新型コロナウイルス禍でテレワークが増えたり、フルリモートになった人も少なくはないと思います。
その流れで通勤の必要がなくなり、首都圏から地方へ移住する人も増えました。
筆者の友人もコロナ流行によるテレワーク切り替えをきっかけに東京から実家のある群馬に移住しました。現在では月に一回東京に出社するのみのようです。
勿論、コロナへの警戒が和らげば出社日数が増えたり、リモートワーク自体がなくなったりする企業も少なくはないため完全移住は簡単なことではありません。
ましてや首都圏で暮らしていた人は、地方移住で、家賃負担が減る、部屋が広くなる、などをメリットとして掲げていることが多いものの、生活自体は「田舎暮らし」を求めている、というわけではないのが実情のようです。
事実2021年には例年に比べ減少していた東京圏への転入超過も、昨年2022年には転入超過がまた増えつつあるのです。やっぱり都会の生活は便利なんですよね…。
もういっそ海外移住しちゃえばいいじゃない!!
とかなんとかそれっぽい前置きをしましたが、それもこれも筆者が勝手におすすめしたい海外移住について書きたいからです!
もっと自由にどこでも暮らせる働き方をしようぜ!
大好きなペットも一緒に、ね!
(転勤などでもペットを連れていく場合はありますしね)
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ということで今回は海外移住に伴って、台湾に猫を連れて行くことになったので、そのための準備や手続き、費用について書いていきます。
人間である自分自身が海外移住に必要な手続きについては書いていません!あしからず。
※注意事項※
渡航時期や渡航先によって必要な準備、手続き、費用などは変わります。
必ずご自身で動物検疫所、渡航先領事館、渡航先の動物検疫所、航空会社などの最新の情報を確認するようにしましょう。
本記事はあくまで2023年3月に台湾へ猫を連れて渡航した筆者の実体験による内容です。
本記事に従って行った行動のいかなる不利益に対して弊社並びに筆者は一切の責任を負えません。
リンク先などの情報も更新されている場合がありますので大切な家族であるペットのためにも必ず最新の情報を!
猫を連れて台湾へ渡航する際に必要な手続きと費用
まず初めに渡航に際してペットが渡航の条件を満たしているか、などの大前提においての詳細などは参考サイトで確認しました。記事の最後に載せています。
※鼻の短い犬や猫は飛行機での輸送に適していないのでそもそも連れていけない、などもありますし、移住ではなく短い期間での渡航などで再入国が必要な場合なども必要な手続きや待期期間など条件があります。
同時進行しなければいけない手続きなどもあるため、順を追って説明していきます。
最初に渡航にあたって必要なことと費用は下記の通りです。
必要なこと
- 1.マイクロチップの装着
- 2.獣医にて:狂犬病不活化ワクチンの予防接種 ⇒ 2-2.予防接種証明書の発行(英語か中国語)
- 3.航空チケットとその便へのペット乗り入れが可能かの確認・予約
- 4.渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の発行を申請(渡航の20日までに)
- 5.日本の農林水産省動物検疫所「動物検疫証明書(輸出検疫証明書)」の発行を申請(事前に提出書類の確認と検疫の予約も行う)
- 6.ペット搭乗確認書の記入(航空会社による)
かかった費用
- マイクロチップの費用:4,000円(装着費用) + 1050円(登録費用)
- 狂犬病予防注射の費用:3,000円
- 健康診断(血液検査など含む):22,200円
- 予防接種証明書(英語):5,000円
- ペットの飛行機代:25,000円
- 台湾の検疫で引き取り時にかかる費用:TWD $100(日本円で約430円。※台湾紙幣で用意する必要あり)
TOTAL:60,250円
※費用は獣医院や航空会社によって前後します。
※搭乗時に必要なクレートの費用などは割愛しています。
これだけ見るとシンプルですが、実際には、どれから手をつければいいのか、何日前までにこれをやって、だとか、この手続きに必要な書類はこれだからこれを先に終わらせておかないと…、などやってみるまではよく分からなかったこともありました。
必要な手続きの順番
一、獣医にて
まず、筆者の猫は数年前に既に1.マイクロチップの装着を終えていますが、まだ装着していない場合は2.狂犬病不活化ワクチンの予防接種の際に一緒に装着を行えます。
ただ、狂犬病不活化ワクチンの予防接種は渡航日の30日前~1年の期間内という条件があります。
またマイクロチップは装着自体は獣医さんで出来ますが、その後に日本獣医師会に飼い主情報の登録申請を行う必要があります。大体は装着した獣医さんで同時に申請書を用意してくれるので記入して登録料(1050円)を支払うことになると思います。この日本獣医師会からの登録完了通知書はハガキで送られてくるので、その期間も見積もっておく必要があります。
2.狂犬病不活化ワクチンの予防接種と同時に2-2の予防接種証明書(英語か中国語)が必要になるため、対応してくれる獣医さんを選びましょう。また「犬・猫の品種、性別、年齢、マイクロチップ認識番号、予防接種年月日、接種した不活化ワクチンとその種類を必ず記載する」必要があります。国によって項目が変わることもあり、獣医さん側で調べてくださっても項目が違っていたりすることもありますので必ず自身で必要事項を確認して獣医さんに伝えましょう。
また日本では狂犬病はありませんが、狂犬病の症状がないことを確認する必要があるので簡単な健康診断も必要でしょう。筆者の猫は高齢なのもあり、あわせて血液検査など一通りの健康診断をしておきました。
3.渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の発行を申請(今回の場合は台湾)は、20日前までに、と記載があります。申請内容に不備などがあった場合に修正、再申請なども必要となるので早めに行うのが安全です。
そしてこの3.渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の発行を申請に必要な書類・情報は、
- 2-2の予防接種証明書(英語か中国語)
- 申請人の身分を証明する書類(コピー)
- 利用する航空会社と便名
オンラインで申請を行うので証明書関連はスキャンしてデータにしておくと便利です。
二、航空チケットとペット搭乗枠の確保
そう、この時点でなんと利用する航空会社と便名が必要なのです!
しかも今回JALを利用しましたが、ペット枠の空き自体は問い合わせることが可能ですが、枠の予約は航空チケットを購入してからでないと確定することは出来ないのです。
ただJALの場合はJMB会員(JALマイレージバンク)になることで航空チケットの仮押さえが出来ます。
航空チケットを仮予約し、JALに搭乗便のペット枠の問い合わせと予約を行い、予約が取れたらチケットを支払い購入する。ということが出来ます。
この予約後、予約の確定は24時間程度かかります。翌日以降に連絡が来ます。
これは航空会社によっても変わってきますので利用予定の航空会社に確認しましょう。
三、動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の発行を申請
そして出国の7日前までに4.日本の農林水産省動物検疫所「動物検疫証明書」の発行を申請、を行うためには3.渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」が必要になります。
なお、入国条件の内容によっては検査場所が限られる又は検査等に長時間(日数)を要することがありますので、輸出予定が決まりましたらお早めに輸出検疫を受ける動物検疫所にご連絡ください。
ただ上記のように動物検疫所のサイトにも記載がある通り早めがいいです。
3.渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の申請に必要な書類(データ)をそろえて、「Online Application System for Dog/Cat Import Permit」から申請を行います。※申請サイトは英語と中国語のみです。
獣医師から発行された予防接種証明書の内容と相違があると修正作業が必要になりますので、よく確認して必要事項を入力して申請を行いましょう。
不備などがあればメールでお知らせしてくれますし、申請状況はサイトで確認できます。
無事に輸入検疫同意書が発行されるのを待ちましょう。
(筆者の場合はメールで受け取りました)
四、日本の農林水産省動物検疫所「輸出検疫証明書」の発行の事前確認と予約
さて無事に渡航先(今回の場合は台湾)の輸入検疫同意書が発行されたら、今度は日本の動物検疫所への申請作業です。
実際に検疫で検査を行い、証明書が発行されるのは渡航当日です。
(※検疫所があいている時間が限られるため、時間外の飛行機などの場合は、事前に行うことも可能)
その検疫を行うために、前述したように、出国7日前までに申請を行います。
NACCS(動物検疫関連業務)を利用してオンラインで必要書類を送り、不備がないかを確認してもらうことが出来ます。その確認後に検疫所から連絡があり、検疫の時間の予約も行います。
五、渡航当日に動物検疫所で「輸出検疫証明書」の発行
動物検疫所にペットと一緒に行き、輸出検査を行い、英文の輸出検疫証明書が発行されます。
この際に発行された「輸出検疫証明書」と「輸入検疫同意書」との相違がないかしっかりチェックして下さい!
相違があると最悪渡航先の検疫所で輸入が認められません。
発行された輸出検疫証明書を写真に撮り、台湾の動物検疫所にメールで送ります。
(不備がないかチェックしてくれます)
六、チェックインカウンターにて貨物としてペットを預ける
JALカウンターにてクレートのサイズ、重量などを確認し、チェックインを行います。
パスポートと、発行されたての輸出検疫証明書、そしてJALの場合はペット搭乗確認書を渡し、ペットの搭乗料金を支払います。
ここでしばしの別れ。
筆者が傍にいるとにゃあにゃあと助けを呼ぶ(文句を言っているのかもしれない)ように鳴くのですが私が離れると全然鳴かないようでした。余計に胸は痛む…。人間の勝手で本当にごめんよ。
実際どのような場所に運び込まれるかは知る由もないのですが、客室よりは確実に寒いであろうと湯たんぽをクレートに入れてあげました。
※しっかりと水漏れしないものであれば大丈夫なようですが、ものによってはNGになることもあるので確認が必要です。
出国までに流れまとめ
と、いうことでだいぶ長くなってしまいましたがここまでの状況をまとめます。
日程 | 内容 | 補足 |
渡航の1年前~30日前まで | 獣医にて: ・マイクロチップの装着 ・狂犬病不活化ワクチンの予防接種 ・予防接種証明書の発行(英語か中国語) | ・マイクロチップは装着+登録が必要 ・予防接種証明書に記載してもらう必要のある項目を自身でも事前にしっかり確認! |
渡航の21日前までに | オンライン+電話: ・航空チケットとその便へのペット乗り入れが可能かの確認・予約 | やっておくとスムーズなこと: パスポート、マイクロチップ証明書、予防接種証明書をスキャンしてデータ化しておく |
渡航の20日前までに | オンライン: ・渡航先の動植物防疫検疫局に「輸入検疫同意書」の発行を申請 | ・申請は英語または中国語なので間違いのないようにしっかり確認! ・内容によっては時間がかかる場合や、修正が必要になることもあるので可能な限り早めに |
渡航の7日前までに | オンライン: ・農林水産省動物検疫所「動物検疫証明書(輸出検疫証明書)」の発行を申請 ・検疫の日時を予約 | ・内容によっては時間がかかる場合があるので可能な限り早めに |
渡航当日 | 検疫所にて: ・「輸出検疫証明書」の発行 | ・発行された「輸出検疫同意書」のデータを渡航先の動植物防疫検疫局に送付 |
その他
あえて書く必要もないほどに当たり前で重要ですが、ペットをクレートに慣れさせておくこと、健康管理、クレートに敷く吸水シートの準備や、保温対策など
書類不備で肝を冷やした話
五、渡航当日に動物検疫所で「輸出検疫証明書」の発行にて記載しましたが、本当に本当にしっかりと「輸出検疫証明書」と「輸入検疫同意書」との相違がないかチェックして下さいね…。
筆者の場合、勘違いで荷受人の名前を「輸入検疫同意書」では台湾にいる叔父の名前、「輸出検疫証明書」では自身の名前にしてしまっていたために、出国ゲートを出た後に台湾検疫所からメールで、内容が違うため「輸出検疫証明書」を発行し直してもらって下さい、という連絡が来てしまいました。
出国審査職員は当たり前ですが、検疫については分からないし、入国し直すには航空会社に言わないといけないし、検疫は閉まってるし、戻ったとして飛行機に間に合わなくなるし、と人生でこれまでにないくらい本気で焦りました。
幸い、母が台湾の検疫所に電話して、事情を話したところ、荷受人である叔父に飛行場まで来てもらい、荷受人として、荷物(この場合は猫ですね)を筆者に譲渡します。という書類にサインしてもらう、ということで事なきを得ましたが、本当に恐ろしい体験でした。
当たり前と言えば当たり前なのですが、僅かな相違も認められないので、十分に気を付けてください。
次回は入国編で台湾到着後の流れをお送りしたいと思います。
参考にしたサイト一覧
・台北駐日経済文化代表処
・行政院農業委員會動植物防疫檢疫局のウェブサイト(輸出入檢疫→犬貓輸出入及隔離檢疫專區→輸入)
・動物検疫所(動物検疫所→ペットの輸出入→犬、猫を輸出するには)