。ただし、その際も目的に適合したスキルや経験を持つ、優秀なエンジニアを有する会社を選ぶことが大切です。
リベロエンジニアは、即戦力となる優秀な技術者が、数多く所属しているエンジニア派遣会社です。エンジニアの採用戦略の見直しで苦労する企業様に、優秀なエンジニアを派遣し、さまざまなサービス開発を支援いたします。
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