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SES費用の相場、エンジニア派遣との料金や単価・契約内容の違いを解説

2022.06.09

カテゴリー:SES・エンジニア派遣

SES契約にもとづいて、外部のエンジニアが自社に常駐した場合、その費用の相場はどれくらいになるのでしょうか。また、エンジニア派遣との料金や単価、契約内容の違いも気になるところです。
ここでは、SES契約とエンジニア派遣の違いや、それぞれの費用の相場について解説します。

SES(システムエンジニアリングサービス)契約とは?

SESとは、クライアント(依頼主)企業の業務やプロジェクトに携わるエンジニアを派遣し、クライアントのオフィスに常駐する形で作業を行う、技術支援サービスのこと。SESは、System Engineering Serviceの略です。

また、SES契約とは、IT業界独自の「準委任契約」で、ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用のため、エンジニアのスキルや労働力を提供する契約のことを指します。SES契約にもとづいて所属エンジニアを派遣する事業を行う会社は、SES企業と呼ばれます。

SES企業と契約を結んだ場合、業務を進める上での指揮命令は、クライアント側ではなくベンダー(サービスを提供する企業)が行います。また、委任契約(受託開発)とは違い、SESエンジニアは、基本的に成果物を完成させる義務を負いません。なお、報酬は納品物に対してではなく、SESエンジニアが携わった作業そのものや、作業工数など労働の対価として支払います。

SES契約のメリット

クライアントとなる企業が、SES企業と契約を結ぶ最も大きなメリットは、業務やプロジェクトに合わせて、必要な労力を必要な期間だけ確保できることです。

例えば、システム開発などのプロジェクトを組むとき、「不足している開発技術力のみを補いたい」「特定の期間中のみ人員数を確保したい」といった需要が発生することはよくあります。ところが、エンジニアを正社員として確保するには、採用コストや育成コストがかかります。そのため、要件を満たすスキルを持ったエンジニアを、必要なときだけSES契約で補充するのは、合理的な方法といえるでしょう。

エンジニア側にもSES契約で働くメリットがあります。SES契約では、事前に勤務時間を決めるのが一般的なので残業が少なく、また、クライアントには業務の指揮命令権がないため、SESエンジニアに直接、残業や休日出勤を命じることができません

さらに、クライアントにもよりますがリモートワークが許可されるなど、比較的働きやすい環境が整っているケースが増えています。経験の浅いエンジニアにとっては、幅広い領域のプロジェクトに関わることができますし、現場に常駐する先輩エンジニアから、知識を吸収することができるかもしれません。

SES契約の費用相場

SES企業と契約を結ぶ上で気になるのが、SES契約にかかる費用です。SES契約時、費用を算出する際に使用される単位の意味と、平均的な月単価相場について見ていきましょう。

費用は「人数×単価」の「人月」で算出する

SES契約の費用は「人数×単価」の「人月」で算出されます。例えば、3人のエンジニアでSES契約を結んだとき、エンジニアの月単価(人月単価)が一律80万円だった場合、「3人×80万円」で1ヵ月あたり240万円となります。

また、1人のエンジニアでも、契約期間が6ヵ月であれば「80万円×6ヵ月」で480万円が必要です。

SESエンジニアの月単価相場

エンジニアの月単価は、保有スキルと経験年数によって変わります。スキルは初級SE(システムエンジニア)、中級SE、上級SEといったレベル分けが一般的です。プログラマーの場合、クライアントが下請けか大手企業かで、月単価が変わることもあるようです。

なお、経験年数は、専門領域における経験や、業務に携わる現場での実務経験が考慮される傾向があります。そのほか、実際に携わる業務やプロジェクトの内容、地域によっても単価は増減します。

一般的な開発に携わるエンジニアを、技術レベル別に分けた場合の月単価の相場は、下記のとおりです。

<技術レベル別・SESエンジニアの月単価相場>
・プログラマー…50万~60万円
・SE ジュニア…60万~65万円
・SE ミドル…65万~75万円
・SE シニア…75万~90万円
・SE エキスパート…90万円〜
・PM…100万円〜

そのほか、インフラエンジニア、フロントエンドエンジニア、DB(データベース)エンジニア、コーダー、テスター、スマホアプリエンジニアなど、職種によっても相場は異なります。

エンジニア派遣とは?

外部のエンジニアを自社に常駐させる方法として、SES契約と混同されがちなのが、エンジニア派遣です。

エンジニア派遣には、大きく分けて「登録型派遣」「常用型派遣」の2種類の雇用形態があります。まずは、それぞれの違いについて見てみましょう。

・登録型派遣
登録型派遣では、あらかじめエンジニアが派遣会社に登録をし、派遣会社から派遣先(案件)の紹介を受けます。そうして、エンジニアが派遣先(クライアント企業)で働き始めると同時に、派遣会社と雇用契約を結ぶのです。やがて、派遣先への就業が終了すると、エンジニアと派遣会社との雇用契約も終了します。

登録型派遣のエンジニアは、派遣会社と派遣先との契約期間のあいだだけ、派遣会社と雇用契約を結ぶ「有期雇用」です。なお、派遣会社に登録をしていても、派遣先企業に就業していない期間中は、給与が発生しません

・常用型派遣
常用型派遣は、派遣先の企業で働いているかどうかに関係なく、エンジニアが派遣会社と雇用契約を結ぶというもの。多くの場合、派遣会社の正社員となり、依頼があったときはそれぞれの派遣先で勤務します。

常用型派遣の場合、エンジニアは派遣会社の「常用雇用」となるため、派遣先企業が決まっていない待機期間も、エンジニアに給与が支払われます

SES契約との違い

SES契約は「準委任契約」ですが、エンジニア派遣は「派遣契約」です。

前述のとお り、準委任契約の場合、業務を進める上での指揮命令権はベンダーにあります。一方、派遣契約の場合、派遣されたエンジニアへの指揮命令権は、クライアント企業(派遣先)側にあります。

これが、SES契約とエンジニア派遣の非常に大きな違いです。また、SES契約は「技術力の提供」というニュアンスが強いのですが、エンジニア派遣は「人員の提供」という意味合いが強いといえます。

ただし、成果物の納品を目的とせず、業務の遂行そのものを目的とする点は、エンジニア派遣もSES契約(準委任契約)も変わりません。

そのほか、エンジニア派遣は「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)」の対象となります。

労働者派遣法は派遣労働者の保護と雇用の安定を図る法律で、エンジニア派遣会社には雇用安定措置や、キャリア形成支援などの措置が義務付けられています。ところが、SES契約は派遣契約ではなく準委任契約なので、労働者派遣法の対象 とはなりません。

エンジニア派遣のメリット

企業がエンジニア派遣を利用するメリットは、SES契約の場合と大きく変わりません。ただし、前述したように、エンジニア派遣はSES契約と違い、業務に関する指揮命令権がクライアント企業にあります。業務やプロジェクトの内容によっては、これが大きなメリットといえます。

また、評価の高いエンジニア専門の派遣会社には、一定水準以上のスキルや経験を持つエンジニアが多く所属しています。プロジェクトを滞りなく遂行する上で、ノウハウを蓄積してきた派遣エンジニアの力が、大きな助けとなるケースもあるでしょう。

エンジニア側のメリットとしては、常用型派遣の場合、派遣会社の正社員として雇用されているため、収入が安定していることが挙げられます。ゴールデンウイークや年末年始など、長期休暇がある月はもちろん、次の派遣先が決まるまでの待機期間であっても給与が発生します。

フリーランスのような働き方と正社員という安心感により、さらなるスキルアップや自己実現のための活動に打ち込むことができるのが、エンジニアにとっての常用型派遣の魅力です。

エンジニア派遣の単価相場は?

エンジニア派遣の単価相場は、どれくらいなのでしょうか。厚生労働省の「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、「情報処理・通信技術者」の1日の派遣料金は平均3万2,147円。月20日間勤務として計算すると、平均月単価は64万2,940円です。

ただし、SES契約と同様、エンジニアの保有スキルや業務内容によって相場は違います。プロジェクトマネージャーなど、管理業務を兼任するような高スキルの派遣エンジニアであれば、月単価が120万円を超えることも珍しくありません。実際、システム開発の見積もりを取るとき、SEの平均的な人月単価をざっくり100万円として計算することが多いとされています。

なお、これらはあくまでクライアント企業が派遣会社に支払う、派遣手数料を含んだ費用です。前出の厚生労働省「令和2年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」を参考に割り出すと、派遣エンジニアの平均月収は、39万5,580円となります。

SES企業・派遣会社選びのポイントは?

SES契約とエンジニア派遣。どちらと契約を結ぶにしても、パートナーとなる企業選びが重要です。ここで、SES企業や派遣会社を選ぶときに、ぜひ押さえておきたいポイントを2点ご紹介します。

ITS健保(関東ITソフトウェア健康保険組合)加入の有無

ITS健保(関東ITソフトウェア健康保険組合)は、関東圏のIT関連企業のみが加入できる、健康保険組合です。

ITS健保は、健康保険料や介護保険料が協会けんぽと比べて安くなるほか、福利厚生サービスが充実していることなどで知られています。一方で、加入するためのハードルが高く、被保険者の平均年齢や扶養率が規定を上回らないことのほか、事業所の標準報酬月額の平均が規定以上であることなど、審査が厳しいことでも有名です。

そのため、ITS健保に加入していることは、自社に所属する人材を大切にしている企業の証明といえるでしょう。これは、IT関連企業の信頼性を図る、ひとつの目安となります。

ただし、ITS健保に加入できるのは関東圏のIT関連企業のみなので、関東にあるSES企業・派遣会社のみにあてはまる判断基準です。

派遣事業免許の有無

以前、エンジニアなどの専門性の高い業種では、派遣期間が無期限の「特定派遣」で働くのが一般化していました。しかし、単なる届出制だった特定労働者派遣事業は、2015年9月30日の派遣法改正をもって廃止され、2018年9月29日には経過措置期間が終了して、完全廃止となっています。

現在、労働者派遣事業を行うには、必ず厚生労働大臣による許可を得て、派遣事業免許を取得しなければなりません。そのため、派遣会社を利用する際は、派遣事業免許を取得しているかどうかを必ず確認しましょう。

なお、前述のとおり、SES契約は労働者派遣法に縛られません。SES契約は、法的には労働者派遣事業ではないのです。SES契約にもとづいて常駐しているエンジニアの指揮命令権が、クライアント企業側にないのはこのためです。

仮に、現場でクライアント企業の担当者が、SES契約のエンジニアに対して、業務に関する指揮命令を行っていた場合、偽装請負という違法な状態であるとみなされます。SES契約を結ぶ際には、この点を覚えておいてください。

SES契約・エンジニア派遣の契約前に十分検討を

SES契約とエンジニア派遣は、よく混同されがちです。外部のエンジニアを自社に招き入れて業務に従事させるときは、SES契約とエンジニア派遣との違いを、しっかり理解しておく必要があります。

また、SES企業と派遣会社のどちらを選択するにしても、優秀なエンジニアを確保するにはそれなりに高いコストがかかります。契約をする前に、「必要なエンジニアの技術レベル」と「必要な人数」「必要な期間」を十分検討し、明確にしておきましょう。

リベロエンジニアは、常用型のエンジニア派遣会社です。会社員としての保障や、教育への積極投資、ITS健保の加入など、「エンジニアにとって最もバランスの取れた環境」を用意することで、ハイエンド(優秀層)のエンジニアが多数所属しているのが特長。外部エンジニアとの契約をお考えの企業様に、さまざまな形でのシステム開発リソースをご提案します。

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